農家の次男坊田村から「日本のお米を食べよう」

広報担当  秘書 田村 司

 話は,私が農家の次男坊として農作業を手伝っていた半世紀(50年)前に遡ります。

実家の近所(大地主)に住む戸主は「百姓には「学問」は要らない,」と公言していました。その家の息子は中学校卒業後農作業に従事させられたようです。

「子」や「孫」を貴重な労働力としかみていなかったのです。信じられないかも知れませんが本当です。

私は小学校の児童のころ,「学校に行くのが嫌だな!だけど行かなければねらない(義務)」と思っていました。それが間違いでした。義務教育はこのような親子関係の背景から「子」を守り,親に課した義務(憲法26条,27条)というのがその後分かりました(呵呵)。

 

江戸時代は「無学」でも何とかできたでしょうか。否。

その当時から農業は有機農法が行なわれ,しかも大豆から豆腐,納豆,味噌,醤油,米からは酒,酢,野菜は漬け物,今で言うバイオテクノロジーが生活に根ざしていたのです。決して「無知識」では無かったのです。

50年前の記憶では,納豆,味噌,醤油,酒(どぶろく),漬け物などを自家製造し,米,麦,稗,大豆,小豆,胡桃,桜桃,梅,桃,なども収穫していた。家畜は牛,馬,豚,山羊,犬,猫,鶏,兎,鯉,鰌,などを飼育していた。今思うと有機農法の先駆者ですね!

途中から化学肥料や農薬がヘリコプターで散布されたりして,有機農法とは遠くなりました。しかしも時代は変わっても以前に増して,農業には科学的知識(遺伝子組替え種,F1種)法律知識(種苗法,特許法,商標法,地理的表示法,)などあらゆる知識の集約を必要であると私は考えます。今は農業に「学問」が要らないと思う人はいないと思います。

百姓には学が要らないといわれたことが嘘のようです。遠い昔のことですね。

 

そして,最近,薬の知識も必要であることに気づかされました。

それは,先日,家内の買物に付合いました。そこで,新しい発見がありました。大根の種,ニンジンの種,スイカの種の販売している種子袋の裏の説明を読んでいたら「種子は食べないでください」と表示していました。

「ありゃまあ,スイカの果実的野菜を私は種ごと食べているが,いけないことかな?」と思い,じっくり,種子袋の注意書きを読みました。

チウラム剤が施されているとの表示もありました。チウラム剤とは??疑問は残りました。後で専門書を調べて分かりました。

この種の殺菌剤,鳥にたいする忌避剤の農薬として使用されています。これが食べてはいけない理由(毒)です。

 

そう言えば思い出しました。50年前,父親が水稲の種子を消毒していたことを思い出しました。消毒薬はなにを使ったのか,今は記憶にありません。

農薬を使わない水稲の消毒法として塩水選法,温湯消毒,種子消毒剤,サーモシードなどが,あるようです。高度な農薬の知識が必要なことが今さら分かりました。

 

最近,農家や農業法人の取組み(生産,経営)などを調べると大変な努力をしていることが分かりました。そして色々な知恵を駆逐していることに驚きました。

先日,娘が新潟に行って「Strong米(新潟魚沼産コシヒカリ特別栽培米)」を買いました。光沢ともちもち感で大変美味しいお米です(個人的感想です)。お値段はちょっとお高いですが,美味しい「ご飯」が食べたい方にお勧めします。「おかず」なしでごはんだけで食べることができるお米とはこのようなものを言うのかなと再認識した次第です。

私は,美味しさの表現力がないので食レポーターは無理のようですね(呵呵)。

 

昨年,夏は長雨で苦しめられ,今年も7月の豪雨という災害にあいました。

皆さん,平成5年(1993年)の冷害(平成の米騒動)をご存じですか?

エルニーニョ現象が発生したのが原因のようです。

米が生産できず,「タイ米」の緊急輸入で凌いだ経験と記憶があります。そして,「タイ米」は細長いことがそのとき分かりました。日本のお米がこんなにも美味いものとしみじみ感じた次第です。

当り前ですが,農作物は,天候に左右されるのです。工業生産物と違い,確実に収穫できるとは限りません。

農産物の自給率は確保しなければ,ある日突然,他国の紛争で,輸入禁止となり,国民が餓死することになります。

そこで私からのお願いです。美味しい日本のお米を食べましょう。安い輸入米に依存せず,日本の農家とお米を守りましょう。農家の収入の安定化のために,ちょっとお高いが,美味しいお米の消費で応援しましょう。

 

そこで,農家の次男坊でありながらお米について無知でしたので調べました。

その豆知識を図にしました。(米なのに豆?呵呵)

 

お米の品種改良情報が本に書いていました。それは,コシヒカリの突然変異種(品種名は「いのちの壱」)がブランド米「飛騨 龍の瞳」として日本一に輝いているとのことです。皆さん,ご存じですか?私は今まで知らずにいました(赤面)。

このお米はまだ食べていません。

これは農家の人が大きい粒(突然変異)の穂を見逃さず,育成したとのことです。

そして,食べてみたら大変美味しい米であったとのことです。

その後,在来種と違うことが分かって,区別性,均一性,安定性を確認して「種苗法」に基づく出願をして審査の結果登録されたもののようです。それ以外に,米の品種300種が作付けされているとは驚きです。

 

ところで,前述の有機農業の定義をご存じですか?化学肥料や農薬を使用せず,遺伝子組換え技術を使用しないことを基本として,環境への負担を低減する方法を用いて行なわれる農業と定義されています。私はあまり知らずに健康によいという情報だけで選択して食事をしていました。そして,有機農家,農業法人による農作物(米など)のブランディングや,農林水産省の政策努力には敬服して居ります。

 

前述したようにお米にもたくさんの銘柄(300種)があり,外国に「種」を自家増殖されないように,権利を守る必要があります。米以外にも色々な「種」がありますので世界に権利を守る規制として,「種苗法」は機能するようです。

前回の嗚呼「紅秀峰」(種苗法の話)<その1>で掲載されています。

今後,農業法人も,知的財産の侵害(育成者権の侵害)を受ける当事者に成り得る可能性が十分想定されます。

そこで,我がオレンジ法律事務所の登場となります。そして,農業に関しては,片山弁護士が京都大学大学院農業研究科農業工学専攻修士課程修了の経歴と経産省の特許庁に従事して,特許審査業務の経歴持っています。農林水産分野における知的財産関係は,色々な権利関係が絡みます。

知的財産総合支援センタ-埼玉の専門法律相談として,辻本弁護士が携わっております。そして,心強いことに,辻本弁護士は理系出身で,今後の農業発展のための先端技術(ロボット)化に興味と理解があることです。

もし,農業法人の経営で,知的財産関係の法務などでお困りでしたら,オレンジ法律事務所にお声かけ下さい。

 

今回はブログ字数が多いので2分割いたしました。次回は有機農業の定義にでた「遺伝子組替え」を題材にします。乞うご期待!

 

 

 

参考資料

 

種子産業 (三井物産戦略研究所)

https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/10/20/120720i_matsuura.pdf

 

種苗法の一部を改正する法律(概要)について(農林水産省)

http://www.maff.go.jp/j/council/sizai/syubyou/07/pdf/data05.pdf

 

農業者の自家増殖に育成者権を及ぼす植物種類の追加について

http://www.maff.go.jp/j/council/sizai/syubyou/17/attach/pdf/index-35.pdf

 

種苗法の自家増殖「原則禁止」へ転換,海外流出食い止め,法改正視野,例外も,農水省

https://www.agrinews.co.jp/p44074.html

 

特許権をとるには? 経済産業省 特許庁

https://www.jpo.go.jp/beginner/beginner_06.html

 

種苗法による自家増殖原則禁止の理解と誤解

http://nou-ledge.com/2018/06/08/180608_seed2/

 

特許法と種苗法の比較

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/200809/jpaapatent200809_049-068.pdf

 

こどもそうだん 農林水産省

http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/kome_hinsyu.html

 

古代米 農林水産省

http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0206/03.html

 

 

柴田 明夫 監修者 榎本裕祥,安部直樹著「食糧ビジネスのしくみ」日本能率協会マネジメントセンター 2008,8,30 初版第1刷発行 P28~32

 

弁護士 馬奈木 昭雄著『農家の法律相談よくあるトラブルQ&A』農山漁村文化協会2009,3.20 第一刷発行 P216 Q102(※1)

 

辻本直規(2018)「農林水産分野における知的財産について 植物新品種の保護制度の概要」,『自由と正義』6号 p17~22

 

岡本秀秋『知識ゼロからの農業ビジネス入門』(株)幻冬舎 2011.10.25 第1刷発行p106

 

石谷孝佑編『米の辞典』(株)幸書房 2002.6.8 初版第1刷発行