広報担当 秘書 田村 司
いつもご愛読有難うございます。
先日,家内のお供(買物運搬役)で有機野菜を買いにスーパーマーケットに行きました。
びっくりしたことには,カナダ産,アメリカ産の「遺伝子組替え」トウモロコシと大豆がスーパーマーケットで売られていました。
驚いて良く見てみたら「遺伝子組替えではない」と書いて有りました。
ちょっと読み間違えました。日本語は最後まで読まないといけませんね。
私は,農家の次男坊です。日本の農家の助けになればと思い,国産大豆や日本米と和牛にこだわっているのです。「遺伝子組み換えではない」国産の大豆の豆腐と納豆を食べています。今も,日本の農業を大切にしたいと思っています。しかし,残念なことに,海外から「遺伝子組替え」穀物(飼料)などが輸入されているようです。
では遺伝子組み換えによって,作物にどのような形質が付与されるのでしょうか。
原時点では,除草剤耐性や害虫抵抗性の付与が主要です。この技術は生産性の向上,生産コスト削減という目的が主流です。
専門書によれば健康被害は報告されておらず,心配は要らないと主張しております。
一方,消費者側からは安全性を疑問視する声も絶えません。
遺伝子組み換え技術の普及とともに盛んになっているのが,種子ビジネスです。
F1(first filial generation)種(ハイブリッド種)というものがあります。
それは遺伝形質のことなる作物同士を組合わせて作られた種をいいます。
自家採取することが出来ない種子にしているのです。
皆さん,種なしスイカを食べたことがありますか? 実は,種無しスイカの種は「コルヒチンC22H25NO6」という物質を使い,わざと染色体に異常をおこして,子孫「種」が出来ないようにしているようです。
これを食べて「人の子ども」が出来なくなることはないと言われています。
種子会社は遺伝子特許をもとに「遺伝子組み換え種子(アグロバクテリウム法など)」を農家に販売しています。
これは,F1種と違い,同じ作物を作ることが基本的には可能です。一度種子が農家に渡れば,その後特許商品は使用され続け,無断で際限なく広がる可能性がある(これが自家増殖といわれることです)。このため種子会社は特許侵害を防ぐため,遺伝子組み換え作物から種子を採ること,種子を保存することを禁じているようです。
ここで疑問があります。隣の農家の畑の遺伝子組み換え作物と自分の畑と自然交配してしまったら,その権利関係はどうなるのでしょうか?海外(カナダ,アメリカ)では係争事例があるようです。(※1)
皆さん,「カルタヘナ法」をご存じでしたか? 実は私も知りませんでした。
遺伝子組換え生物を作る場合は,国際的な枠組に基づく「カルタへナ法」で規制されます。その作物を畑などで栽培する場合,国の承認が必要になります(末尾掲載の参考資料:讀賣新聞記事)そして遺伝子を欠損させる技術で作ったものはどうするかの議論もされているようです。その議論は海外では規制するか否かで割れているようです。
そこで,遺伝子組替え技術とはどんなものなのか,分かり易くイメージ図にしてみました。図で簡単に表現しましたが,大変興味深い分野でもあり,ご興味をお持ちの方は,専門書などで確認していただけると,もっと面白みが増します。
皆様の中には,DNAの言葉は知っているが,イメージが湧かない人がいるのではないでしょうか。そこでDNAのイメージ図の作成を試みました。実は私もイメージが曖昧でした。
DNAと遺伝子を混同して使われている場合がありますので,若干解説致します。
DNAとは化学物質の名称です。デオキシリボ核酸(Deoxyribonucleic Acid)のことを言います。A,T,G,Cの塩基があります。
遺伝子は塩基(DNA)の配列による暗号情報(遺伝情報)のことをいいます。
そこで専門書にはない試み(田村オリジナル)としてDNAとビットの比較をしました。
【「コンピューター」の原理】
2進法の数学「0か1」のみを使います。
最小単位を1ビットといいます。
そして8桁の数字で表される単位を1バイト(8ビット)といいます。その数字(8桁)の一個一個に文字を定義づけます。2進法数字で表された暗号みたいですね。
そして,プログラマーが作成したプログラムを実行するには,人間の言葉(プログラム言語)を機械語に変換(0と1の羅列に翻訳)し命令を出す必要があります。
【遺伝子情報の原理】
生物の遺伝子情報は,ATGCの塩基(DNA)で表された配列の暗号情報になります。
DNAが同じように複写されるときはDNAポリメラーゼ(酵素)が活躍するようです。
DNA単独では何も出来ないのです。細胞核のDNAはRNAポリメラーゼ(酵素)で,複写されて,mRNAとして,リボソームまで送られ,翻訳されます。
そこで,tRNA (アミノ酸の運び屋)もリボソームまで行き,ペプチド(アミノ酸数2~50)が合成という流れになります。大体この様な流れになります。文章ではイメージ出来ないので図をご覧ください。
今回はタンパク質ができる過程のイメージとコンピューターがデータ処理されるイメージを暗号情報処理という視点で簡単に比較してみました。
DNAで構成された遺伝子情報はリボソームで翻訳されるのとプログラムがビットやバイトで構成される機械語に翻訳されるのと似ていますね!
新しい世界的な動きとして,知財紛争を日本で仲裁するようです。「東京国際知的財産仲裁センター」として9月中にも都内に開設する(末尾掲載の参考資料:讀賣新聞記事)。
いよいよ知財関係に強みを持つオレンジ法律事務所の登場となります。
ビジネスにおける知的財産関係や先端技術(ロボット)化IT,AI,IOTは,知的財産総合支援センター埼玉の専門法律相談として,辻本弁護士が携わっております。そして,辻本弁護士はコンピューターなどに強く(理系出身)理論的で心強いことです。
そして,農業・特許に関して,片山弁護士は京都大学大学院農業研究科農業工学専攻修士課程修了の経歴と経産省の特許庁に従事した経歴などがあり心強いです。
また,医療関係に関しては大学病院などの研修を受けて医療知識のある木村弁護士もオレンジ法律事務所の層を厚くしております。
もし,知的財産の法務などでお困りでしたら,オレンジ法律事務所にお声かけ下さい。
このブログをお読みになり,お役に立てればそれが私の喜びです。
参考資料と挿話掲載
【挿話】
ここでコンピューターと人間のエピソードを披露します。
48年前ごろ銀行はコンピューター導入によるオンライン化が進められました。
その時代になるまでは伝票に基づきそれぞれの科目の台帳に手書き記帳をしておりました
オンライン端末への入力が台帳への記帳になるものですが,担当者が入力相違をしました。そしてそのときのお客様へのお詫びの説明に「コンピューターが間違えました」と言ったらしい。
たまたまお客様は大学でコンピューター関係の教授で次のように叱られたようです。
「コンピューターはプログラムの命令で動くものだ。コンピューターに入力した貴方が悪い。コンピューターの責任にするな!」という話があります。
最近AI(人工知能)がもてはやされています。「AIの判断が間違えました」といえるのか? AIの責任にできるのか? 否。
学習能力はプログラム技術者がどのように行動させるかという「アルゴリズム」というプログラムの善し悪しにかかっているようです。
将棋のAIの勝利の裏には,プログラマーの「アルゴリズム」プログラム作成の努力の結果であると思っているのは私だけでしょうか。
AIが強いのではないのです。その「アルゴリズム」を作ったプログラム技術者がすごいのです。
種子産業 (三井物産戦略研究所)
https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/10/20/120720i_matsuura.pdf
こどもそうだん 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/kome_hinsyu.html
リボソームとは?国立遺伝学研究所
https://www.nig.ac.jp/museum/dataroom/translation/01_introduction/index.html
アグロバクテリウム慣性系 Tiプラスミド,Riプラスミドを用いて 礒原豊司雄,鎌田博
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/29/10/29_10_659/_pdf/-char/ja
DNAリガーゼの構造と機能 清成信一,石野良純
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/45/10/45_10_705/_pdf/-char/ja
食物アレルギー・アナフィラキシー
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03_003.pdf
寄生バチが放つ生物兵器
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/9802/wasp.html
遺伝子組換えの何が問題?
http://altertrade.jp/alternatives/gmo/gmoreasons
カルタナヘ法 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/about/
柴田 明夫 監修者 榎本裕祥,安部直樹著「食糧ビジネスのしくみ」日本能率協会マネジメントセンター 2008,8,30 初版第1刷発行 P28~32
弁護士 馬奈木 昭雄著『農家の法律相談よくあるトラブルQ&A』農山漁村文化協会2009,3.20 第一刷発行 P216 Q102(※1)
毛利秀雄,平本幸男『現代生物学』放送大学 1995,3.20 第1刷 p91
岡本秀秋『知識ゼロからの農業ビジネス入門』(株)幻冬舎 2011.10.25 第1刷発行p106
日本農芸化学会編 責任編集 大澤勝次,田中宥司他8名『遺伝子組替え食品-新しい食材の科学』(株)学会出版センター2001.12.20 第2版
石谷孝佑編『米の辞典』(株)幸書房 2002.6.8 初版第1刷発行
田村 隆明著『コア講義 生物学』(株)裳華房 2012.2.10
星 元紀,二河成男他5名分担著『生命環境科学Ⅱ ―環境と生物進化―』放送大学教育振興会2008.3.20 第1刷
村上和雄『生命の暗号 あなたの遺伝子が目覚めるとき』(株)サンマーク出版2000.8.10
「食のゲノム編集どこまで 環境省 規制対象議論へ 安全・安心 普及のカギ
遺伝子組み換え 根強い不安
遺伝子組換え生物を作る場合は,国際的な枠組に基づく「カルタへナ法」で規制される。
たとえば作物を畑などで栽培する場合,国の承認を要する。・・・遺伝子を欠損させる技術で作った・・・
技術の実用化で懸念されるのが,消費者の不安だ。海外では20年以上に,・・・こうした遺伝子組み換え作物による健康被害は報告されていない。・・・」2018.8.7(火)讀賣新聞13S 総合2
「知財紛争 日本で仲裁 来月にも専門機関 迅速解決図る 仲裁人 米欧からも
知的財産を巡る企業間の国際紛争に向け,日米欧などの専門家が連携し,9月中にも常設の仲裁機関を日本に設立することが分かった。・・・「東京国際知的財産仲裁センター」として9月中にも都内に開設する。・・・」2018.8.14夕刊讀賣新聞3版 1