子の認知

                                                                        営業 秘書 田村司
いつもお読み頂き誠に有難うございます。
オレンジ法律事務所は個人のお客様からの相談もお受けしております。
最近では相続の手続きも増えてきており,現在,脇弁護士が公正証書遺言の作成と遺産分割協議を手掛けているようです。
私,田村は過去の銀行実務の中で,相続手続をしており,仕事柄,色々な戸籍謄本を見ました。
今回,戸籍におけるかわいそうな「子」の話をいたします。
昔はロミオとジュリエットのような両家の親の反対で結婚出来ないケースは多々あったようです。最終的にロミオとジュリエットは二人とも死んでしまいます。日本でも,家と家の確執で結婚できず駆け落ちとか,心中するという話をよく聞きました。このように結婚できなかった男女の間に生まれた「子」は,どうなるのか。日本の旧民法の家督相続における「子」の扱いについてご説明します。
婚姻関係にない男女の間に生まれた「子」はその男(父)又は女(母)が生まれた「子」が自分の「子」であると認められて(認知されて)はじめて,その父又は母の相続権を持ちます。
しかし,認知されても,父親の戸主の反対で,その戸籍に入れてもらえず,また,母親の戸主の反対でその戸籍にも入れてもらえないというかわいそうな「子」がおりました。「子」には何の罪も無いのに,家と家の争いの犠牲になったかわいそうな「子」は存在していました。
その場合,「子」を戸主とする「一家創立」で戸籍編制されました。しかもこの「子」の記載が「子」の母親の戸籍にも,「子」の父親の戸籍にも「子」の記載が無く,関連性の表示がなく,連続の確認ができないようにされていました。

戸籍謄本(全部事項証明書)のイメージ図
一般的には,被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(又は戸籍全部事項証明書)から,遡って出生までの連続した戸籍謄本を準備して,被相続人の相続人であることの確認資料とします。しかしその被相続人の戸籍の記載では,「一家創立」の存在は分からないのです。
その「子」が,相続のとき名乗りでて,「一家創立」の戸籍謄本を用意してもらうと,相続人であるかが分かりますが,通常はその「子」の存在を知らず,相続人にいれないで進められます。
相続手続きのときは,このような事情を十分配慮して進めなければならないこともあります。今から考えるとひどい話しです。

ここから話は少し変わります。
旧民法時代の認知を確認後,現在の民法の認知の条文を見ていましたら,偶然,「どうしてだろう」と知的な興味をそそる条文がありました。
調べましたら,分かりました。「実に面白い!」と思い,小説の題材にしようと密かに,推敲をしていました。敢えて皆さんにブログ掲載で公開します。
過去の某小説では「同時死亡の推定」を相続財産の争いの題材にしていました(テレビ放映されました)。
条文をみましたら,条件付きの認知になっています。しかもその理由が「扶養や相続」絡みであるようです。
「子の認知」をするには簡単にはいかないようですね。
「子」が成人している場合は「子」の承諾が必要になります(民法782条)。
これは養育せずに「子」に扶養義務を負わせる(民法730条)ような「ずる」は許さないためのようです。
そして,胎児の認知には母の承諾を得なければなりません(民法783条1)。
これは,認知をした父又は母はその認知を取り消すことができない(民法785条)ためと思われます。
父Aは,死亡した子Cでも,直系卑属Dがあるときに限り認知することができます。この場合において,その直系卑属Dが成年者であるときはその承諾を得なければなりません民法783条2)。
これは「子C」に直系卑属がいると「子C」の相続権は直系卑属D(第一順位)になるので,認知をした者Aには相続権がいきません。父Aが直系尊属(第二順位)として「子C」の相続人になるような「ずる」は認めないようにしています。そして,孫Dに扶養義務が生じるので,直系卑属Dが成年者であるときはその承諾を得ることにして「ずる」は認めないようにしていると思われます。
「養育はしない,扶養はうけよう,相続財産も頂こう」とする親がいたのでしょうね。悲しいかな,認知が伴う旧法の「子」も新法の「子」も親に翻弄されますね。

相続関係図(イメージ図)

このような相続問題に今まさに取り組んでいる脇弁護士を紹介いたします。
脇弁護士は公正証書遺言の作成や遺産分割などの相続を精力的に取り扱っております。通常の弁護士のイメージ(上から目線,高慢ちき,近づき難い)ではありません。クライアントからも大変慕われており,脇弁護士に再度相談したいなどの依頼人もおります。親切,丁寧で,威張らない,などの良い性格で素晴らしい女性です。応援したくなるような方です。もし,相続で,お困りでしたらご相談ください。

以前からこのブログで脇弁護士を紹介したいと思っておりました。
皆さんに紹介できたことが私の喜びです。

最後までお読み頂き誠に有難うございます。

現在の幸せそうなカップルのイメージ図