元銀行員田村の解説「Fintech(フィンテック)とブロックチェーンの技術」副題「仮想通貨の最新情報」

広報担当 秘書 田村 司

オレンジ法律事務所は埼玉県内の中小企業の皆様へ経営の視点にたって,企業の知財の活動を支援しております。具体的には「知的財産総合支援センター埼玉」の知財相談に辻本弁護士が専門性の高い相談に応じております。そして,元特許庁の特許審査業務に携わっていた片山弁護士,他に知財業務に強い意欲をもつ根本弁護士が居ります(「三本の矢」で紹介済です)。さらに近況として,木村弁護士が着任致しまして,弁護士7名体制となりました。

 

以前から金融(フィナンシャル)と技術(テクノロジー)を掛け合わせた「フィンテック(造語)」が注目を集めております。それは IT(情報技術)を駆使した金融サービスのことです。

この情報技術(IT)で「銀行は将来必要なくなる」(byビル・ゲイツ)と言われています。決済機能,送金機能が低コストで可能になり,ATM(現金の入金・現金支払・振込・公共料金)が不要になり,銀行にとっては数兆円の経費削減になるようです。そのため,今まさに銀行では,経営戦略として「Fintech(フィンテック)」を模索しているようです。

その情報技術(IT)を使った代表例の一つに「ビットコイン」を始めとする「仮想通貨」があります。その「仮想通貨」が通貨として機能し,サービスが成り立つ上で非常に重要な技術と言われているのが「ブロックチェーン」です。

本来,この技術(ブロックチェーン)は,取引記録を繋ぐ「台帳」つまり「帳簿」作成の技術(テクノロジー)のようです。これは「ブロックチェーンの技術」の応用つまり,「情報の真実性やトレーサビリティ-(履歴管理)が必要な分野」での応用に活用されることが期待されているようです。ブロックチェーン(分散型台帳技術)の欠点として,各台帳報告の整合性確認に一定の時間を要することからリアルタイム性が求められるようです。つまり即時決済などの用途には向いていないようです(NTTDATAより)。

 

ブロックチェーンのイメージ図です。(電子帳簿の想像図であり正確性は期待できません)

残念ながら,最近「仮想通貨」のイメージが悪くなっていますが,今,私が注目しているものに「MUFGコイン」と「Jコイン」です。三菱UFJは「MUFJコイン」を18年中に稼働予定としているものです。「Jコイン」はみずほFGとゆうちょ銀行含む70行で設立予定(2020年)しているとのことです。円と等価で価格が変動しない電子マネーと同じような構想のようです。そのため投資目的で購入しても意味の無いようです。目的は,ATM削減,低コストで送金,などの構想があるようです。また両者の統合も巷では,言われているようです。

今までは銀行の採用の人材は,法学部などの文系でありましたが,最近は,情報技術関係の理系の人材を求めているとのことです。理系の方で,銀行の業務や「Fintech(フィンテック)」に興味をお持ちの方は,活躍できる機会があると思います。

 

そこで,以前掲載した「元銀行員の田村が語る『通貨と仮想通貨』」において,「Fintech(フィンテック)とブロックチェーン」の説明が不足していましたので以上のことを補足いたします。

実は,お話したいことはそれ以外に重要なこととして,「仮想通貨」に関する問題点が最近,新たに浮き彫りになってきているということです(最新情報)。

それは,新聞記事によると「仮想通貨」の値上がりで儲けた部分に対しては雑所得として課税されるようです。そして,国税当局は儲けた人の情報を収集して悪質なケースの場合は査察(強制調査)も検討しているようです。

流れに棹さして,儲けても(一時の極楽)後の地獄,損しても地獄,兎角この世は住みにくい(真顔)。

さらに,「差し押さえ(強制執行)」にも支障が生じているなどの想定外のことが起きているようです。

その上に,「他人のPCに計算作業をさせた」容疑で地検に書類送検という事件が起きているようです。

そこで,新聞記事の要点を箇条書にしました。次の記載(1~8)の通りです。

ニュースソース(新聞記事)は最後に記載してあります。

 

1,仮想通貨を売却して値上がりした金額部分が雑所得になります。1億円以上の雑所得(含む仮想通貨)の申告(2017年)をした人は331人いるそうです。

 

2,仮想通貨で商品購入しても値上がり金額部分が雑所得になります。

仮想通貨で損失が出ても他の金融商品や他の所得と損益通算できません。かつ,翌年への損失の繰越しができません。

 

3,雑所得が20万を超える場合は確定申告が必要となります。

 

4,仮想通貨同士の交換時点で値上がりした金額部分は雑所得となります。

 

5,他の所得と合算して所得税率が決まります。最高税率は55%(含む住民税10%)です。

 

6,仮想通貨口座に差し押さえ(強制執行)が出来ない事例が発生しています。仮想通貨の問題点が浮かび上がってきています

 

7,ブロックチェーンの計算作業のプログラムを無断で他人のPCに組み込んで計算作業をさせた容疑者3名を地検に書類送検。このような悪いことする人も出ております。

8,金融庁は仮想通貨業者大手など複数社に対し,週内にも改正資金決済法に基づく業務改善命令を一斉に出す方針を固めたとのこと。顧客保護とマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ本人確認やシステムの安全対策などが不十分なためのようです。

 

最後に,オレンジ法律事務所は,色々な士業とネットワークを構築しております。今回のようなことの修正申告の必要な方で,これから税理士をお探しの方やお困りの方は気軽にお声がけをして下さい。

最後までお読み頂き,有難うございました。皆様のお役に立つこと,それが私の喜びです。

 

 

 

 

(ニュ-スソース)興味がお有りでもっとお読みになりたい方へ。

 

(見出し)仮想通貨長者 国税マーク 取引DB化 悪質無申告は査察も

国税当局が仮想通貨の取引で多額の利益を得た投資家の情報収集を進めている。取引で得た利益は「雑所得」に区分され年間20万円超の利益が出た場合,確定申告の必要がある。2017年に仮想通貨取引を含めた雑所得の収入が1億円以上だったと申告した人は331人。

・・・17年分の所得とデータを照合。矛盾点が見つかれば税務調査に入り無申告や申告漏れの所得が多額に上る可能性があるなど悪質なケースでは,査察(強制調査)も検討している。・・・仮想通貨の税務相談も手掛ける杉山靖彦税理士は『売却益が高額な場合は翌年の税負担が重く,納税に備えて十分な資金を確保しておく必要がある。取引記録は確定申告に備えて手元に残しておくべきだ」と指摘している。」2018年(平成30年)6月6日芒種 讀賣新聞 13S 31

 

 

(見出し)仮想通貨,差し押さえ強制執行できず「技術的に困難」

裁判所が仮想通貨口座の資金の差し押さえ命令を出したのに仮想通貨交換会社が『技術的に困難』として対応せず,強制執行できない状態になる事例があったことが13日,分かった。仮想通貨を確実に強制執行する仕組は未整備で,専門家は『差し押さえ逃れや資産隠しに悪用される恐れもある。対策が必要だ』と指摘している。・・・業者の代表者名義の仮想通貨『リップル』の口座に当る『ウオレット』内の債権差し押さえを申し立て,さいたま地裁が17年7月,18年4月,2回に渡り命令を出した。だが交換会社は『ウオレットは当社で管理していない。技術上,二重払いの危険あり返還出来ない』と主張。・・・仮想通貨に対する強制執行に応じている交換会社もある。・・・GMOコイン・・・日本円に換金した上で,指定口座に送金する手続きをする。・・・・ビットフライヤー,・・・技術的には凍結は可能と説明したが命令にどう対応したかは『機密情報で答えられない』とした。

税務当局も対応に苦慮する。・・・『差し押さえの実効性に課題がある』(国税関係者)のが実情だ。」2018/6/13 日本経済新聞 電子掲示版

 

(見出し)貿易,流通にも応用

仮想通貨はブロックチェーンの応用例の一つに過ぎない。NTTDATAは関税や企業が複雑に絡む国際貿易で,書類をブロックチェーンで共有し,業務を効率化するシステムを開発した。同社技術戦略推進部の赤羽喜治部長は『証明書発行,食品流通管理など,情報の真実性やトレーサビリティ-(履歴管理)が必要な分野での応用が有望だ』と話す。」

2017.11.5 讀賣新聞 12版 くらしサイエンス 25

 

(見出し)仮想通貨『採掘』無断で誘導 県警初 容疑者の3人 書類送検

仮想通貨の取引記録をインターネット上に記録して新規発行の通貨を得る「マイニング(採掘)」を他人に行わせるプログラムをホームページの閲覧者に分からないように組み込んだなどとして,・・・20~40歳代の男3人を不正指令電磁的記録保管容疑などで,さいたま地検川越支部に書類送検したと発表した。・・・」2018.6.15 讀賣新聞 13S 地域埼玉東・南 29

(見出し)仮想通貨 週内にも処分 金融庁 大手「ビットフライヤー」など

・・・金融庁は顧客を徹底して守ために厳しい対応に踏み切った。関係者によると登録業者の一部はマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ本人確認やシステムの安全対策などが不十分だったという。・・・」2018.6.20 讀賣新聞 13版 経済 8