広報担当 秘書 田村 司
いつもご愛読有難うございます。
いよいよ著作権の保護期間は著作者の死後70年に延長されるようです。
なお,保護期間の起算は死亡の年の翌年からになります。
今回,私は,皆さんが注目しない分野とその部分にスポットを当ててみました。
そして,特に漫画や音楽の分野の著作権は,輸出分野として有望であり,朗報と考えています。
何故かは,後述いたします。
その前に,著作権について概略を簡単にご説明します。
ご興味の無い方にとって苦痛でしょうが,ジョークもいれますので,少々お付合いください。
なお,専門的部分であり正確を期すため,抜粋引用させて頂きました。
「著作権は簡単に言うと『他人の著作物の複製を禁止する権利』です。英語では著作権のことをcopyrightといいます。直訳すると『コピーする権利』となり複製権の意味であることが分かりますね。」(尾崎,P158)
「著作権はそれ一つの権利ではなく,『多くの権利の束である』という点が他の法律とは大きく違っています。著作権は,英語で,bundle of rights =支分権の束と言われ,複製権を始め多くの権利からなります。・・・実際に,著作権者が著作権を活用する際には,出版権,上映権,翻訳権と個別ライセンスするのが普通です。・・・言い換えれば著作権とは著作物を利用して,経済的利益を得る権利だとも言えます。」(尾崎,P177)
「著作者人格権とは・・・具体的には公表権,氏名表示権,同一性保持権,及び名誉名声を害する方法での著作物の利用されない権利等を差しますが,著作者人格権の性質を巡り古くから論争が絶えない。」(中山,P360)
現実の著作権はもっと複雑のようですが,要点を抽出してフローで簡単に表すと,
著書の場合は,公表権→出版権→出版→販売→印税(売上部数・発行部数の場合もあります)
原稿料は新聞・雑誌などの著作物1回の使用料で,書籍の場合は大多数が印税方式をとるようです。
お待たせいたしました。今回は「著作権」に関係することとして,3分野「漫画,音楽,相続」について織り交ぜてお話します。
漫画について,2つのことを以前から考えていました。面白いアイデアと自負しています。
1,漫画を教育教材として,教育現場に積極的活用をする。
2,漫画(著作物)を知的財産として,輸出産業に育てる。
「単なる漫画ファン」の戯言として笑って頂いて結構です。
その理由としては次の通りです。
日本の漫画のコンテンツの多さと質の良さは,日本の誇るべき文化であると以前から個人的には考えておりました。
「浮世絵」,「絵馬」然り,漫画も日本の大衆文化であると考えます。
そして,思い出して下さい。先人は絵巻をこよなく愛したのです。
源氏物語絵巻,更級日記絵巻など,たくさんあります。
「漫画」を否定する人もいます。しかし,文字のみの学問ですと,読み手の文字の読解力が各学問の理解の前提条件になります。それを補うものとして視覚に訴える図鑑があります。
発想の転換で,漫画を織り交ぜながら,視覚に訴えて,理解を深めると教育の効率が上がります。
漢字の字数は『中華字海』という字典に約85,000字載っているらしい。日本の生活の中での漢字は1,945字のようです。ちなみに大人の漢字知識は3,500字らしい。
歴史的に欧州と中国の科学(実学)の一般人の知識の差は,漢字を覚えてから実学までの労力の差,教育の効率の差とも言われています。
漢字の習得を否定するものではありません。しかし,漢字,文書より視覚の「絵」の法が分かり易いのです。漫画の活用も教育のツールとして重要であると思います。
言葉では言い表せない描写,状況を絵(現代風にいうと,デジタル写真)なら労力を掛けず,理解出来るのです。
最近,「まんがの日本史の歴史」などが出版され,分かり易く,当時の風俗も諷刺され,イメージがわきやすく,理解し易く,歴史が好きになる人も増えると思います。
そして,このような「見える化」によって,教育の効率化に繋がると考えています。
歴史に限らず,物理,科学,化学,政治など「見える化」による教育の効率化を提言したい。教育界に漫画の教科書も「興味深い」改革と思われます。
政治・歴史が苦手な私が好きになったのは吉川英治著『三国志』を読んでからです。
私は,横山光輝の『三国志』60巻も通読して,所有・占有しています。
しかし,家内との漫画の好みが合わず,可哀想なことに,ゴミ扱いされています。
哀しいかな,価値を分かってくれないのです。断捨離のターゲットにされています。
今は,漫画を楽しむ大人も増え,漫画を文化・事業,輸出産業と考えている者もでてきました。麻生元首相(現,財務大臣,副総理)が漫画の輸出コンテンツにしようと言及していた記憶があります(射撃が趣味で『ゴルゴ13』を愛読しているらしい)。
ここで問題が発生します。二次的著作物になり,各国の言葉に翻訳する者への「翻訳権」をどうするかです。
しかし,新ビジネスとして,誰かが中心になり取りまとめができたら知財関係(サービス収支)に貢献できると考えています。
そうだ,麻生元首相に御願いして,国家権力で法案化して推進する手段があった。無理かな(笑い,呵呵)
日本の近年の経常収支から分かる通り,構造変化を起こしています。貿易ではなく,海外へ投資した配当(第一次所得収支)で18兆を稼ぎ出しています。ただし,知財関係(サービス収支)は,-1兆円になるようです。
私のこの提言の実施でサービス収支は黒字になります。即解決ですね(笑い)。
音楽についても日本には「民謡」「演歌」「歌謡曲」など素晴らしいものがたくさんあります。
歌詞の翻訳や解説付き(日本の文化紹介)で輸出したら,大ヒット間違いないと思います。坂本九『上を向いて歩こう』のヒットが良い例です。輸出産業として検討の余地があると思います。
留意しなければならない権利者の中で「著作隣接権者」と呼ばれる存在があります。
歌手や俳優などの「実演家」「レコード作成者」などがそれに当ります。
紙面の関係で説明を省略します。
そのようなことを考えながら,著作権法の専門書を読んでおりましたら,新しい事実を発見しました。知らないのは私だけかな? 皆さんも初耳でしたら,嬉しい限りです。
「私達,消費者は,デジタル方式の録音録画機能(ハードウェア)や記録媒体(メデイア)を購入する際にこれらの商品に上乗せさせられた補償金を支払っています。」(尾崎,P183)
これは,私的録音録画補償金制度というものです。録音録画機器には2%,記録媒体には3%が価格に上乗せされているようです。
私達は知らない間に,「複製権の侵害という名目で補償金を払っている」のです。
文化庁長官の指定する(社)私的録音補償金管理協会,(社)私的録画補償金管理協会がその補償金を受ける権利があるとされています。
指定管理協会が回収した補償金は,その2割を上限に共通目的事業へ支出され,著作権者等,権利団体への分配にあてられます(104条の8第1項)。
音楽関係の著作権者の皆さん,ご存じでしたか?
もう一つ,私にとって,新しい発見がありました。
漫画家の皆さん,音楽家の皆さんの著作権保護は,死後70年となります。
そして,孫の代まで,権利が相続されます。ただし,ご注意ください。
相続人不存在の場合は国庫に帰属せず,消滅します。(第62条)
その場合は遺言書を作成して受遺者をしっかり指定しておくと,権利の消滅は防げます。
公益社団法人埼玉県産業振興公社は「知的財産総合支援センター埼玉」の知財活動の支援をしており、その知財の法律相談にオレンジ法律事務所の辻本弁護士が携わっております。
そして,オレンジ法律事務所は埼玉ではこのような知的財産(著作権,特許など)に強みを持っています。知的財産に関しては,辻本弁護士と片山弁護士の2名で,盤石の実績を誇っています。知人にお困りの方がおりましたら,オレンジ法律事務所の存在を教えて頂ければ幸いです。そのときはホームページで知った旨をお申し出ください。
今回の内容が皆様に少しでも役立つ情報でしたらそれが私の喜びです。
最後までお読み頂き誠に有難うございます。
参考文献,参考資料。
中山信弘著『著作権法』有斐閣2010.12.30初版6刷 P162~163,P171,P247,P256~257
P346~347,P360,
藤原唯人著『著作権で迷った時に開く本Q&A』カナリヤ書房2013.3.10 初版 P42~43
P177
尾崎哲雄著『はじめての知的財産法第3版』自由国民社 2011.10.1第3版1刷
P158,P174~178,P182~183
「日欧 巨大貿易圏誕生へ EPA妥結 合意内容 著作物の保護期間を著作者の死後70年などに延長 保護主義に対抗 結束狙う・・・」(1017.12.9 讀賣新聞 P6 13版)
「著作権保護 70年に 政府欧米に合わせて20年延長
政府は3月8日に新TPPに署名した後に,新協定案と著作権法改正案などを今国会に提出する予定だ。 著作権が70年になることで著作者や権利を持つ企業などは著作権使用料をその分長く得られることになる。・・・」(1018.2.9 讀賣新聞 P2 13S)