斧を研いで針にする(戸田知裕)

                             リーガル事務 戸田知裕

 『むかしむかし、菅原道真が天拝山と太宰府との間を移動していたとき、道端で老人が釘のように太い鉄を砥石で研いでいました。道真が「おまえは何をしているのか?」と尋ねましたら、老人は「針を作っているんです。」と答えました。道真は太い鉄から針を作ろうとしている老人にいたく心を打たれ、まだまだ私も精進せねばと反省の念を抱いたそうです。』というお話があるそうです。


 昨年6月に入所し、まもなく1年が経とうとしています。
 この恒例行事の書き初めを行うにあたり、年末年始の休暇の間、考え、思い浮かんだワードは“日々の努力”や“ 積み重ね”でした。辻本先生の「44歳は二度あるか」というブログの記事にもあるとおり、今年の書き初めは9文字でしたので、これだというものがないかと考えましたが、9文字に当てはまらず、調べているうちに、この道真の話に行きつきました。

 このことわざは、斧を針の細さにまで研ぐというのは大変だが、やる気になれば不可能なことではない。転じて、どんなに困難なことでも忍耐と努力があれば成就するものだというたとえです。


 研修期間を経て、9月からリーガル事務として勤務させていただいていますが、日々仕事をさせていただく中で、大事なことは、“意志”と冒頭でも述べた“日々の努力”や“ 積み重ね”だと感じています。

 法律の知識については、右も左も分からないような私が、オレンジに依頼してくださる方や、弁護士の先生方の力になるには、自分にできることをこつこつ行い、根気よく努めることが最初の一歩だと思います。頼れる事務局になるにはどのくらいの年月がかかるか分かりませんが、針を作る老人のように日々研磨し、道真のように精進したいと思います。