原野商法

                  営業 秘書 田村 司
いつもお読み頂き誠に有難うございます。
「原野商法」の記事を見て,銀行時代の体験が思い出されました。

平成29年10月24日(火曜日) 夕刊 読売新聞に「『原野商法』次なる被害 売却持ちかけ 経費など詐取」という記事がありました。

「若い年代層に『原野商法』を知っていますか?」と聞くと知らない方も多いので,テーマにしました。

言葉の説明をしてから本題に入ります。
「商法」とは「①商売のしかた。②商行為について規定した法規」の意味があります。
今回の標題は「商売のしかた」の事をいいます。
消費者に対して違法又は不当な利益を得る商法を「悪徳商法」といいます。

今回の被害者は約30年前に「将来新幹線が通るので地価が上がるので,今買っておくと特です」と言われて,価値の殆どない土地「原野」を購入した者です。
購入してしまった価値の無い「原野」を被害者が生きている間に処分したいという被害者の焦りの気持ちを利用した(悪徳商法)事件であります。

時代背景としては,田中角栄元首相が打ち出した政策「日本列島改造」で全国の地価が高騰した時期です。
その後のバブル経済時代にもふたつの事件(北海道の原野,那須の原野)が記憶にあります。

一つ目,那須の「原野数千坪」を購入(買わされた)したが処分に困っているとの銀行のお客の奥様からの相談があった(35年前のこと)。
事情を聞くと,自分の親(高齢)が値上がり目的で購入したとのこと。
買いたい人がいたら紹介して欲しいとのことでした。
これには期待に応じることは出来なかった。

二つ目,預金の引出しに銀行のお客様に業者と思われる者が付き添ってきました。
そして,その資金を(何の代金か分からない)その金を業者に引渡していました。
そのときは理由等の詳細については何も言わずにお客様は帰宅されました。
暫くした後,訪問したら訴訟の準備をしているとのこと。

そこで,はじめて,重い口を開いて,資金の詳細を語ってくれました。
経緯はこうです。
高齢者向けの無料温泉旅行付きセミナーに老夫婦同伴で参加したとのこと。
その温泉旅行先のセミナー(原野を格安で販売)で,契約をしなければ返してもらえない状況に置かれたとのこと。
無料温泉旅行に招待を受けて,恩,義理を感じさせて,断れないような状況下に置かれたとのこと。
契約後金の引渡を受けるまで付いて来るほど,強引であったとのこと。
その日は,訴訟準備中とのことでした。
請求を勝ち取れたかの結果は敢えて聞いていません。
これも,35年程前のことです。

銀行のお客様が経験した悪徳商法で,(私が知っている)似たようなものとして
・羽毛布団商法,
・金証書販売商法(豊田商事事件),
・ゴルフ会員権商法
・ネズミ講(無限連鎖講)
・屋根の無料点検,床下の無料点検の悪徳商法
まあ,次から次へとよく悪知恵が働くものですね。

最近では,「押し買い」の被害も発生しているようです。

以上のように,「善人の仮面をして,法律行為の契約という鎧を付けた悪魔」は色々な場面に登場します。


悪魔のイメージ図
とりあえず,思い浮かぶ「悪徳商法」対策として,

1,断る勇気を持ち,絶対に安易に契約をしない。
後日に損害の請求,損害の回収はできないことを肝に銘じること。
2,親族,友人に相談(孤独な老人が狙われる),単独で判断して契約しない。
3,冷静になって,理論的,合理的に考える。 欲を基準としないこと。
(冷静さを失わせて,今すぐ購入契約をしないと損する意識を植え付ける手口に載らない。)
4,親族の超高齢者,高齢者,准高齢者には,予防として,任意後見制度。
弁識能力低下の方には成年後見制度の活用もご検討ください。
私も准高齢者の範疇に入りますので,考え中です。
5,会場での説明には「サクラ(おとり)」に気を付けること。
(心理誘導され,気付いたら契約していたという結果の可能性)
6,最後に,早めに弁護士に相談し対応をとること。
(相談費用<被害回収コスト)

語り尽くせない悪徳商法や,お客様が遭遇した上記の悪徳商法の事例も沢山ありますが
紙面の関係で,ご容赦ください。

オレンジ法律事務所は,事件の解決という事後の法務(治療法務・臨床法務)だけではなく,トラブル防止(予防法務)という観点からも,個人のみならず企業法務(契約)の相談にも携わっています。なお,企業法務は片山弁護士にご相談ください。(アクセス)さいたま市大宮に当事務所があります。

このブログを読まれない方には,みなさまから,内容を教えて頂き,被害防止の力になって上げて頂ければ,私の最大の喜びです。
最後までお読み頂き誠に有難うございます。