営業 秘書 田村 司
元銀行勤務だったときの経験を交えてお話を少し致します。
相続人確定のための必要書類として戸籍謄本をお願いすると,お客様から「住民票ではどうしてだめですか。」との質問を受けます。
そして「届出人の所在地の市役所・区役所,又は町村役場に提出したものが,住民票と戸籍謄本に掲載されるので,本人の死亡と配偶者と子は記載されているから判断出きるだろう。あえて戸籍謄本は要らないだろう」と主張されます。
一部分は主張の通りではあるが,住民票だけでは判断できない理由があります。
戸籍謄本はなぜ必要かは次の通りです。
理由の一つ目
相続は「どこの国の法律で手続するのか」というと,「被相続人の本国法(亡くなった人の国籍)」になります。H24.7.9から住民票には外国人も掲載されますが,戸籍には掲載されないのです。戸籍は日本国籍のある者にのみ,編製されるのです。
通常の相続手続のときは,「あなたの国籍は?」と聞かず,「戸籍謄本の提出」をお願いします。
提出があれば,日本国籍であると判断され,日本の法律で手続を淡々とすすめることになります。
理由の二つ目
提出された「出生(又は16歳)から死亡日」までの「連続した戸籍謄本」で(異父,異母)兄弟,認知,養子の存在などを確認するためです。その確認は「相続人全員であるかの確定作業」のためです。それは,各相続人の相続分を確定させなければならず,その相続人の確定のためには,全ての相続人を確定させなければならないからです。
尚,戸籍謄本は原則「法定相続情報一覧図の写し」で代用可(H29,5,29から)になりました。
以上の判断資料として,戸籍謄本は必要になります。
そして,戸籍謄本の無い方の相続は,大変難しく,国籍や反致条項等によって,適用すべき法律(準拠法)が複雑になります。慎重にすすめる必要があり,渉外相続の取扱経験のある弁護士もおりますので,一度,ご相談下さい。
読者のみなさまに,すこしでも疑問の解決に役に立ち,喜んでいただくことが,こちらの喜びであります。お読みいただき有難うございます。