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天上天下唯我独尊
弁護士:辻本恵太
数学の証明に狂っていた中学、高校を経て、大学のときには、プログラミングにはまったのをきっかけに村井純先生の研究室の門をたたいてインターネットに熱中した。弁護士になっても、興味の強い分野や難事件などのニッチな業務にのめり込んだ。特許事件では、エントロピーやオイラーの公式を使ったり、非共沸冷媒について3Dのモデリングをしたりした。私の半生を振り返れば、専門性を追求してしまう嗜好が強く、知的好奇心の赴くまま、論理を振り回すのが、自分第一の半生だった。
ところが、不惑を迎えるころ、埼玉の中小企業をサポートすることが楽しくなり、弁護士業務に限らず埼玉に貢献したいと思うようになった。埼玉が好きになっていったからだと思う。問題解決能力を生かして、こども大学の顧問弁護士をしたり、経営者団体で青少年育成にかかわったり、飲食店など埼玉の魅力を広めたりもした。
「~すべき」とか「意義」とは、無縁に近い私からすれば青天の霹靂である。きっと多くの人が最初から自分の能力を生かして世の中のためになろうという気持ちを持っているのかと思うが、私は、人生の折り返しを過ぎてようやく、「法の支配を全うしつつ地域社会の発展に貢献する」という目的を意識するようになったのである。
「天上天下唯我独尊」というと、何だか暴走族の特攻服に書いてありそうな印象だったりするかもしれないが、これは、世界で自分が一番偉い、という意味ではない。私なりの理解では、「天上天下唯我独尊」とは「天上天下、すなわち世界において、我々のみが、唯一、尊い目的、使命を持っている」ということである。断固たる意志で、オレンジ法律事務所だけが持っている尊い目的、使命を全うしたい。