企業法務 

                            広報・営業 土肥

 オレンジ法律事務所では,遺産相続や離婚などの家事事件や交通事故など個人の方からの依頼も承っていますが,その他,多くは,企業からの依頼になります。埼玉県の中小企業からの依頼が多いのが特徴です。

 そこで,今回は,企業法務,すなわち企業から依頼を受ける案件と,企業法務をする弁護士に必要なものについてお伝えしようと思います。ちなみに,今回のブログも,ずいぶんと辻本先生に修正してもらっているので,共著のような感じになっています。

企業法務の種類と依頼内容

 よく企業法務は,依頼,相談される時期,その内容によって,医療で例えられたりしながら,①臨床法務,②予防法務,③戦略法務に分けられて説明されることがあるようですので,これに沿って説明しようと思います。

①「臨床法務」とは

 臨床法務とは,トラブルが発生した後に問題解決する取り組みを指します。

 これは,発病後,医師へ相談をしたり,手術をする,臨床医療のようですね。

 たとえば,建築資材を納入したのに売買代金を支払ってもらえないとか,建物建築工事をしたのに工事請負代金を支払ってもらえないので回収してほしいというものなどが臨床法務にあたります。
 オレンジ法律事務所では,同じく臨床法務としては,他社が自社の有する特許権を侵害しているので差止めや損害賠償を請求したいとか,社員が退職直前に会社の営業秘密を持ち出しながら競業する会社を設立したので差止めなどをしてほしいというような相談も多くされるようです。また,オレンジ法律事務所では,企業の一大事である,業法違反等の企業不祥事案件の対応をすることもあるようですが,これも,トラブルが発生した「後」の対応ということで,まさに臨床法務といえるでしょう。

 臨床法務とは,実際にトラブル,紛争が発生した「後」の相談というのがポイントです。実際に,弁護士に依頼する案件のイメージとしては,このような臨床法務が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

②「予防法務」とは

 予防法務とは,トラブルを避けるために,あるいはトラブルが発生してもすみやかに解決できるようにする取り組みを指します。

 これは,医師への健康相談や早期検診をおこなう,予防医療のようですね。

 たとえば,これから取引先と契約を結ぼうとする際,できる限りトラブルを避けるようにするために契約書を作成したり,契約書をチェックするなどが予防法務の典型例です。また,就業規則や労働契約書における肝心な部分の抜けや不備がないかをチェックし,問題箇所があれば修正をするのも,予防法務の一つといえます。
 オレンジ法律事務所では,特許ノウハウライセンス契約書や秘密保持契約書等の契約交渉等の相談を受けたりしますが,これらも予防法務に含まれると考えられます。

 予防法務とは,実際にトラブル,紛争が発生した「前」の相談で,トラブルの予防,トラブルを最小限にとどめるというのがポイントです。

 オレンジ法律事務所が,契約書のチェックや契約交渉などをスポットで相談されることもありますが,顧問契約を締結している顧問企業から「予防法務」の相談を受けることが多いようです。
 その理由としては,①企業が実際のトラブルが発生していない段階では,心理的に,弁護士に事前予約をして相談しにくい,②あらゆるトラブルを予防するためには企業や紛争の背景を広く知る必要があることが多いところ,顧問企業と異なり,スポットで依頼される案件の場合にはそれらの背景を知るのに時間がかかり効率的な業務がしにくいということかもしれません。

③「戦略法務」とは

 戦略法務とは,法律的な専門知識を経営戦略に活かすような取り組みを指します。

 これは,スポーツを対象とした科学データをもとに医学的サポートをするようなスポーツ医学に似ているかもしれません。

 オレンジ法律事務所では,顧問企業が考案した発明について,特許等として権利化するのか否か,権利化するとしてもどの範囲でするのか,どの範囲をノウハウとして開示しないようにするのかという相談を受けたりします。あるいは,他企業とクロスライセンスというものを検討することがあるようです。これらは,企業の経営戦略を練るために,法律的な専門的知識が必要となる戦略法務の具体例といえるでしょう。

 また,辻本先生は,顧問企業の労務相談において,改正法に合わせた助言をしたり就業規則等をてこ入れするとともに,顧問企業の情報システムをどのように構築するべきかなどをアドバイスしていると聞いております。

 戦略法務には,高度な経営感覚が不可欠ですが,辻本先生がオレンジ法律事務所や会社を経営していることや,元々,システムプログラミングをしていた経験が活かされていそうですね。

企業法務をする弁護士に必要なもの

 企業法務をする弁護士は,直接相談された内容と離れて,相談者自身も気づいていなかった企業の問題点などを見つけ出す能力が求められます。
 そのためには,あらゆる業種,業界の経営者や経営層の方からのヒアリングにより,多角的に物事を考えたりする必要があり,高いコミュニケーション能力が必要でしょう。

 また,企業法務をする弁護士は,法的な見解を示せば足りるというわけではなく,企業に利益をもたらせなければなりません。
 すなわち,経営的な観点から,企業の利益を追求することのできる「攻め」と法的に準じた活動である「守り」のバランス感覚を併せ持つ,高度なスキルが弁護士に求められています。

 また,相談している会社が数億円単位で,得するのか,損するのかというが問題となっているときであっても,弁護士が,企業と一緒になって慌てていても始まりません。
 辻本先生は,どんなときも,プロフェッショナルとして,チャーミングに接することを意識しているらしいです。そして,相談をしている企業の担当者が,なるほど!さすが!と関心するまで,とことんアイデアを練って話をし続けるようです。

 辻本先生,曰く,企業法務をする弁護士に求められる役割は,先に進む「勇気」と,いままでにない「感動」を与えることとのことです。

 オレンジ法律事務所では,おかげさまで,毎月のように,新たな中小企業と顧問契約を締結していますが,その多くが,顧問企業から評判を聞き紹介を受けた企業であったり,実際に具体的な案件の依頼を受けたことのある企業だったりします。これらは,オレンジ法律事務所が企業法務をする弁護士に求められる役割をコツコツと果たしている証なのだと思います。

弊所に色々と素敵なお中元を頂戴しております。
いただきました全てのみなさまに,この場をお借りして心より感謝申し上げます。  
 こちらは,共楽堂さんのお品物で,マスカットのフルーティーさと,ひとつぶの特別感を感じるとてもかわいいお菓子でした。事務局のみんなと美味しくいただきました。ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。