所有者不明の土地にしないための遺言書

 

営業秘書 田村 司

こんにちは,いつもご愛読有難うございます。

たのしいブログを書きたいと心がけていますが,若干暗くなる話題で申し訳ございません。

 

「所有者不明の土地:九州より広い:410万ヘクタール」の記事のニュースが報道されました。

ちょっと計算しましたら,九州の面積は367.5万ヘクタール,徳島県41.45万ヘクタールの合計に匹敵する広さであります。日本人は,こんなに土地に執着心がなかったかな?否。否。

 

原因として,「国土の所有・利用に関する情報を一元的に共通管理するシステムは整っていない」と言われている。また不動産登記は任意であることにも起因しているらしい。

 

所有者不明の土地の原因と思われる現在の相続手続について一言。

銀行勤務時も実体験を交えてお話します。

特に大変な相続手続き(相続人確定作業)は,第三順位に再転相続が発生し相続人が三世代にもなるものがあります。

戸籍謄本200通,登場した相続人50名(内25名死亡)のケースは幾度もありました。大変さはそれだけではなく,手続きの途中に相続人が高齢のため亡くなられ,その人の再転相続が発生して,なかなか相続が進まなかった経験があります。

戸籍謄本200通を集める費用と労力は相続人に大変な負担感を与えます。

それで,相続人のだれかがやるだろうと放置されていることも推測されます。そして,相続人が50名(内25名死亡)にもなるくらい長い間放置されているなら被相続人の相続財産(不動産)がどこに,どのくらいあるかの確認は難しくなっています。

第三順位になる被相続人と疎遠な相続人にとっては,当然,財産の所在は分からない。不動産登記していなければ尚更であります。

このような状況になった原因には家督相続(旧民法)から現民法になり,相続人が増えたことに,上記の一元管理のシステムが構築されていないことが複雑化を助長させたと私は思います。

 

第三順位のことを「笑う相続人」と言われる。これでは「笑う相続人」ではなく「泣く相続人」になりますね。

 

防止策として,みなさまへの提案です。

まず,先に不動産(土地)を調査して自分名義に変更した上で,遺言書の作成することです。

 

今後のために,遺言書に財産明細をしっかり記入して,相続人,受遺者が相続開始時に困らないようにすることをお勧めします。

それにより,相続人が後日の「被相続人の財産調査」の労力と「調査漏れ防止」により,410万ヘクタールの所有者不明のようなことも少なくなると思われます。

 

「全財産をAに相続させる。」のような包括の内容にすると,やはり受遺者Aは財産目録作成時の調査漏れが発生する可能性があります。極力相続財産の詳細まで記入することをお勧めします。財産状況に変更ある場合は遺言書2通目を作成することもできます。遺留分まで考慮して次世代への円滑な財産の承継をされるとよろしいのではないでしょうか。

尚,自筆証書遺言も可能ですが,公正証書遺言をお勧めします。

理由としては,自筆証書遺言は検認が必要で,検認のとき全戸籍謄本(生まれてから死亡日めでの連続した戸籍謄本)の提出が必要になります。何通必要になるか分かりませんが全戸籍謄本(連続した戸籍謄本)の費用と提出する労力の軽減になります。

 

「2015年に「遺言控除」を新設,29年度にも政府・与党方針,遺言による相続を減税,控除額は数百万円で検討」との新聞記事がありました。しかし,具体的税制改正の発表はまだありません。遺言書を作成し,効力発生時に「遺言控除」制度が導入されていたら,受遺者は節税ができますね。

オレンジ法律事務所では,どちらかといえば,会社のご相談も多いように思いますが,私の後ろの席にいる脇弁護士が「相続人の~が」とか,「遺留分が~」などと電話をし、辻本弁護士と話し合っているのを見ていますと、相続案件も相当数、受けています。 私としても、弁護士の先生方の、お力になりたいなと思っていますので,このブログをお読みになり,遺言書のご相談をご希望の際は,オレンジ法律事務所にお声をお掛け下さい。

 

最後に,読者のみなさまに少しでも役立ち,喜んでいただくことが,私の喜びでもあります。

お読みいただき有難うございます。