国際結婚と子の無戸籍

営業 秘書 田村司
いつもご愛読頂き誠に有難うございます。

近年,国際結婚する方が多くなっています。私の知人の親戚にもたくさんおります。
「相続対策は大丈夫かな」と内心思っています。(ひそかに,「法律相談はオレンジ法律事務所へ」と思っていますが,面識がなく,語学力(専門用語)も乏しいため,心で叫んでいます。)

そして,銀行の仕事では,国際結婚した相続をたくさん手掛けました。
私,田村は銀行勤務時代,相続の手続きをしておりました関係で,色々な事例の戸籍謄本を拝見して参りました。
これから申上げる事例は銀行勤務ならではの経験です。その経験で,はじめて,現実問題として,「この様なことが起こる」ことに思い至ることができました。
それは,国際結婚した女性(被相続人)の戸籍に「子」記載されておらず,無戸籍状態になっている事例がありました。
なぜ無戸籍状態になってしまったのか,このような状態になってしまったら,どのような対策をとったらよいかのご説明をいたします。

国際結婚をした男女の男性が日本人なら「子」は日本国籍になりました。当然,戸籍に記載されました。
しかし,過去に,国際結婚をした男女で,日本人が女性の場合,その「子」は日本国籍にはなれなかった時期があります。戸籍は日本国籍のある者のみ作成されましたのでその「子」は無戸籍になったのです。つまり日本人男性の「子」でなければ,日本国籍になれなかったのです。しかし,法律の改正により昭和60年1月1日から女性の「子」も日本国籍取得して,戸籍に「子」が記載されるようになりました。
法律改正で,改善はされましたけれども,昭和59年12月31日までの女性の「子」は日本国籍を取得できませんので無戸籍のままです。

無戸籍のままであると,何の不都合が生じるかというと,相続のとき,被相続人の戸籍謄本に「相続人」として登場してこないのです。
「出生証明書」の提出で確認することになりますが,その提出者が相続人全員であることの確証が難しくなります。

無戸籍の「子」が相続人として認められるような対策として,国際結婚した被相続人(女性)が自分の戸籍謄本を確認して,「子」の記載がないようでしたら,公正証書遺言を作成して,無戸籍の「子」を受遺者にしておくと,残された無戸籍の「子」(相続人)の相続手続きが,支障なく,進むと思われます。

日本人は,遺言書の作成に馴染みが薄いようです。銀行でも公正証書遺言の取扱は多くありませんでした。
しかし,外国人の関係する相続では,公正証書遺言で作成されていると,内容がしっかり書かれていますので相続の手続きがスムーズに進みました。
公正証書遺言の作成は,弁護士に相談の上,対策を講じてください。

今,オレンジ法律事務所でも,公正証書遺言や遺産分割関係の相続の相談を受けており,脇弁護士が私の席の近くで準備書面作成に奮闘しております。ぜひご相談ください。

このブログが皆様のお役に立つようでしたら,それが私の喜びです。
最後までお読み頂き誠に有難うございます。

以下は時代背景などのご参考としての説明ですので興味のある方はお読み下さい。

Ⅰ,日本の国籍法は昭和59年12月31日までは,父系血統主義でした。
父が日本国籍でなければ,「子」は日本国籍が取得できなかったのです。
その後,法改正で,昭和60年1月1日から女性も日本国籍なら「子」は日本国籍を取得するようになりました(父母両系血統主義,国籍法2条)。
Ⅱ 国籍取得の特例としての届出もありました。
昭和40年1月1日から昭和60年の施行日前日までに生まれた者は施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得する(国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律,附則第5条)。
Ⅲ 一部の懸念材料については次の通りです。
特例を知らず活用出来ていないケース(「特例」の届出手続を3年以内にしていない)も想定されます。

Ⅳ 国籍について補足説明致します。
国際結婚した夫婦の「子」の国籍は「生地主義」と「血統主義」があります。
「生地主義」とは,両親の国籍に関わらず「子」の生まれた国の「国籍」を取得する考え方です(例,米国)。
「血統主義」は,「父系血統主義」と「父母両系血統主義」に分けられます。
日本は,「血統主義」ですが,上記の施行日から「父系」を「父母両系」に変更されました。
なお,「生地主義」と「血統主義」の組合せにより,二重国籍となる場合があります。その場合の国籍選択の手続きがありますので,弁護士にご相談ください。
もう一つ,女性の結婚の場合,お相手の国によっては,女性はその国の国籍を取得しなければならないようです。
(私が知り得たことですと,日本女性がイラン人と結婚するにはイラン国籍をとらなければならないようです。)