大阪地裁平成 27年6月 28日判決〔破袋機とその駆動方法に関する特許権侵害差止等請求事件〕

控訴審 知財高裁平成 28 年6月1日判決 〔特許法102条1項ただし「販売すること ができないとする事情」の解釈とその立証責任〕

第5 結論

 1 請求の趣旨に対する判断
 被告製品は,いずれも,本件特許発明1,2の技術的範囲に属し,かつ本件特許に被告主張の無効理由は認められない。また,上記認定及び弁論の全趣旨によると,被告が上記技術的範囲に属する被告製品を製造し,納入するおそれがあるものというべきである。
 したがって,争点3(均等侵害)を判断するまでもなく,原告の,被告製品の製造,販売等の差止め,廃棄請求は理由があり,損害賠償請求は,主文掲記の限度で理由があり,その余は理由がない。
 2 文書提出命令(平成26年(モ)第1862号)に対する判断
 被告は,立証趣旨を,原告の特許法102条1項に基づく利益の主張の弾劾として,原告の所持する,平成21年1月から平成26年11月14日までの原告製品の製造,販売に関する注文書,納品書控え,原価計算書,売上帳,月別売上帳,請求書控,領収書控,総勘定元帳,ないしこれに相当する文書ないし電磁的記録の提出を命じる文書提出命令を申し立てている。
 しかし,上記説示のとおり,本件においては,原告主張の特許法102条1項に基づく利益額は,提出済みの証拠によって認定することができるから,これに加えて上記証拠を取り調べる必要はなく,申立ては却下されるべきである。
 のみならず,被告は,当裁判所が損害の審理に入る旨の訴訟指揮をした後も,侵害論に関する従前の被告の主張をいたずらに繰り返す一方で,原告が特許法102条2項に基づく推定の適用を主張し,利益率や販売後未納品の存在等を開示するよう求めても,あやふやな主張を繰り返しこれに応じなかったものである(当裁判所に顕著)。これらの被告の訴訟態度は,信義誠実の原則(民訴法2条)に悖るものであるだけでなく,特許権侵害訴訟において蓄積されてきた運用を無にし,訴訟制度に対する信頼をも損なうものである。
 本件文書提出命令は,当事者間の衡平の観点からも,容認すべきでないことは明らかである。
 3 よって,主文のとおり判決する。