東京家裁平成19年9月11日判決〔外国離婚判決の効力〕

【オレンジ法律事務所の私見・注釈】

1 本件は、オーストラリア国籍を有するYがオーストラリア国ニューサウスウェールズ州ニューキャッスル連邦治安判事裁判所で得た本件離婚判決に基づいて、埼玉県鴻巣市長に対し、原告と被告との離婚の届出をし、その旨戸籍に記載されたが、日本人である妻Xが、Yに対し、本件離婚判決は、民訴法118条1号及び同3号の外国判決の承認の要件を欠くとして、離婚の無効確認をした事案である。

2 本裁判所は、本件のような外国離婚判決に基づく現在の法律状態としての離婚の無効確認を求める訴えについては、明文をもって規定がされていないものの、人事訴訟法2条柱書にいう「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」に該当する人事訴訟であり、それゆえ家庭裁判所の職分管轄にあると解すべきであるとした。

3 次に、民事訴訟法118条1号の要件不備について、本裁判所は、外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、同条は「法令又は条例により外国裁判所の裁判権が認められること。」と定めているが、「法令又は条例により外国裁判所の裁判権が認められること。」とは、我が国の国際民事訴訟法の原則から見て、当該外国裁判所の属する国がその事件につき国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいうものと解されるが、どのような場合に判決国が国際裁判管轄を有するかについては、これを直接に規定した法令がなく、また、よるべき条約や明確な国際法上の原則もいまだ確立されていないことからすれば、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により、条理に従って決するのが相当であり(最高裁判所第三小法廷平成10年4月28日判決)、我が国の渉外離婚事件の国際裁判管轄については、原則として当該離婚事件の被告住所地国に裁判管轄権が認められるが、例外的に、原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合には、原告の住所地にも管轄権を認められると解すべきである(最高裁判所大法廷昭和39年3月25日判決最高裁判所第一小法廷昭和39年4月9日判決)とした。

4 また、民事訴訟法118条3号の要件不備について、本裁判所は、外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、同条は「判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。」と定めているが、本件離婚判決は、オーストラリアの家族法(申立日からさかのぼって12か月間継続して別居していること)に従い、Yの離婚請求を認容したものと解されるが、Yは、不貞行為等の身勝手な行動をした有責配偶者であり、別居期間が約3年3か月であって相当長期間に及んでいるともいえず、いまだ満5歳の長男がおり、経済的には不安定な状態であるなどの事情を踏まえると、YからXに対する離婚請求は、信義誠実の原則に反するものであり、我が国の裁判所においては、認められるものではないとした上で、XとYが我が国で結婚し、婚姻生活も我が国において送ってきたものであって、それゆえX及びYの離婚は、我が国における離婚事案であるといえなくもなく、さらに有責配偶者からの離婚請求が信義則に反する場合、離婚請求を認めることはできないという法理は、我が国の身分法秩序として確立されており、十分尊重されなければならないのであることを勘案考慮すれば、本件離婚判決の内容は我が国の公序良俗に反するものというべきであるとした。

5 本件は、民事訴訟法118条により、外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する場合についての参考となる判例である。

なお、本件のような事案は従来、外国離婚判決の無効確認の訴えとして提起される例が多かったが、本来、確認訴訟の対象は、現在の権利又は法律関係の存否に限られるべきものであり、判決が無効であることを訴訟上主張するに際しても、その判決自体の無効確認を求めることは一般には許されないとした上で、そのような場合には、本件のように、その判決が無効であることを前提として、その結果生ずる現在の権利又は法律関係の存否の確認を求めるべきであるとした点も参考となろう。


■参考判例 最高裁大法廷昭和39年3月25日判決〔外国人間の離婚訴訟の国際的裁判管轄〕

主文

 1 平成18年2月6日にオーストラリア・ニューキャッスル連邦治安判事裁判所(FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA AT NEWCASTLE)により言い渡され、同年3月7日に確定した判決に基づき、同年5月2日に埼玉県鴻巣市長に対する届出によってされた原告と被告との離婚が無効であることを確認する。

 2 被告の反訴請求を棄却する。

 3 訴訟費用は、本訴反訴を通じて被告の負担とする。 

事実及び理由

第1 請求

 1 原告(本訴)

 主文第1項と同旨。

 2 被告(予備的反訴)

 原告と被告とを離婚する。

第2 事案の概要

 1 前提となる事実

  (1) 原告(昭和51年2月*日生、日本国籍)と被告(1980年4月*日生、オーストラリア国籍)とは、平成12年12月13日に我が国において婚姻し、平成13年10月*日に長男アントニオ太郎(以下「長男」という。)をもうけた。(甲1、乙1)

  (2) 原告及び被告は、婚姻後、我が国において同居して生活していたが、被告は、平成16年3月末にそれまで原告と居住していた家を出て、以後、原告と別居状態にある。(原告及び被告の各本人尋問の結果)

  (3) 被告は、原告に対し、平成17年4月、オーストラリアにおいて離婚訴訟を提起し、平成18年2月6日、同国ニューサウスウェールズ州ニューキャッスル連邦治安判事裁判所(FEDERAL MAGISTRATES COURT OF AUSTRALIA AT NEWCASTLE、以下「本件豪州裁判所」という。)は、原告と被告とを離婚する旨の判決を言い渡し、同年3月7日、同判決は確定した(以下「本件豪州の離婚訴訟」、及び「本件離婚判決」という。)。(甲13ないし16)

  (4) 被告は、平成18年5月2日、本件離婚判決に基づいて、埼玉県鴻巣市長に対し、原告と被告との離婚の届出をし、その旨戸籍に記載されている。(乙1)

 2 離婚無効確認(本訴)

 (原告の主張)

  (1) 民事訴訟法118条1号の要件不備

 ア 外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、民事訴訟法118条1号は、「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。」と定めているところ、判決を下した外国の裁判所が適法に管轄権を有するかどうかについては、我が国の管轄規定を基準にして決定すると解するのが通説である。

 イ 最高裁判所昭和39年3月25日大法廷判決(民集18巻3号486頁)は、渉外離婚事件の裁判管轄権の分配につき明文の規定が設けられていない我が国においては、原則として当該離婚事件の被告住所地国に裁判管轄権を認め、例外的に、原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合には、原告の住所地にも管轄権を認めるという法原則を確立した。これによれば、本件離婚訴訟の国際的裁判権が我が国の裁判所にあると解すべきことは明らかであり、本件豪州裁判所には国際的裁判管轄権は認められない。

 ウ このような法原則の背後には、当事者間の公平や裁判の適正迅速の理念が存在している。本件についてみると、①原告(離婚訴訟の被告)の住所地は我が国にあること、②被告自身、我が国において原告と婚姻し、共同生活を営んでいたこと、③被告は我が国で仕事に就いていたこと、④原告と被告とは婚姻後オーストラリアに居住したことは一度もないこと、⑤被告は現在も我が国に居住しており、しかも定住者という在留資格を得ていることなどの事情があり、当事者間の公平や裁判の適正迅速の理念からして、本件豪州裁判所に管轄権は認められない。

 エ 原告が、オーストラリアの離婚訴訟において主張したことは、本件豪州裁判所にそもそも管轄権がなく、たとえ、そうでないとしても、同裁判所が本件離婚申請を審査するに当たり適切な裁判所ではないとして、却下を求めるというものであり、同裁判所の裁判管轄について争っていたことは明らかである。仮に不便宜法廷地(訴えの提起を受けた裁判所が、裁判管轄権を有するにもかかわらず、当事者の便宜や正義の実現のためには、裁判管轄権を有する他の法域の裁判所で審理を行うほうが妥当であると考えた場合、裁量により裁判管轄権の行使をせず、訴えを却下することを求める法理)の抗弁のみを主張したと認められるとしても、本案前の抗弁を提出したにとどまるから、これにより応訴管轄は生じず、また、そもそも本件のような家事事件では、応訴管轄は認められないというべきである。

  (2) 民事訴訟法118条3号の要件不備

 ア 外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、民事訴訟法118条3号は、「判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。」と定めているところ、本件離婚判決の内容が我が国の公序良俗に反することは明らかである。

 イ オーストラリアの家族法では、婚姻関係が破綻し、修復不可能な状態にあることが、離婚を申し立てる唯一の根拠であると定められている。婚姻関係が破綻し修復不可能な状態にあることの立証義務は離婚の申立人が負い、その要件としては、両当事者が申立日からさかのぼって12か月間継続して別居していることが唯一規定されているのみである。そして、破綻に至る実際上の理由や原因、責任の所在については一切問われず、また、離婚を成立させるために両当事者が承諾する必要もないのである。このようにオーストラリアの家族法においては、形式的に12か月間の継続した別居状態があるだけで離婚が認められるのであるから、これに基づいてされた本件離婚判決は、我が国の法秩序を含む公序良俗に反するというべきである。

 ウ 原告と被告とは、我が国において婚姻し、婚姻以来、我が国に居住しているのであり、原告と被告とがオーストラリアにおいて婚姻生活を送ったことは全くないのである。しかも、被告は、原告が申し立てた婚姻費用分担調停事件につき、東京家庭裁判所に出頭して調停を成立させているばかりか、被告自身において同家庭裁判所に2度の調停を申し立てているのである。加えて、被告は、定住者の資格を得て我が国で生活しており、引き続き我が国に留まる意思を有している。このような事情からすると、被告がオーストラリアにおいて離婚訴訟をすべき必要性はない。

 エ 被告は、かねて不貞関係にあった一色春子(以下「一色」という。)と同居するために、原告の意思に反して家を出て、一色と同居を始めたのであって、我が国においては、有責配偶者として原告に対する離婚請求が認められないことから、オーストラリアにおいて離婚訴訟を提起して本件離婚判決を得たことは明らかである。このような法の潜脱を許すこと自体が我が国の公序良俗に反するといえる。

 オ 外国離婚判決の効力判断の際の準拠法は法廷地法主義によるというのが一般的であるとはいいがたい。民訴法118条3号はまさに我が国の公序良俗に反するかどうかであって、被告の主張は失当である。

 (被告の主張)

  (1) 民事訴訟法118条1号について

 ア 原告は、本件豪州の離婚訴訟において、不便宜法廷地に基づく申立てをし、本件豪州裁判所の裁判管轄については争わなかったものであり、同裁判所には応訴管轄が生じている。なお、家事事件についても応訴管轄を認めた判例は多数存在する。

 イ 被告は、母国であるオーストラリアの法律上、管轄権が認められた本件豪州裁判所に訴訟を提起したまでであり、被告の行為は正当な権利行使であって、非難される筋合いはない。

  (2) 民事訴訟法118条3号について

 ア 外国裁判所の離婚判決の効力判断の際の準拠法は法廷地法主義によるとするのが通説判例の立場であり、本件離婚判決が法廷地であるオーストラリア家族法に則ってされたものである以上、民訴法118条3号の要件を充たしている。我が国においても、別居は民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の一つとして捉えられている以上、たとえ12か月であっても別居を離婚原因とすること自体が我が国の法秩序を乱すなどということは到底無理であり、原告の主張は失当である。

 イ 別居の原因は、被告と一色との同居生活にあるのではなく、原告の宗教活動等にあるのであり、別居期間が3年を超え、原告及び被告間には実質的にも婚姻の実体はないから、原告及び被告間の離婚が認められている現在の状態は正常かつ正当なことである。

 ウ 仮に、有責配偶者からの離婚請求であっても、一定の状況の下では別居期間を要素として請求を認容するという現在の我が国の判例の立場からすると、たとえ12か月であっても、別居を基底にして離婚を認めること自体が我が国の法秩序を乱すとまではいえないことは明らかである。

 3 離婚(予備的反訴)

 (被告の主張)

  (1) 被告は、婚姻後、埼玉県鴻巣市の原告両親方において、原告両親らと同居して生活していたが、結婚当初から、被告と原告両親とは相性が合わず、また、被告と原告両親との衝突の際に一切被告の肩を持つことがなかった原告の態度にも怒りを感じていた。また、原告とも性格の不一致の程度が著しく、婚姻後2年半ほど経ったころには、原告との結婚を深く後悔するようになった。

  (2) 原告と被告とは、同じ宗教(エホバの証人)を信仰していたが、被告は次第にその教義や活動に疑問を抱き始めた。しかし、原告は熱心な信者であり続け、同宗教の活動への参加を躊躇し始めた被告に対して、集会その他の活動への参加を強要した。被告が仕事等の言い訳をして活動を避けると、原告はこのような被告が不信心であるとし、宗教の面でも原告と被告との溝は深まった。

  (3) そして、平成16年3月、被告は原告との生活に耐えられなくなり、原告と同居していたアパートを出て、原告と別居するに至った。

  (4) その後、原告は、被告に対し、婚姻費用分担調停事件(当庁平成16年(家イ)第3457号)、履行勧告事件(当庁同年(家ロ)第1540号)、債権差押申立事件(東京地裁平成16年(ル)第8241号)及び本訴を提起しており、他方、被告は原告に対し、婚姻費用分担調停事件(さいたま家裁平成16年(家イ)第1713号)、夫婦関係調整調停事件(同家裁同年(家イ)第2055号)、本件豪州の離婚訴訟、請求異議事件(当庁平成18年(家ヘ)第9号)及び強制執行停止申立事件(当庁平成16年(家ロ)第184号)を提起しており、本件反訴を含めると実に10件の訴訟や調停等が存在する。

  (5) 以上のとおり、原告と被告との婚姻関係は完全に破綻しており、婚姻を継続し難い重大な事由がある。なお、長男の親権者については裁判所の判断に委ねるが、仮に原告に親権が認められれば、被告は原告に対し適切な養育費を支払うつもりである。

  (6) 被告が一色と知り合ったのは平成16年1月ころであり、同年3月の別居直前ころから交際を始めたものであるが、当時すでに原告との婚姻関係は破綻していたから、被告は有責配偶者とはならない。また、本件離婚判決がされたから婚姻費用を支払う必要がないことは当然であり、それゆえ請求異議の訴えの提起等について非難されるいわれもない。原告及び被告の別居期間は3年を超えており、同居期間が3年3か月であることに比しても長期間に及んでいる。また、被告は、長男の養育のための費用は支払うつもりである。

 したがって、被告の離婚請求は認められるべきである。

 (原告の主張)

  (1) 原告は、被告が環境、文化、習慣の差による対立が生じても、できる限り被告の意見に合わせようとしていた。また、原告が、被告に宗教活動への参加を強要した等の事実はない。

 原告が申し立てた婚姻費用分担調停事件、履行勧告事件及び債権差押申立事件は、別居後に被告が全く婚姻費用を支払わないために起こしたものであり、実質的には一個の手続である。被告が起こした請求異議事件及び強制執行停止申立事件もこれに対するものであり、紛争が多数存在するわけではない。

  (2) 原告は、別居後も、被告に対し、「戻ってきてほしい。」と、また、一色に対し、「交際をやめてほしい。」と繰り返し訴え続けたが、被告は聞く耳を持たなかった。原告は、現在も、被告が本来の家族のもとに戻ってきてくれるよう切に願っている。原告と被告との別居期間は決して長期間ではない。被告が一色との不法な関係を終息させ、利己的な考え方を改めれば、夫婦関係のやり直しは十分に可能である。

 したがって、原告と被告との婚姻関係は破綻していない。

  (3) 仮に、原告及び被告の婚姻関係が破綻しているとしても、以下のとおり、被告の離婚請求は有責配偶者による請求であり、到底認められない。

 ア 被告は、かねてより不貞関係にあった一色と同居生活を送るために、平成16年3月末に家を出て、江戸川区葛西において一色との生活を開始したのである。したがって、被告が原告との離婚を望んでいるのは、一色との関係を維持するためであり、しかも、被告が原告に一色との交際の事実を打ち明けたのは、同月のことであって、原告及び被告は、当日の朝まで夫婦としていつもどおりの生活を送っていたのであり、決して破綻などしていなかった。

 イ 被告は、一色と同居生活を開始した直後の同年4月から、原告に対し婚姻費用を全く負担しなくなったため、原告は、婚姻費用分担調停事件を申し立て、被告が婚姻費用を分担する旨の調停が成立したが、結局、被告が婚姻費用を支払わないため、上記調停条項についての履行勧告を申し立て、最終的には債権差押の申立てを行わざるを得なかったのである。これに対し、被告は、本件離婚判決を得たことを理由として、請求異議の訴えを提起するとともに強制執行の停止決定を得たため、原告と長男との生活は極めて苦しいものとなっている。

 ウ 別居期間は、3年程度であり、決して長期とはいえない。しかも、原告及び被告間には、現在、小学校就学前の長男がいるのであり、これまでの被告の婚姻費用不払いの態度からすると、被告が長男の養育費の負担を誠実にすることは到底期待できない。他方、原告は、会社勤めの経験もなく、特別の資格もない上、養育を必要とする長男を抱えており、原告の実父は定年を迎えたために収入に乏しく、実母は脊髄小脳変性症という難病を患って要介護状態である。したがって、原告は、実家で生活しているが、両親から住居の提供を受けるにとどまっている状況にある。このような事情に照らすと、離婚により原告は長男とともに極めて苛酷な状況に立たされるというべきであり、信義則上、被告からの離婚請求は許されるべきではない。

第3 当裁判所の判断

 1 原告と被告とはともに我が国に居住しているから、本件については、本訴反訴ともに我が国の裁判所に国際裁判管轄権が認められる。

 また、離婚無効確認及び離婚ともに、法の適用に関する通則法27条、25条により、日本法が準拠法となる。

 2 前記前提となる事実に証拠(甲1ないし16、甲20、甲22ないし29、甲34、35、乙1、乙3、乙8、乙10、11、原告及び被告の各本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

  (1) 原告と被告とは、いずれも家族がエホバの証人の信者であったことから、その信者となっていたが、平成11年7月ころ、原告がオーストラリアに旅行した際に、エホバの証人の関係の知人から被告の家族を紹介され、被告方に泊まったことから被告と知り合い、以後、交際するようになった。その後、原告と被告とは、平成12年4月に婚約し、被告が同年12月に大学を卒業した後、来日して、同月13日に婚姻した。

  (2) 原告は、婚姻当初、通信販売の電話応対の仕事をしていたが、出産のために辞め、出産後はパートの仕事をする程度でもっぱら専業主婦であった。

 被告は、婚姻後、ブルックスインストゥルメント社及びその代理店に勤務した後、平成16年1月から、日本エマソン株式会社に勤務している。

  (3) 原告及び被告は、婚姻当初、埼玉県鴻巣市にある原告の両親宅で同居して生活し、平成13年10月11日に長男(アントニオ太郎)をもうけ、婚姻の2年後ころ、大宮市(現さいたま市)のアパートへ引っ越した。

 原告の両親は、原告及び被告に対して住居の提供や被告の就職の世話のほか、経済的にも援助するなどしていたにもかかわらず、被告が感謝しようとせず、また、敬意も払わず、しかも、家事や育児の手伝いもせずに、昼過ぎまで寝ているなどとして、次第に被告の態度等に不満を抱くようになった。他方、被告も、原告の両親が被告の生活態度等について注意することをうとましく思い、しかも、原告が被告をかばうことなく両親に味方するなどとして原告及び両親に不満を抱くとともに、原告らが長男について被告が「アントニオ」と呼ぶように要望しているにもかかわらず、これを聞き入れずに「太郎」と呼ぶことにも不満を持っていた。このように、原告及び被告は、婚姻生活を送るうちに、双方の文化や生活習慣の違いから、意見の相違や感情のすれ違いが生じるようになっていたものの、これ以外に目立ったトラブルもなく、原告と被告との婚姻生活は概ね良好に推移していた。

  (4) 原告と被告とは、結婚前からエホバの証人の活動を行っていたが、婚姻後も、週3回(平日2回と日曜日1回)の集会や月1、2回の布教活動(英語を話す家庭を任意に訪問し、2時間程度聖書の教えを伝えるというもの)に参加するなどしていた。被告も、月に何度か休んだり、仕事で開始時刻に遅れることはあったものの、別居直前まで集会に参加するなどしていた。被告は、我が国における活動がオーストラリアにおけるよりも不自由なものと感じ、布教活動に行かないこともあったが、原告に対して布教活動をしない旨を述べることはなく、原告と被告との間でエホバの証人の活動を巡って喧嘩となるようなことはなかった。また、原告は熱心な信者であったが、家事育児はきちんとしており、宗教活動のために日常生活に支障を生じるようなことはなかった。

  (5) 平成16年1月ころ、被告は、新たに入社した前記会社において販売補助員として働いていた一色と知り合い、まもなく交際を始めた。原告は、同年3月下旬ころ、数日前から被告の帰宅が遅いため、その事情を尋ねたところ、被告から一色と交際している旨を聞かされ、予想もしていなかった事態であるとして相当な衝撃を受けるとともに、被告に対し、一色との交際を止めてほしいと述べた。しかし、被告は、これを拒否し、むしろ一色と一緒に生活したいと考えていることを述べ、同月25日ころから、大宮のアパートに帰って来なくなった。

  (6) そのため、原告は、平成16年4月、長男を連れて実家に帰り、大宮のアパートの賃貸借契約を解約するなどした。他方、被告は、同月中旬ころから、江戸川区葛西所在のアパートで一色と同居生活をするようになった。

  (7) 原告は、被告が家を出た後、生活費をくれないため、平成16年5月17日、東京家庭裁判所に婚姻費用の分担を求める調停を申し立てた(甲6)。被告は、原告に対し、同月21日、「実際のところ、私は家族の事を決して置き去りにしていない。家族の支援をする気はあるが、あなたはこれについて話し合うため、時間を取って会う事をしないので協力的ではない。この事を弁護士に伝えれば、これはあなたにとって大きな問題になるだろう。日本の法律によると、(春子と)同居しているので、春子の世話もする必要がある」旨のメールを送信した(甲20)。

 原告及び被告は、平成16年7月13日、被告が原告に対し、婚姻費用として、同月末日限り7万円を、同年8月から毎月9万円ずつ支払うことなどを内容とする調停を成立させたが(甲7)、被告は、これに基づく支払をしなかった。そこで、原告は、同月2日、東京家庭裁判所に履行勧告を申し立てたが(甲8、9)被告は、なお支払をしないため、東京地方裁判所に被告の給料差押命令の申立てをし、同年9月28日、同裁判所から債権差押命令が出された(甲10)。

  (8) また、原告は、一色に対し、同年5月28日、内容証明郵便で慰謝料150万円の支払を求め、同年6月21日、東京簡易裁判所に慰謝料300万円の支払を求める調停を申し立てた(乙8、乙10)。

 他方、一色は、同年11月ころ、原告の当時の代理人弁護士に対し、30万円を支払うこと、30万円は被告が新しく住むところを決めた時点で支払うこと、被告には早急に出て行ってほしいと考えている旨のメールを送信した(甲22)が、原告は、この申し出には応じなかった。

  (9) この間、被告は、原告に対し、平成16年7月20日に「金がいらないなんて言ったのは君だよ。……僕は彼女(一色)と結婚することを約束していていたのに、君が離婚しようとしないからできないので、彼女は僕に慰謝料を払ってほしいということだ」旨のメールを、同年8月17日には「君はまさに僕と春子との関係をつぶそうとしている!急いで僕と離婚してくれ!お願いだ!」旨のメールをそれぞれ送信した(甲25、甲28)。

 また、被告は、調停が成立していた婚姻費用の額の減額を求める調停をさいたま家庭裁判所に申し立てていたが、平成16年10月8日、これを取り下げ、被告が同裁判所に離婚を求めて申し立てていた調停も、同年11月5日、不成立で終了した(甲12)。

 なお、被告は、平成16年11月ころ、一色との同居を解消するとともに、江東区の現在の肩書住所地に住むようになった。

  (10) 被告は、平成17年4月、本件豪州裁判所に離婚訴訟を提起し、同年11月16日、同裁判所から、大使館、外務省、最高裁判所、さいたま地方裁判所を経由して、離婚申立書が原告に送達された。なお、第1回口頭審理期日は同月29日と指定されていたが、原告は、期日変更を申し立て、同年12月15日、同裁判所から原告に、第1回口頭審理期日が平成18年1月31日に変更された旨の通知があった。

 原告は、知人等を通じてオーストラリアに住む日本人の弁護士の紹介を受け、同弁護士に本件豪州の離婚訴訟への対応を依頼した。同弁護士は、本件豪州裁判所に、管轄異議申立書を提出し、原告と被告は我が国の鴻巣市において結婚していること、結婚以来、原告と被告とはずっと我が国に居住していること、被告は現在まで5年以上も我が国において仕事していること、原告は日本国籍でありオーストラリアには居住したことはないことなどを理由として、同裁判所に管轄権がないため、そうでなくとも、この離婚申請を審査するのに適切な裁判所でないため、却下されるべきであると主張した(甲14)。

  (11) 平成18年1月31日、本件豪州裁判所において第1回口頭審理期日が開かれ、被告の宣誓供述書が提出されたが、原告は期日に出頭せず、代理人弁護士が出頭した。同裁判所は、同年2月6日、被告がオーストラリアの市民権を有することなどを理由として離婚訴訟の管轄権を認め、原告の裁判管轄権に対する異議申立てを却下した上、当事者双方が平成16年3月23日に別居し、それゆえに婚姻が修復不可能な程度に破綻したものと認定判断して、原告と被告とを離婚する旨の判決を言い渡し、平成18年3月7日、判決が確定した(甲15、16、本件離婚判決)。

  (12) 原告は、平成18年3月9日、当庁に本件離婚無効確認の訴えを提起した。他方、被告は、同年5月2日、本件離婚判決に基づいて、埼玉県鴻巣市長に対し、原告と被告との離婚の届出をし、その旨戸籍に記載された。また、被告は、同年9月、原告との間に離婚が成立したとして、前記給料差押えに対する請求異議訴訟を提起した。

  (13) 原告は、現在、パートの仕事をして月7万円程度の収入を得ている。長男は現在満5歳である。同居している原告の父は、定年退職しており、その後再就職したものの収入は少なく、また、原告の母は、脊髄小脳変性症で通院治療中である。

 原告は、被告との婚姻関係の修復を望んでおり、被告が一色と別れたことが確認できれば同居することは可能であるなどと述べている。

 3 離婚無効確認(本訴)について

  (1) 人事訴訟法2条1号は、協議上の離婚の無効確認を人事訴訟とする旨定めているが、本件のような外国離婚判決に基づく現在の法律状態としての離婚の無効確認を求める訴えについては、明文をもって規定がされていないものの、こうした訴えを人事訴訟から排除すべき理由はなく、これについては、同条柱書にいう「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」に該当する人事訴訟であり、それゆえ家庭裁判所の職分管轄にあると解すべきである。

  (2) なお、従前本件のような事案については、外国離婚判決の無効確認訴訟として扱われる例が多かったが、本来、確認訴訟の対象は、現在の権利又は法律関係の存否に限られるべきものであり、判決が無効であることを訴訟上主張するに際しても、その判決自体の無効確認を求めることは、一般には許されず、そのような場合には、その判決が無効であることを前提として、その結果生ずる現在の権利又は法律関係の存否の確認を求めるべきである。したがって、外国離婚判決の無効を前提として、その結果生ずる現在の法律関係(離婚の無効又は婚姻関係の存在)の確認を求める訴えは適法であると解される。

  (3) また、外国離婚判決が有効かどうかは、外国判決の承認の問題であるから、民事訴訟法118条の要件を充足する場合に限り、我が国においてその効力が認められると解すべきである。

  (4) そこで、こうした見地から、以下、原告が主張する同条1号及び3号の要件を具備するかどうかについて順次検討する。

  (5) 民事訴訟法118条1号の要件不備

 ア 外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、民事訴訟法118条1号は、「法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。」と定めているところ、「法令又は条例により外国裁判所の裁判権が認められること。」とは、我が国の国際民事訴訟法の原則から見て、当該外国裁判所の属する国がその事件につき国際裁判管轄(間接的一般管轄)を有すると積極的に認められることをいうものと解されるが、どのような場合に判決国が国際裁判管轄を有するかについては、これを直接に規定した法令がなく、また、よるべき条約や明確な国際法上の原則もいまだ確立されていないことからすれば、当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念により、条理に従って決するのが相当である(最高裁判所平成10年4月28日第3小法廷判決(民集52巻3号853頁))。

 イ そして、我が国の渉外離婚事件の国際裁判管轄については、原則として当該離婚事件の被告住所地国に裁判管轄権が認められるが、例外的に、原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合には、原告の住所地にも管轄権を認められると解すべきである(最高裁判所昭和39年3月25日大法廷判決(民集18巻3号486頁)、最高裁判所昭和39年4月9日第一小法廷判決(裁判集民事73号51頁))。

 したがって、外国離婚判決が民事訴訟法118条1号の要件を具備するかどうかについては、このような法原則に従って判断するのが相当である。

 ウ これを本件についてみると、前記認定のとおり、原告(離婚訴訟の被告)の住所地は我が国にあり、被告自身も我が国において原告と婚姻し、共同生活を営んでいたのであり、しかも、被告は、我が国において仕事に就いており、原告と被告とは婚姻後オーストラリアに居住したことは一度もないのである。こうした事実からすれば、当事者間の公平、裁判の適正・迅速の理念や前記イの法原則に照らせば、本件豪州裁判所に原告及び被告の離婚訴訟についての管轄権があるとは認められないというべきである。

 なお、オーストラリアの家族法では、当事者の一方がオーストラリア国籍を有する場合には、同国裁判所の国際裁判管轄権を認めるとされており、本件離婚判決においては、この規定に従い管轄権を肯定したものと解されるが、当事者の一方が自国民でさえあれば当然のこととして管轄権を肯定するというのは、離婚事件との関連では、過剰な管轄というべきである(甲30(横山潤「オーストラリア離婚判決の承認に関する鑑定書」))。

 エ 被告は、原告が本件豪州の離婚訴訟において本件豪州裁判所の裁判管轄については争わなかったので、応訴管轄が生じていると主張しているが、前記認定のとおり、原告が本件豪州の離婚訴訟において主張したことは、まずは本件豪州裁判所にそもそも管轄権がなく、たとえそうでないとしても、本件豪州裁判所が本件離婚請求を審査するのに適切な裁判所ではないため、却下を求めるというものであり、これからしても本件豪州裁判所の裁判管轄について争っていたことは明らかである。なお、仮に原告が不便宜法廷地の抗弁のみを主張したとしても、本案前の抗弁を主張したにとどまるから、応訴管轄は生じ得ないし、また、そもそも本件のような家事事件では、応訴管轄は認められないという考え方(甲31、甲33)や、原告すら住所を有しない国に応訴管轄は認められないという考え方(甲30)もあることからしても、被告の主張は採用できない。

 オ したがって、本件豪州裁判所に本件豪州の離婚訴訟の裁判権は認められないというべきである。

  (6) 民事訴訟法118条3号の要件不備

 ア 外国裁判所の確定判決が我が国において効力を有する要件として、民事訴訟法118条3号は、「判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。」と定めている。

 イ ところで、前記のとおり、本件離婚判決は、オーストラリアの家族法に従い、当事者双方が平成16年3月23日に別居し、それゆえに婚姻が修復不可能な程度に破綻したものと認定判断して、被告の離婚請求を認容したものと解される。しかしながら、前記認定のとおり、原告と被告との婚姻関係は、原告の両親と被告との関係やエホバの証人の活動などにおいていくつかの意見の相違や不満を持つ点はあったものの、平成16年初めころまでは、概ね問題なく推移していたが、被告が同年1月ころから一色と知り合って交際を始め、同年3月末ころに大宮の自宅を出て、まもなく同女と同居生活を始めたことにより、関係が悪化していったという経緯であると認められるのである。

 被告は、原告の両親や原告の被告に対する態度をるる非難しているが、前記認定事実によれば、被告と原告の両親との間で感情的に合わない面があったことはうかがわれるものの、その程度は、前記認定のとおりであって、かえって、前掲各証拠によれば、被告の生活態度にも問題がなかったとはいえないと認められるのである。また、被告は、原告からエホバの証人の活動を強要されたなどと供述しているが、前記認定のとおり、被告も原告との婚姻前からエホバの証人の信者であり、婚姻後も集会や布教活動を一緒にしていたものであって、原告の活動自体が被告との日常生活に支障をきたすようなものではなく、その後、被告においてこれらの活動を負担に感じるようになったものの、原告も被告に対して仕事等との関係で可能な範囲での布教活動等への参加を認めていたのであって、被告に活動を強要したなどとの事実についてはこれを認めるに足りる的確な証拠はないのである。しかも、前記認定のとおり、原告と被告との間において布教活動等への参加を巡って喧嘩になったこともないのであって、被告主張のようにエホバの証人の活動が婚姻関係を悪化させていたなどとは認められない。

 ウ このように、原告と被告との婚姻関係は、平成16年初めころまでは特に問題なく推移していたのであり、同年1月ころから被告が一色と知り合って交際を始め、同年3月末ころ家を出て、同女と同居生活を始めたため、悪化していったと認められるのである。しかも、その後、被告は、原告に対して調停で成立した婚姻費用の支払をしなかったり、オーストラリアにおいて離婚訴訟を提起するなど、原告にとって不誠実であるとしかいいようのない対応を繰り返しているものである。

 そうすると、原告及び被告は、別居後、すでに3年以上経過しており、被告の離婚意思は強固であるが、原告は、現在においても被告との関係修復を望んでおり、被告が一色と別れ、反省して戻ってくるのであればこれを受け入れるとも供述しているところ、前記のとおり、原告及び被告が別居状態となったのは、もっぱら被告の身勝手さによるというべきであるから、被告において一色と別れ(被告の供述によればすでに親密な関係は終わっているとのことである。)、これまでの行動をしっかり反省し、その上で被告の原告らに対する不満等についても話し合い、双方が関係改善に努めるならば、まだ婚姻関係が修復される可能性がないとはいえないのである。

 エ また、仮に原告と被告との婚姻関係が修復不可能な程度に破綻しているとしても、前記のとおり、その原因は被告の不貞行為等の身勝手な行動にあるから、被告は有責配偶者であるというべきである。被告は、被告が一色と交際を始めた当時すでに婚姻関係が破綻していたと主張しているけれども、前記認定のとおり、少なくとも平成16年3月ころまでは原告被告間に大きなトラブルはなく、当時すでに婚姻関係が破綻していたとは到底認められないから、採用することはできない。

 そして、別居期間が約3年3か月であり、相当長期間に及んでいるともいえず、原告及び被告間には、いまだ満5歳の長男がおり、原告らは実家において居住しているものの、前記のとおり両親の状況からすると、経済的には不安定な状態であるというほかなく、被告の前記態度からすれば、離婚に伴う十分な経済的給付が得られる見込みがあるとはいえず、結局のところ、原告は、離婚により精神的、経済的に苛酷な状況に置かれることが十分予想されるのである。

 このような事情を踏まえると、被告から原告に対する離婚請求は、信義誠実の原則に反するものであり、我が国の裁判所においては、認められるものではないというべきである。

 オ もちろん我が国で離婚請求が認められないからといって、本件離婚判決が直ちに民事訴訟法118条3号にいう公序良俗違反となるというわけではないが、原告と被告が我が国で結婚し、婚姻生活も我が国において送ってきたものであって、それゆえ原告及び被告の離婚は、我が国における離婚事案であるといえなくもなく、さらに有責配偶者からの離婚請求が信義則に反する場合、離婚請求を認めることはできないという法理は、我が国の身分法秩序として確立されており、その意味で重要なものであるというべきであって、十分尊重されなければならないのである。

 こうした事情を勘案考慮すれば、本件離婚判決の内容は我が国の公序良俗に反するものというべきである。

 なお、被告は、外国離婚判決の効力判断の際の準拠法は法廷地法主義によるというのが一般的であると主張しているが、民事訴訟法118条3号においては、外国離婚判決の内容がまさに我が国の公序良俗に反するかどうかが問題となるのであって、それゆえ、被告の主張は失当である。

  (7) 以上のとおりであって、本件離婚判決は、民事訴訟法118条1号及び3号に違反するものであり、我が国においては効力を有しないというべきである。

 したがって、無効な離婚判決に基づき、平成18年5月2日に埼玉県鴻巣市長に対する届出によってされた原告と被告との離婚は無効である。

 4 離婚(予備的反訴)について

 前記3(6)で検討したとおり、原告と被告との婚姻関係はいまだ破綻しているとは認められず、仮に破綻しているとしても、被告は有責配偶者であり、その離婚請求は、本件における状況の下では信義誠実の原則に反して許されないというべきであり、したがって、被告の離婚請求は理由がない。

 5 よって、主文のとおり判決する。