東京高裁平成25年5月8日判決〔品確法94条1項の適用の有無〕

【オレンジ法律事務所の私見・注釈】

1 本件は、本件建物を新築したXらが新築住宅の木製窓等の内部に雨水が浸入し、窓に腐食や変色等が生じたため、本件建物の設計監理契約の相手方であるY1、同社代表取締役Y2、同社従業員で設計者Y3に損害賠償を請求した事案の控訴審である。

2 原審では、Yらに不法行為責任はないものとしたが、Y1の瑕疵担保責任を一部認め、Xらが権利行使をしていたものとして除斥期間は経過していないと判断した。

3 これを不服としたXらが控訴し、控訴審において、原審で認められた部分以外の瑕疵担保責任の除斥期間について、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という。)94条1項の適用の有無が争点となった。

Y1は、本件において、品確法94条1項にいう住宅新築請負契約における請負人は、a工務店でありY1ではないと主張したが、裁判所は、Xらはa工務店との間で本件建物の建築請負契約を締結していたが、XらとY1の間で、本件建物の木製ドア、本件木製窓等、作りつけ家具等に関する部材購入並びに木製ドアを除くそれらの施工請負契約を締結していたため、Y1が同建物に設定する本件木 製窓等の施行部分について同条の請負人に該当すると認定し、同条の適用を認め、Xらの本件訴訟提起はその除斥期間が経過していないとして損害賠償を一部認めたものである。

4 品確法は、住宅の性能に関する諸問題を解消するために、平成12年4月1日に施行されたものであり、①住宅の品質確保の促進 ②住宅購入者等の利益の保護 ③住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決 を図り国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

品確法の骨子の一つが瑕疵担保責任の特例であり、①新築住宅の取得契約(請負・売買)において、基本構造部分(柱、梁など住宅の構造耐力上主要な部分等)の瑕疵担保責任(修補請求権等)を10年間義務付ける ②新築住宅の取得契約(請負・売買)において、基本構造部分以外も含めた瑕疵担保責任の20年までの伸長も可能にする(国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」より)ものである。

新築住宅の瑕疵担保責任が問題となった場合に備えて、理解しておかなければならない法律といえよう。

【参考条文】

住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例)

第九十四条  住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第六百三十四条第一項 及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。

2  前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。

3  第一項の場合における民法第六百三十八条第二項の規定の適用については、同項 中「前項」とあるのは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十四条第一項」とする。

【原文】

主文

 一 控訴人らの控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

  (1) 被控訴人会社は、控訴人らに対し、各二四四万四一四三円ずつ及びこれに対する平成二〇年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

  (2) 控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

 二 被控訴人会社の附帯控訴を棄却する。

 三 訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人らと被控訴人Y2及び同Y3との間に生じた費用は控訴人らの負担とし、控訴人らと被控訴人会社との間に生じた費用はこれを四分し、その一を被控訴人会社の負担とし、その余を控訴人らの負担とする。

 四 この判決第一項(1)は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一 当事者の求めた裁判

 一 控訴の趣旨

  (1) 原判決を次のとおり変更する。

  (2) 被控訴人らは、連帯して、控訴人X1に対し、一〇四五万〇一九三円(ただし、被控訴人Y3は、九〇一万六八〇〇円の限度で)、控訴人X2に対し、一〇四五万〇一九二円(ただし、被控訴人Y3は、九〇一万六八〇〇円の限度で)及びこれらに対する平成二〇年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

  (3) 訴訟費用は、第一、二審を通じ、被控訴人らの負担とする。

  (4) 仮執行宣言

 二 附帯控訴の趣旨

  (1) 原判決中、被控訴人会社の敗訴部分を取り消す。

  (2) 上記取消部分に係る控訴人らの請求をいずれも棄却する。

  (3) 訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人らの負担とする。

第二 事案の概要

 一 事案の要旨

 本件は、原判決別紙物件目録記載一の土地(以下「本件土地」という。)上に同目録記載二の建物(以下「本件建物」という。)を新築した控訴人らが、本件建物の設計監理契約の相手方である被控訴人会社、同社の代表取締役である被控訴人Y2、同社の従業員で本件建物の設計者である被控訴人Y3に対し、次の(1)ないし(3)のとおりの各請求(なお、控訴人一人当たりの請求額は(1)ないし(3)の合計金額の二分の一ずつとなる。ただし、一円未満の金額については、控訴人X1請求分においてこれを切り上げ、控訴人X2請求分においてこれを切り捨てることにより調整する。)をしたところ、被控訴人らが、控訴人らの主張を争うとともに、除斥期間の経過を主張し、あるいは消滅時効を援用し、また、被控訴人会社が、控訴人X1の不法行為に基づく損害賠償請求権以外の請求権に対して、被控訴人会社が控訴人X1に対して有する監理報酬請求権一〇五万円との相殺を主張した事案である。

  (1) 設計監理に関する請求(後記(2)、(3)とは単純併合の関係)

   ア 被控訴人Y3、同Y2に対する主位的請求

 (ア) 被控訴人Y3及び同Y2が構造的に欠陥のある木製窓・窓枠を本件建物に選択した(以下、本件建物に設置された木製窓・窓枠を「本件木製窓等」という。)ことによる不法行為に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円(被控訴人Y2に対してはその内金一六二三万七一六五円を請求。後記(イ)とは選択的請求の関係)及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

 (イ) 被控訴人Y3及び同Y2が本件建物の全ての窓について適切な止水措置をとらなかったことによる不法行為に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円(被控訴人Y2に対してはその内金一六二三万七一六五円を請求。前記(ア)とは選択的請求の関係)及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

   イ 被控訴人会社に対する主位的請求

 被控訴人会社に対し、被用者である被控訴人Y3の前記アの不法行為についての使用者責任、代表取締役である被控訴人Y2の前記アの不法行為についての平成一七年法律第八七号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)二六一条、七八条、平成一八年法律第五〇号による改正前の民法(以下「旧民法」という。)四四条一項の責任に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円の内金一六二三万七一六五円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

   ウ 被控訴人会社に対する予備的請求

 (ア) 控訴人らと被控訴人会社間の設計監理契約の債務不履行に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円の内金一六二三万七一六五円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求(後記(イ)とは選択的請求の関係)

 (イ) 控訴人らと被控訴人会社間の本件木製窓等の売買契約の瑕疵担保責任に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円の内金一六二三万七一六五円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求(前記(ア)とは選択的請求の関係)

   エ 被控訴人Y2に対する予備的請求

 被控訴人会社の代表取締役である被控訴人Y2が、従業員である被控訴人Y3の指導監督を怠ったことによる旧商法二六六条の三に基づく損害賠償一八〇三万三六〇〇円の内金一六二三万七一六五円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

  (2) 説明義務違反に関する請求(前記(1)、後記(3)とは単純併合の関係)

   ア 被控訴人Y2に対し、同人の控訴人らに対する本件木製窓等の説明が虚偽であったことによる不法行為に基づく損害賠償四六一万三二二〇円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

   イ 被控訴人会社に対し、代表取締役である被控訴人Y2の前記不法行為に基づく旧商法二六一条、七八条、旧民法四四条一項による損害賠償四六一万三二二〇円(主位的請求)又は被控訴人会社の債務不履行に基づく同額の損害賠償(予備的請求)及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

  (3) 鍵の引渡拒否に関する請求(前記(1)、(2)と単純併合の関係)

   ア 被控訴人Y2に対し、同人が控訴人らに対する嫌がらせ目的で本件建物のドアの鍵を交付しなかったことによる不法行為に基づく損害賠償五万円及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

   イ 被控訴人会社に対し、代表取締役である被控訴人Y2の前記不法行為に基づく旧商法二六一条、七八条、旧民法四四条一項による損害賠償五万円(主位的請求)又は被控訴人会社の債務不履行に基づく同額の損害賠償(予備的請求)及びこれに対する平成一五年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の請求

 原審は、控訴人らの被控訴人会社に対する予備的請求(上記(1)ウ(イ))について、控訴人らに対し、それぞれ一万六七八三円ずつ及びこれに対する平成二〇年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払いを求める限度で認容し、控訴人らのその余の請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが主位的請求又は予備的請求全部の認容(ただし、遅延損害金の起算日が平成二〇年二月二七日と変更され、また、上記(1)ウ(イ)の請求根拠についても、売買契約の瑕疵担保責任から請負人の担保責任に変更された。)を求めて控訴し、被控訴人会社が請求全部の棄却を求めて附帯控訴した。

 二 当事者の主張等

 前提事実、争点及びこれに対する当事者の主張は、下記(1)のとおり補正し、下記(2)のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」の二及び三に記載のとおりであるから、これを引用する。

  (1) 原判決の補正

   ア 七頁二一行目末尾の次に改行して「〔設計監理に関する請求〕」を加える。

   イ 同二二行目末尾の次に「の有無(被控訴人らに対する主位的請求の成否)」を加える。

   ウ 八頁一一行目の「これらの」の次に「片開き窓三連の」を、同一二行目の「としている。」の次に「なお、控訴人らは、後述する防火認定の関係では、番号七、一五、二四の片開き窓及び両開き窓が組み合わされたものも連窓と呼称している。」をそれぞれ加える。

   エ 一〇頁一五行目の「的外れである。」の後に、改行して次のとおり加える。

 「 また、被控訴人らは、消滅時効の主張をするが、控訴人らが本件の被害及び損害を認識したのは、専門家にその原因調査を依頼し、また、見積作成を依頼した時点であるから、時効の起算点が甲六の作成時である平成二〇年一月二二日より以前であるということはない。」

   オ 同二三行目の「水切りがなくても」の次に「控訴人らにおいて」を加える。

   カ 一二頁一五行目全体を「(2) 被控訴人会社の債務不履行責任、請負人としての担保責任の有無(被控訴人会社に対する予備的請求)」に改める。

   キ 同二五行目全体を「イ 請負人の担保責任に基づく瑕疵修補に代わる損害賠償請求」に改める。

   ク 同二六行目の「原告らは」から一三頁一行目の「購入したが」までを次のとおり改める。

 「被控訴人会社は、本件建物の新築に当たり、控訴人らから本件木製窓等の設置を請け負ったが」

   ケ 一三頁二行目の「の固有」から同三行目の「欠いていた」までを「、設置上の瑕疵があった」に改める。

   コ 同八行目の「瑕疵担保責任の」を「担保責任に基づく」に改める。

   サ 同九行目末尾の後に次のとおり加える。

 「なお、本件木製窓等の瑕疵は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」という。)九四条一項にいう「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵であり、被控訴人会社は、同項により、引渡時から一〇年間担保責任を負うことになるから、除斥期間は経過していないというべきである。」

   シ 同一〇行目の「被告ら」を「被控訴人会社」に改める。

   ス 同一九行目全体を「イ 請負人の担保責任に基づく瑕疵修補に代わる損害賠償請求について」に改める。

   セ 同二〇行目の「構造上」の次に「、設置上」を加える。

   ソ 同二三行目の「原告らの」から同二五行目末尾までを次のとおり改める。

 「本件において、品確法九四条にいう住宅新築請負契約における請負人はa工務店であって、被控訴人会社ではない。したがって、仮に、控訴人らと被控訴人会社との間の契約が請負契約であったとしても品確法の適用はなく、本件建物の引渡しから一年以内に請求をしていない本件においては、控訴人らの損害賠償請求権は民法六三七条一項の除斥期間の経過により消滅している。」

   タ 同二六行目全体を「(3) 被控訴人Y2の同Y3に対する指導監督義務違反の有無(被控訴人Y2に対する予備的請求の成否)」に改める。

   チ 一四頁一一行目の「被告ら」を「被控訴人Y2」に改める。

   ツ 同一四行目末尾の次に改行して「〔説明義務違反に関する請求〕」を加える。

   テ 一五頁九行目の「被告ら」を「被控訴人会社及び被控訴人Y2」に改める。

   ト 同二一行目末尾の次に改行して「〔鍵の引渡拒否に関する請求〕」を加える。

   ナ 一六頁一二行目の「被告ら」を「被控訴人会社及び被控訴人Y2」に改める。

   ニ 同一八行目末尾の次に改行して「〔被控訴人会社の抗弁〕」を加える。

   ヌ 同二〇行目の「被告ら」を「被控訴人会社」に改める。

   ネ 同二二行目、二五行目及び二六行目の「原告ら」(三か所)をいずれも「控訴人X1」に改める。

  (2) 当審における当事者の主張

   ア 本件木製窓等の腐食の原因についての控訴人らの補充的主張

 控訴人らは、平成二一年三月にb社による修繕工事を実施し、番号一四、一六の窓の新規設置、その他の窓の水切りの設置、腐敗箇所の修繕、塗装のやり直し等を行った。しかし、その約三年五か月後である平成二四年八月の段階では、同月一六日に撮影した写真(甲四二)のとおり、いずれの窓も内部から腐食が進行し、番号一、三、五、七、一三、二〇、二四の窓については、早期に取り替える必要がある危険な状態に陥っており、番号八、九、一一、一二、一五、二三の窓についても、変色・腐食が明らかに進行中であり、取り替える必要性が高い状態となっている。

 以上のとおりであるから、本件木製窓等は構造上の原因により、内部に腐食が生じているものであり、表面の塗装等のメンテナンスの有無は、当該腐食とは関係がない。なお、腐食の進行に相違があるのは、雨がかりの具合(環境の苛烈さ)によるものというべきである。

   イ 本件木製窓等の瑕疵に関する控訴人らの追加的主張(防火認定の欠如)及びこれに対する被控訴人会社の反論

 (控訴人らの主張)

 本件木製窓等のうち、内開き・内倒し窓の両開き窓(番号三(型式d)、番号五(型式e)、番号一三(型式f)、番号二〇(型式g)、番号二一(型式e))については、設置当時に防火認定を受けておらず、防火性の確認が取れていないから瑕疵があるというべきである。また、単体の窓を連窓にする場合には、つなぎ目等の防火性が確保されるかどうかという問題があり、しかも開口部が大きくなれば防火性は低下する。したがって、少なくとも防火認定を受けていた窓幅を超えている内開き・内倒し窓の片開き窓及び両開き窓の連窓(番号七、一五(いずれも型式h)、二四(型式i))並びに内開き・内倒し窓の片開き窓三連の連窓(番号一六(型式j))は、防火認定を受けていない窓を設置したのと同様の瑕疵があるといえる。

 そして、上記各窓については、防火認定を受けた同等製品への取替費用が損害として認められるべきであり、その費用は、原判決別紙瑕疵一覧表の各番号に対応する修補費用等として控訴人らが主張している金額のとおりである。

 (被控訴人会社の主張)

 被控訴人会社は、c社に対し、本件建物で使用する窓を防火設備(乙種防火戸)として制作するように依頼し、c社において、以下のとおり防火認定を取得している。

 すなわち、c社は、内開き・内倒し窓について、防火認定を取得しているところ(乙二の三、三の三参照。認定番号EB―〇〇七一)、認定書に片開きか両開きかといった開き勝手の記載がないこと、控訴人の指摘するいずれの窓の窓幅及び窓高さも申請仕様の範囲内に収まっていることからすれば、上記の防火認定には、片開き窓及び両開き窓の双方が含まれているというべきである。

 また、乙三四(木製窓の防火認定書(認定番号EB―九一二四))及び三五(乙三四の防火認定に係る防火設備の仕様の概要)に記載されているように、個々の基本形式の最大寸法が、各々に規定するサッシ枠の内のり寸法の最大寸法以内であれば、同一又は他の基本形式を組み合わせる(すなわち連窓とする)ことができるとされており、控訴人らが指摘するiないしh型式の連窓も上記の条件を満たすから、これらについても防火設備としての条件を満たしているといえる。

第三 当裁判所の判断

 当裁判所は、控訴人らの請求は、被控訴人会社に各二四四万四一四三円ずつ及びこれに対する平成二〇年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおり補正、付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第三 判断」の一ないし七に説示するとおりであるから、これを引用する。

 一 原判決の補正

  (1) 一七頁七行目の「四一、」の次に「五五から六〇まで」を加える。

  (2) 二二頁四行目の「被告らは」から同五行目末尾までを次のとおり改める。

 「控訴人らは、この工事代金としてb社に二二〇万六〇八四円、当該工事のための足場工事を行ったa工務店に五六万三八五〇円をそれぞれ支払った。」

  (3) 同六行目の「注意義務違反等」の次に「-設計監理に関する被控訴人らに対する主位的請求の成否」を加える。

  (4) 同一八行目の「三一」の次に「、四三」を加える。

  (5) 二三頁一一行目の「せざるをえない」の後に次のとおり加える。

 「(なお、この点、控訴人らは、当審において、平成二一年三月にb社によって修繕工事が実施されたにもかかわらず、その後も、いずれの窓も内部から腐食が進行しているのは、本件木製窓等に構造上の原因があるからであると主張して、平成二四年八月一六日に撮影された本件木製窓等の状況の写真(甲四二)を提出している。しかしながら、当該写真をもってしても、直ちに、本件木製窓等の全てについて構造上の原因により内部に腐食が生じているとまで認めることは困難である。)」

  (6) 同一六行目の「裁判所の認定欄」を「当裁判所の判断欄」に改める。

  (7) 同一六行目の「認められる」の後に次のとおり加える。

 「(なお、当審において、平成二四年八月一六日に撮影された本件木製窓等の状況の写真(甲四二)が提出されているが、これにより当該認定を変更すべき点は見当たらない。)」

  (8) 同二三行目の「他方で」から同二四行目の「ことからすると」までを「甲一四及び四二によれば」に改める。

  (9) 二七頁七行目の「ケース二とされる」の次に「片開き三連の」を加える。

  (10) 二八頁三行目末尾の後に次のとおり加える。

 「これは、本件木製窓等の設置上の瑕疵というべきであり、これにより、これまでの間に、番号一、三、五、七ないし九、一一ないし一三、一五、一九ないし二一、二三、二四の窓に、原判決別紙瑕疵一覧表の当裁判所の判断欄記載のとおりの変色又は腐食が生じているといえる。」

  (11) 同四行目の「これについて」を「なお」に改める。

  (12) 同九行目冒頭から同一〇行目末尾までを削除する。

  (13) 二九頁二三行目冒頭から三〇頁八行目末尾までを削除し、三〇頁一二行目末尾の後に、改行して次のとおり加える。

 「 もっとも、上記認定からすれば、番号一四の窓については、障子と窓枠の調整が不十分であるなどといった設置上の瑕疵があったと推認するのが相当であり、これにより、同窓は、平成二一年三月に交換されるまでに、原判決別紙瑕疵一覧表の当裁判所の判断欄記載のとおりの腐食が生じていたといえる。」

  (14) 三〇頁一三行目冒頭から同一四行目末尾までを削除する。

  (15) 同一六行目の「番号一七の」の次に「掃き出し引き違い」を加える。

  (16) 三一頁二六行目の「上記(2)イ(オ)」の次に「及び同ウ(イ)」を加える。

  (17) 三四頁七行目の「被告会社に対する予備的請求」を「被控訴人会社の債務不履行責任、担保責任の有無」に改める。

  (18) 同一八行目冒頭から三九頁一九行目末尾までを次のとおり改める。

 「(2) 被控訴人会社の請負人としての担保責任について

   ア 瑕疵の存否について

 (ア) 設置上の瑕疵の存否について

 上記二(2)で述べたとおり、本件木製窓等に構造上の固有の瑕疵があると認めることはできないが、番号一、三、五、七ないし九、一一ないし一五、一九ないし二一、二三、二四の窓については、障子のガラスと枠の接合が不十分であったり、窓全体を均一に窓枠に圧着するという調整が不十分であったという点において、また、番号一七の窓については、ガスケットの取付方法に不備があったという点において、それぞれ設置上の瑕疵があったと認められる。

 (イ) 防火認定を取得していないという瑕疵の存否について

 本件建物に設置する窓については防火認定を受けている必要があることについては当事者間に争いがない。そして、控訴人らは、本件木製窓等のうち、内開き・内倒し窓の両開き窓(番号三(型式d)、番号五(型式e)、番号一三(型式f)、番号二〇(型式g)、番号二一(型式e))については、設置当時に防火認定を受けておらず、防火性の確認が取れていないから瑕疵があるというべきであり、また、少なくとも防火認定を受けていた窓幅を超えている内開き・内倒し窓の片開き窓及び両開き窓の連窓(番号七、一五(いずれも型式h)、二四(型式i))並びに内開き・内倒し窓の片開き窓三連の連窓(番号一六(型式j))は、防火認定を受けていない窓を設置したのと同様の瑕疵がある旨の主張をしている。これに対して、被控訴人らは、上記の窓はいずれも乙二の三(乙三の三)でされた防火認定(EB―〇〇七一)の対象に含まれている旨の主張をしている。

 そこで検討するに、片開き窓と両開き窓及び連窓とは構造が異なるものであるから、前者について防火認定がされたからといって当然に後者についても防火認定がされたことになるとはいえないというべきところ、乙二の三の(防火)認定書の別紙である乙三の三(認定をした構造方法又は建築材料の内容)をみると、内開き・内倒し窓の片開き窓についての記載しかされておらず、両開き窓や両開き窓と片開き窓の組合せ又は片開き窓だけの組合せ(いわゆる連窓)に関する記載はない。しかも、連窓については、上記防火認定において申請された窓幅は五〇〇mmないし一二〇〇mm、窓高さは五〇〇mmないし二三〇〇mmであるところ(乙三の三)、iという型式の連窓の窓幅及び窓高さは一七五〇mm、一一〇〇mmであり、jという型式の連窓の窓幅及び窓高さは一七五〇mm、一二〇〇mmであり、hという型式の連窓の窓幅及び窓高さは一七五〇mm、一三五〇mmであって、いずれも申請された窓幅を超えるものであることが認められる。

 そうすると、控訴人らが主張する両開き窓及び連窓については、乙二の三(三の三)の防火認定の対象に含まれていないと認めるのが相当である。

 これに対し、被控訴人会社は、他社の木製窓の防火認定の一つの認定番号に片開きと両開きの両方を含めていたり、窓の基本形式の組合せを認めている例があるとして、乙三四、三五を提出する。しかし、これらは、その記載から、防火認定の申請対象に両開き窓及び窓の基本形式の組合せ(連窓)が含まれていることが明らかであり、その上で、組合せの条件が指定されていることが認められ、防火認定書やその附属資料の記載からそのようなことが明らかとなっていない本件とは事情を異にするから、乙三四、三五をもって、上記で控訴人らが主張する両開き窓及び連窓がいずれも乙二の三(三の三)の防火認定の対象に含まれているということはできない。

 そうすると、番号三、五、七、一三、一五、一六、二〇、二一、二四の窓はいずれも、防火認定を受けていないという瑕疵があると認めるのが相当である。そして、控訴人らの主張からは漏れているが、番号一四の窓も番号一六の窓と同一の型式(j)である以上、同一の瑕疵があるというべきである。

   イ 除斥期間の経過の有無について

 品確法九四条一項は、「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵については、引渡時から一〇年間担保責任を負う旨を定めているところ、本件木製窓等の設置や防火認定に係る瑕疵は上記の瑕疵に該当する。そして、本件木製窓等は本件建物の引渡しと同じ平成一五年七月に控訴人らに引き渡されていると認められるところ、控訴人らは平成二〇年二月七日に被控訴人会社に対して本件の訴訟を提起しているから、除斥期間は経過していないというべきである。

 この点、被控訴人会社は、本件において、品確法九四条にいう住宅新築請負契約における請負人はa工務店であって、被控訴人会社ではないから同条の適用はない旨の主張をする。しかしながら、上記前提事実(4)のとおり、被控訴人会社は、本件建物の新築に当たり、同建物に設置する本件木製窓等の施工部分について控訴人らとの間で請負契約(本件請負契約)を締結したものであるから、同条の請負人に該当するというべきであり、被控訴人会社の上記主張を採用することはできない。

   ウ 取替工事等の費用相当額の損害について

 (ア) まず、防火認定を受けていないという瑕疵が認められた番号三、五、七、一三ないし一六、二〇、二一、二四については、窓の取替が必要というべきであり、当該取替工事に要する費用が損害になるというべきである。

 そして、その工事費用(税抜)は、乙一二の一及び三一によって、番号三については一五万六四〇〇円、番号五については一六万円、番号七については二五万八四〇〇円、番号一三については一六万円、番号一四については二八万円、番号一五については(番号七と同じ型式の窓であるので)二五万八四〇〇円、番号一六については二八万円、番号二〇については(番号一三と近い型式の窓であるので)一六万円、番号二一については(番号五と同じ型式の窓であるので)一六万円、番号二四については二八万円と認めるのが相当である(なお、番号一四及び一六の窓については、控訴人らが平成二一年三月にb社に依頼して取替工事を行い、サッシュ代金として九三万四七六〇円(税抜)を支払っているが、上記一(9)及び甲五五によれば、控訴人らは、当初被控訴人会社が設置した窓とは違ったタイプの窓を設置したことが窺われるところであるから、実支払額ではなく、乙一二の一及び乙三一により認められる価格の範囲で損害と認定するのが相当である。)。

 そうすると、上記費用の合計は二一五万三二〇〇円となる。

 (イ) 次に、防火認定を受けていないという瑕疵は認められないが、設置上の瑕疵が認められる窓のうち、乙三一により取替が必要とされた番号一、九、一九については、当該取替工事に要する費用が損害になるというべきである。

 そして、その工事費用(税抜)は、乙一二の一及び三一によって、番号一については一一万四四〇〇円、番号九については一四万三二〇〇円、番号一九については一〇万円と認めるのが相当である。

 また、防火認定を受けていないという瑕疵は認められないが、設置上の瑕疵が認められる窓のうち、乙三一によりアルミ水切の取付及び再塗装の補修が必要とされた番号八、一一、一二、二三並びにガスケットの交換及び木製建具の建付調整が必要とされた番号一七の窓については、それぞれ当該補修工事に要する費用が損害になるというべきである(なお、控訴人らは、平成一七年九月にa工務店に依頼して、番号一七の窓にシャッターを取り付けたことが認められるが、ガスケットの交換及び建付調節が適切な修補方法であると認められるため、シャッター取付費用を番号一七の窓に必要な修補費用であると認めることはできない。)。

 そして、その工事費用(税抜)は、甲二六及び乙三一によって、番号八については二万四八〇〇円、番号一一、一二については各一万二四〇〇円、番号一七については二万六八〇〇円、番号二三については一万二四〇〇円と認めるのが相当である。

 そうすると、上記費用の合計は四四万六四〇〇円となる。

 (ウ) 甲二六、乙三一によれば、窓の取替工事に伴いガラス工事、網戸工事及び足場工事も必要となることが認められるところ、乙三一によりガラス工事費用は取り替える窓一つ当たり一万円とし、網戸工事費用は(二六箇所の窓全部を取り替えることを前提とする)甲二六の価格(一六三万〇六〇〇円)に上記で取替が必要と認定された窓の数で按分した金額を認めるのが相当である。上記によれば、取替が必要とされた窓の数は一三であるから、ガラス工事費用は一三万円、網戸工事費用は八一万五三〇〇円(一六三万〇六〇〇円×一三/二六)となる。また、足場工事費用については甲二六、乙三一のとおり八七万円と認めるのが相当である(上記はいずれも税抜き価格である。)。

 (エ) 上記(ア)ないし(ウ)によれば、工事費用(税抜)の総額は四四一万四九〇〇円(二一五万三二〇〇円+四四万六四〇〇円+一三万円+八一万五三〇〇円+八七万円)となるところ、この工事費用の一一パーセントを諸経費として認め、さらにこれに消費税相当額(五パーセント)を上乗せするのが相当であり、その結果、最終的な工事費用相当額は五一四万五五六五円(四四一万四九〇〇円×一・一一×一・〇五)となる。

 (オ) ところで、控訴人らは平成一七年九月ころには本件木製窓等の変色等に気付き、平成一八年には腐食した窓があることにも気付いていたが、専門家(b社)に見てもらったのが平成一九年になってからであることを考慮すると、番号一、九、一九の窓が腐食に至った時期については明らかではないものの、当該腐食に至った原因の中に、木材の隙間から内部に雨水が浸入し(これは木製品一般に生じうることである。)、接合部等に変色等が生じたにもかかわらず、控訴人らにおいて、それを放置していたという面があったことを否定することはできない。そして、上記で取替又は補修が必要であると認められた窓に占める上記の三つの窓の個数やその工事費用の割合等も併せて考えると、当事者間の公平の観点から、上記(エ)の最終的な工事代金相当額から五パーセントを過失相殺的な処理として控除するのが相当である。

 そうすると、本件において担保責任に基づき被控訴人会社が負担すべき取替工事等の費用相当額の損害は四八八万八二八六円(五一四万五五六五円×〇・九五)となる。

   エ 慰謝料その他の損害について

 控訴人らは、取替工事等の代金相当額の損害以外に慰謝料の請求もするが、本件において、上記ウの損害に加えて慰謝料請求を認容するまでの事情は認められない。

 また、控訴人らは、調査費用及び弁護士費用の損害も主張している。しかしながら、既に認定したとおり、平成一五年七月の引渡しから一年以内に生じた第二グループの窓の雨漏りの原因は、番号一七の窓についてはガスケットの取付けの不備であり、それ以外の窓については、障子のガラスと枠の接合が不十分であったり、窓全体を均一に窓枠に圧着するという調整が不足であったことが原因であると認められるところ、控訴人らが、同年八月に一度修補された窓を含め、これらの窓の雨漏りについて被控訴人らにその後も連絡をしていれば、その段階で被控訴人会社が考えうる修補がされ、さらに雨漏りが生じたのであれば、被控訴人会社において雨漏りの原因を探ることができたであろうことを考慮すると、上記調査費用や弁護士費用を本件で認められた瑕疵と相当因果関係のある損害であると認めることはできない。

 なお、控訴人らは、被控訴人Y2の対応からすると、控訴人らが雨漏りについて被控訴人会社に連絡することはできなかったと主張するが、上記一(5)のとおり、控訴人らはファックス文書を送信することによって被控訴人会社に修補を依頼することも可能だったのであるから、控訴人らの主張は上記結論を左右するものとはならない。」

  (19) 三九頁二〇行目の「被告Y2に対する旧商法二六六条の三に基づく損害賠償請求」を「被控訴人Y2の指導監督義務違反の有無」に改める。

 二 控訴人らは、原審の認定、判断全般につき、被控訴人会社は、原審が相殺の主張を認めなかったことにつき、それぞれ縷々主張するが、いずれも上記一における原判決の補正を超えて、その結論を左右するものとはいえない。

第四 結論

 以上によれば、控訴人らの請求は、被控訴人会社に各二四四万四一四三円ずつ及びこれに対する平成二〇年二月二七日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからその限度で認容し、その余の請求は理由がないから、いずれも棄却すべきである。よって、控訴人らの控訴に基づき、これと異なる原判決をその旨変更することとし、また、被控訴人会社の附帯控訴は理由がないのでこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

【原文】

主文

 1 被告株式会社Y1は、原告らに対し、それぞれ1万6783円及びこれに対する平成20年2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は、原告らの負担とする。

 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

 被告らは、連帯して、原告X1に対し、1045万0193円(ただし、被告Y3は、901万6800円の限度で)、原告X2に対し、1045万0192円(ただし、被告Y3は、901万6800円の限度で)及びこれらに対する平成15年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 本件は、別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地」という。)上に同目録記載2の建物(以下「本件建物」という。)を新築した原告らが、本件建物の設計監理契約の相手方である被告株式会社Y1(以下「被告会社」という。)、被告会社の代表取締役である被告Y2(以下「被告Y2」という。)、被告会社の従業員で本件建物の設計者である被告Y3(以下「被告Y3」という。)に対し、次のとおりの各請求をしたところ、被告らが、原告らの主張を争うとともに、除斥期間の経過を主張し、あるいは消滅時効を援用し、また、被告会社が、原告X1(以下「原告X1」という。)の不法行為に基づく損害賠償請求権以外の請求権に対して、被告会社が原告X1に対して有する監理報酬請求権105万円との相殺を主張した事案である。

  (1) 設計監理に関する請求(後記(2)、(3)とは単純併合の関係)

   ア 被告Y3、被告Y2に対する主位的請求

 (ア) 被告Y3及び被告Y2が構造的に欠陥のある木製窓・窓枠を本件建物に選択した(以下、本件建物に設置された木製窓・窓枠を「本件木製窓等」という。)ことによる不法行為に基づく1803万3600円の損害賠償請求権(被告Y2に対してはその内金1623万7165円を請求。後記(イ)とは選択的請求の関係)とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

 (イ) 被告Y3及び被告Y2が本件建物の全ての窓について適切な止水措置をとらなかったことによる不法行為に基づく1803万3600円の損害賠償請求権(被告Y2に対してはその内金1623万7165円を請求。上記(ア)とは選択的請求の関係)とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

   イ 被告会社に対する主位的請求

 被告会社に対し、被用者である被告Y3の上記アの不法行為についての使用者責任、代表取締役である被告Y2の上記アの不法行為についての平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」という。)261条、78条、平成18年法律第50号による改正前の民法(以下「旧民法」という。)44条1項の責任に基づく1803万3600円のうち1623万7165円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

   ウ 被告会社に対する予備的請求

 (ア) 原告らと被告会社間の設計監理契約の債務不履行に基づく1803万3600円のうち1623万7165円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権(後記(イ)とは選択的請求の関係)

 (イ) 原告らと被告会社間の本件木製窓等の売買契約の瑕疵担保責任に基づく1803万3600円のうち1623万7165円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権(上記(ア)とは選択的請求の関係)

   エ 被告Y2に対する予備的請求

 被告会社の代表取締役である被告Y2が、従業員である被告Y3の指導監督を怠ったことによる旧商法266条の3に基づく1803万3600円のうち1623万7165円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

  (2) 説明義務違反に関する請求(上記(1)、後記(3)とは単純併合の関係)

   ア 被告Y2に対し、同被告の原告らに対する本件木製窓等の説明が虚偽であったことによる不法行為に基づく461万3220円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

   イ 被告会社に対し、代表取締役である被告Y2の上記不法行為に基づく旧商法261条、78条、旧民法44条1項による461万3220円の損害賠償請求権(主位的請求)、被告会社の債務不履行に基づく同額の損害賠償請求権(予備的請求)と、これらに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

  (3) 鍵の引渡拒否に関する請求(上記(1)、(2)と単純併合の関係)

   ア 被告Y2に対し、同被告が原告らに対する嫌がらせ目的で本件建物のドアの鍵を交付しなかったことによる不法行為に基づく5万円の損害賠償請求権とこれに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

   イ 被告会社に対し、代表取締役である被告Y2の上記不法行為に基づく旧商法261条、78条、旧民法44条1項による5万円の損害賠償請求権(主位的請求)、被告会社の債務不履行に基づく同額の損害賠償請求権(予備的請求)と、これらに対する平成15年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の請求権

 2 前提事実(かっこ内に証拠等の記載がない事実は当事者間に争いがない。)

  (1) 被告Y3は、被告会社の従業員であり、一級建築士である。被告Y2は、被告会社の代表取締役であり、原告らとの交渉、折衝を直接担当した。

  (2) 原告らは、本件土地上に住居兼動物病院を建築するため、有限会社k(以下「k社」という。)に設計監理を依頼していたが、k社との間の設計監理契約を解除し、同社の行った本件建物の建築確認申請を取り下げ、平成13年8月21日、原告X1は被告会社と、要旨、次の内容の設計監理契約(以下「本件設計監理契約」という。)を締結した。(甲2、22、36、乙15、弁論の全趣旨)

   ア 委託業務

 本件建物の設計業務(基本設計業務、実施設計業務)、工事監理業務

   イ 期間(予定)

 設計業務 平成13年8月から平成14年3月まで

 工事監理業務 平成14年2月から平成14年10月まで

   ウ 報酬 735万円(消費税込み)

  (3) 原告X1は、完了時に支払うべき105万円を除き、被告会社に対し、本件設計監理契約の報酬を支払った。

  (4) 原告らは、株式会社a工務店(以下「a工務店」という。)との間で本件建物の建築請負契約を締結していたが、平成14年6月20日、原告らと被告会社の間で、本件建物の木製ドア、本件木製窓等、作りつけ家具等に関する部材購入(以下「本件部材供給契約」という。)並びに木製ドアを除くそれらの施工請負契約(以下「本件請負契約」という。)を代金2306万6110円で締結した。原告らは、被告会社に対し、本件部材供給契約及び本件請負契約の代金を支払った。

  (5) 被告会社は、平成14年に本件建物の建築確認申請を行い、同年9月12日に確認申請の許可が出た。(甲32の1及び2)

  (6) a工務店は、本件建物を完成させ、平成15年7月に原告らに引き渡した。(弁論の全趣旨)

  (7) 平成15年8月9日、本件建物の3階ダイニング南側の窓(別紙瑕疵一覧表の番号17の窓。以下、同一覧表の番号のみで特定する。)の窓枠の下部から雨水が室内に侵入し、ダイニングの床等が水浸しになった。同月15日には番号11の窓の下部から雨水が室内に侵入し、壁や床等が水浸しになった。さらに、同月16日には番号13の窓のガラス廻りの下部から雨水が浸入し、壁や靴入れ、床等が水浸しとなった。原告らは、被告会社に修補を求め、被告会社は、同月下旬に、パッキングの交換や調整、コーキング等を行った。(甲22、23、28、乙15、30、弁論の全趣旨)

  (8) 原告らは、平成17年9月に、a工務店に依頼して、番号17の窓に雨よけシャッターを設置した。(甲5の9、28)

  (9) 原告らは、被告会社に平成19年11月20日に到達した書面で、被告会社に対し、本件木製窓等から雨水が浸入することから、瑕疵修補請求権に基づき、被告会社が設置した本件木製窓等全ての取替え及び雨漏りにより生じたしみや塗装の剥がれ等の修補を行うよう求めた。(甲7の1及び2)

  (10) 原告らは、平成20年2月7日に、本件木製窓等からの雨漏りについて、主位的に、被告らに対し不法行為に基づく損害賠償を、予備的に、被告会社に対し債務不履行に基づく損害賠償を求めて東京地方裁判所に本件訴訟を提起した。なお、この訴状及び平成22年7月8日の本件第9回弁論準備手続期日において陳述した同年6月29日付け準備書面で、原告らは、被告会社が工事監理を完了していないことなどが本件設計監理契約の履行遅滞にあたるとして、本件設計監理契約の未払報酬105万円について同時履行の抗弁を主張した。また、原告らは、平成22年9月6日の本件第10回弁論準備手続期日において陳述した同年8月22日付け準備書面で、被告会社の本件設計監理契約の債務不履行(履行不能)を理由として、同契約を解除する旨の意思表示をした。

  (11) 原告らは、平成21年3月ころ、番号14及び番号16の窓を撤去して、新たにアルミの水切りが付いた木製窓・窓枠を設置し、その他の窓については塗装をやり直し、アルミの水切りを設置する修補工事を行った。(甲11、18、36、弁論の全趣旨)

  (12) 本件訴訟は、調停手続に付され、調停委員会は、平成21年6月4日、本件建物の現地調査を行った。

  (13) 被告らは、仮に、被告らに原告らに対する不法行為責任が生じていたとしても、同責任に基づく損害賠償請求権は消滅時効が成立しているとして、平成22年11月22日の本件第12回弁論準備手続期日において陳述した同月18日付け準備書面で、消滅時効を援用する旨の意思表示をした。また、被告会社は、上記弁論準備手続期日において陳述した上記準備書面で、原告X1の請求のうち不法行為に基づく損害賠償請求権以外の請求権と、被告会社が原告X1に対して有する105万円の監理報酬請求権を対当額で相殺する旨の意思表示をした。

  (14) 本件木製窓等は、壁に接している木製の窓枠と、窓の開閉できる部分である障子とで構成されており、障子には、木製の縦框と下桟、上桟で構成された枠があり、その枠の中にガラスが入れられている。(乙3の1から5まで)

 3 争点及びこれに対する当事者の主張

  (1) 被告らが本件木製窓等を選択したことについての注意義務違反等

 (原告らの主張)

   ア 本件木製窓等の選択に関する注意義務違反

 (ア) 被告Y3は一級建築士という建築の専門家であり被告会社の従業員として設計監理を行う者として、被告Y2は部材供給及び工事請負を行う被告会社の担当者として、それぞれ原告らに対し、雨水の浸入を防止しうる木製窓・窓枠を選択すべき注意義務を負っていた。しかるに被告Y3及び被告Y2はそれを怠って、次のような構造上の固有の瑕疵のある本件木製窓等を本件建物に設置した。

  a 内開き・内倒し窓の窓枠(番号1から13まで、15、18から26まで。原告らはこれらの窓を「ケース1」としている。)には障子の縦框と下桟に1ミリメートル程度の隙間があり、そこから雨水が浸入し、木材の接合部が無塗装で水を吸収しやすいため腐食を進行させる構造となっている。また、障子の下桟にアルミの水切りがないため、雨水の浸入を防げない構造となっている。

  b 内開き・内倒し連窓(番号14、16。原告らはこれらの窓を「ケース2」としている。)は、窓枠どうしを直接とめ接合し方立としている部分と、窓枠の下枠と方立の接合部から雨水が浸入する構造となっている。

  c 掃き出し引き違い窓(番号17。原告らはこの窓を「ケース3」としている。)には窓枠の下枠の室内側に立ち上がりがないため、雨水が吹き込む構造となっているし、障子の下桟の下部面には止水のためのゴム(以下「ガスケット」という。)と金属下枠レールが完全密着しないことによって生じた隙間があり、室内側の隙間が大きいため、いったん吹き込んだ雨水が外部に逃げにくい構造となっている。

 (イ) これらの本件木製窓等の構造上の固有の瑕疵により、本件木製窓等には別紙瑕疵一覧表の現状欄記載のとおりの雨漏り及び腐食などが生じ、原告らには次のとおりの損害が生じた。

  a 補修費用相当損害金

 本件木製窓等からの雨水浸入及び腐食の原因は、丸窓を除く他の形式の窓でも共通の形式、構造となっており、気象条件による腐食の進行度合いに相違はあるものの、雨水の浸入を完全には防止できない以上、腐食は現在も進んでいる。番号19及び番号22の丸窓においても接合の構造は共通であり、腐食は進行中である。したがって、本件木製窓等を全て取り替える以外に修補方法はない。その費用は、別紙瑕疵一覧表の補修費用等欄記載のとおり、合計1470万円となる。

  b シャッター設置費

 番号17の窓については、雨漏りによる被害が深刻であったため、これを避けるために原告らは雨よけのシャッターを設置する必要があり、その設置費用として19万円を要した。

  c 慰謝料

 原告らの精神的苦痛を慰謝するには各100万円を要する。

  d 欠陥調査鑑定費用

 本件木製窓等の欠陥の調査を専門家に依頼したところ、調査費用として44万3600円を要した。

  e 弁護士費用

 本件訴訟を遂行するために必要な弁護士費用は、少なく見積もっても170万円を下回らない。

   イ 止水措置に関する注意義務違反

 被告Y3は設計者として、被告Y2は部材供給及び工事請負を行う被告会社の担当者として、それぞれ本件建物の全ての窓について、窓上の軒を深くとるか、窓に水切り等を別途設置するなどの止水措置をとるべき注意義務を負っていた。しかるに同被告らはそれを怠り、本件木製窓等について、窓上の軒を深くとらず、窓に水切り等も設置しなかった。被告らがこの義務を負うのは、本件木製窓等に構造上の瑕疵があるからである。

   ウ 被告らの責任原因

 被告Y3及び被告Y2は原告らに対し、不法行為責任を負う。また、被告Y3は被告会社の被用者、被告Y2は被告会社の代表取締役であり、被告Y3及び被告Y2の不法行為は被告会社の業務執行にあたってされたものであるため、被告会社は被告Y3の上記ア、イの不法行為について使用者責任を、被告Y2の上記ア、イの不法行為について旧商法261条、78条、旧民法44条1項の責任を負う。

   エ 被告らの主張に対する反論

 被告らは、過失相殺を主張するが、本件木製窓等の雨漏りは引渡後1か月も経たないうちに発生しているのだから、メンテナンスの問題ではない。

 原告らは、被告らが雨漏り対策を放棄してしまったため、自ら雨よけのシャッターを設置し、雨が入らないよう対策し、また雨漏り箇所にパテを充てて修補するなど、可能な限りメンテナンスを超える対策をとってきた。原告らは、木製窓・窓枠を扱っている様々な業者に問い合わせたが、他社製ということで修補等をことごとく断られてきた。そのため本件木製窓等の腐敗、変色等は防止できなかったものであり、メンテナンス不足を主張する被告らの主張は的外れである。

 (被告らの主張)

   ア 本件木製窓等の選択に関する注意義務違反について

 被告らは、本件建物について雨水の浸入を防止しうる建材、部材(本件木製窓等)を適切に選択しており、注意義務違反はない。本件木製窓等の中に雨漏りが生じていない窓があることは、本件木製窓等の構造に何の問題もないことの証左である。

   イ 止水措置に関する注意義務違反について

 本件においては、水切りがなくてもメンテナンスをしていれば雨水の浸入は防げたのであり、原告らの主張する止水措置と雨水の浸入とは無関係である。また、本件木製窓等には防火設備認定の関係で水切りを設置することもできなかった。さらに、k社が行った設計を踏襲することが原告らの強い要望であり、被告らには本件建物の設計にあたり、窓上の軒を深くとるべき義務もない。

   ウ 被告Y3の責任について

 被告Y3は、被告会社の従業員として本件木製窓等を選定したものであり、原告らに対する注意義務を負わない。

   エ 相当因果関係がないこと

 (ア) 本件建物に用いた本件木製窓等に雨水の浸入が生じた原因は、番号17及び番号18を除き、原告らが被告らの説明どおり、3、4年ごとの再塗装というメンテナンスを行わなかったことによるものであり、本件木製窓等の選択との間に因果関係がない。

 (イ) 木製窓・窓枠は、水が入ってすぐに腐るということはあり得ない。木製窓・窓枠が本件木製窓等のような状況になる過程には、塗装の表面塗装膜の色落ち、塗膜のヒビ又は剥がれ、窓枠の接合部の収縮などによる隙間の発生、この部分の黒ずみ、変色などがあった。原告らは、毎日窓の開け閉めをして本件木製窓等を使用しており、これらの変化には気付いていたのである。原告らの請求に鑑みれば、原告らが遅延損害金の始期としている平成15年8月1日には、原告らにおいて損害を回避させ、減少させる措置をとることができたはずである。また、原告らは、その主張によると、遅くとも平成15年10月末には本件木製窓等の雨漏りに気付いていたのであるが、同年9月1日以降、雨水の浸入が生じている等という連絡を被告らに一切せず、その対策を講じなかったため、損害を拡大させている。同日以降の損害は、本件木製窓等の選択との間に相当因果関係はないし、この時期以降に生じた損害の全てが民法416条1項の通常生ずべき損害であるということはできない。

   オ 過失相殺

 仮に、被告らに何らかの責任が認められるとしても、原告らが本件木製窓等について適切なメンテナンスをしていれば、腐食などは進まず、現状まで雨漏り等は進行しなかったのだから、原告らが適切なメンテナンスをしなかったことについて過失相殺されるべきである。

 また、原告らは、平成15年9月以降平成19年11月19日に至るまで、被告らに対し、本件木製窓等について雨水の浸入が生じているなどの連絡を一切しなかった。本件では、雨水の浸入が生じた初期の段階では、簡易な方法により修繕をすることが可能であった。しかるに、原告らは、漫然と雨水の浸入が生じた状態を放置し続けたり、素人の独断で不適切な処置を行ったりして、損害をいたずらに拡大させた。この観点からも、本件では応分の過失相殺がされるべきである。

   カ 消滅時効

 原告らの主張によると、原告らは遅くとも平成15年10月には本件木製窓等の雨漏りに気付いていたというのであり、その時点から本訴提起まで3年以上が経過している。被告らは、消滅時効を援用する。

  (2) 被告会社に対する予備的請求

 (原告らの主張)

   ア 債務不履行による損害賠償請求

 被告会社は、本件設計監理契約の当事者として、本件建物が安全で快適な状態で使用できるよう適切に設計監理を行うべき契約上の義務を負っている。しかるに、被告会社は、上記(1)ア(ア)aからcまでのとおり、構造上の固有の瑕疵のある本件木製窓等を選択し、また、本件木製窓等に上記(1)イのような止水措置をとらなかった。

 これにより、別紙瑕疵一覧表の現状欄記載のとおりの雨漏りが生じ、原告らは、上記(1)ア(イ)のとおり総額1803万3600円の損害を受けた。

   イ 瑕疵担保責任による損害賠償請求

 (ア) 原告らは、本件部材供給契約(売買契約)により被告会社から本件木製窓等を購入したが、本件木製窓等には、上記(1)ア(ア)aからcまでのとおり、雨水の浸入を防止できず、腐食を免れないという構造上の固有の瑕疵があり、木製窓・窓枠が通常有すべき性状を欠いていた。これにより、別紙瑕疵一覧表の現状欄記載のとおりの雨漏りがあり、原告らは、本件木製窓等を交換するなどの必要が生じ、上記(1)ア(イ)のとおり総額1803万3600円の損害を受けた。

 (イ) 原告らは、雨漏りの発生を確認した直後の平成15年8月16日には被告会社に対して瑕疵担保責任の請求をしており、原告らの損害賠償請求権は保存されている。

 (被告らの主張)

   ア 債務不履行による損害賠償請求について

 (ア) 本件木製窓等には構造上の固有の瑕疵はない。本件木製窓等に雨漏りが生じたとすれば、それは、原告らが適切なメンテナンスを行わなかったからである。また、本件木製窓には防火設備認定の関係で水切りを設置することができなかったし、軒を深くとらないことが原告らからの指示であった。したがって、被告会社に債務不履行はない。

 (イ) 相当因果関係が認められないことや過失相殺などについては、上記(1)のとおりである。

   イ 瑕疵担保責任による損害賠償請求について

 (ア) 上記アのとおり、本件木製窓等には構造上の瑕疵はないし、原告らの主張する損害との間に相当因果関係もない。また、仮に損害があるとしても過失相殺されるべきである。

 (イ) 原告らの本件請求は、本件木製窓等の不具合を知ってから1年を経過した後にされており、原告らの瑕疵担保請求権は除斥期間経過により消滅している。

  (3) 被告Y2に対する旧商法266条の3に基づく損害賠償請求

 (原告らの主張)

   ア 被告Y2は、被告会社の代表取締役として、本件建物の設計監理を適切に実施し、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵がないよう、適切な建材部材を選択し、設計上可能な止水措置をとるよう被告Y3を指導監督すべきであった。しかるに被告Y2はそれを怠ったため、被告Y3は、上記(1)ア(ア)aからcまでのような構造上の固有の瑕疵のある本件木製窓等を選び、また、同(1)イ記載のような止水措置をとらなかった。

   イ これにより、別紙瑕疵一覧表の現状欄記載のとおりの雨漏りが生じ、原告らは、本件木製窓等を交換するなどの必要が生じ、その取替費用など総額1803万3600円の損害を受けた。

 (被告らの主張)

 本件木製窓等には構造上の固有の瑕疵はないし、被告Y3には止水措置をとるべき義務もない。また、原告らの主張する損害との間に相当因果関係もない。仮に、損害があるとしても、過失相殺されるべきである。

  (4) 被告Y2の説明義務違反等の有無

 (原告らの主張)

   ア(ア) 被告Y2は、原告らに対し、被告会社内に見本として置いてあった外国製と称する木製窓・窓枠を提示し、本件建物に設置する木製窓・窓枠はこの製品である、外国で作られた製品が輸入され、国内で一部修正するなどと説明し、原告らをして高額な外国製品であると誤認させて、被告会社との間で本件部材供給契約を締結させた。しかし、本件木製窓等は、部材を輸入して、それを国内で組み立てたものであった。(メンテナンスに関する説明、保証書に関する説明は事情である。)。

 (イ) 被告Y2の上記虚偽説明がなければ、原告らは、被告Y2が提示したような高額な金額を支払わなかった。そのため、実際の購入金額の2割にあたる461万3220円が被告Y2の虚偽説明による損害である。

 (ウ) 被告Y2は被告会社の代表取締役であり、被告会社の業務の執行にあたり、上記(ア)の虚偽説明をしたため、被告会社は、旧商法261条、78条、旧民法44条1項の責任を負う。

   イ 被告会社は、外国で作られた製品を輸入して国内で一部修正した木製窓・窓枠を本件建物に設置すると原告らと合意したにもかかわらず、それを履行しなかった。原告らは、被告会社の本件部材供給契約の債務不履行により、上記のとおり、461万3220円の損害を受けた。

 (被告らの主張)

 本件木製窓等は輸入部材であり、防火設備の認定要件を満たすために網入りガラスにしたものである。本件木製窓等は、被告会社の指示のもと、c株式会社(以下「c社」という。)が外国から木材、金具などを輸入して、同社が防火設備に適合するよう加工した。

 本件木製窓等は、国土交通大臣の認定を受けた防火設備でなければならないが、被告らは、原告らに対し、木製窓・窓枠の部材は輸入するが、国土交通大臣の認定を受けた防火設備にするために、加工は日本で行わなければならないことを説明し、原告らはこれを了承した。したがって、被告らは原告らが主張するような虚偽の説明はしていない。

 原告らは本件部材供給契約を締結するにあたり、木製窓・窓枠には高い関心をいだいていたが、それが外国で加工、完成されたものであることは何ら重視していなかった。

  (5) 鍵の引渡拒否による損害賠償請求権の有無

 (原告らの主張)

   ア(ア) 被告Y2は、原告らに対する嫌がらせ目的で、被告会社が設置したドアの鍵(1階西面の外から多目的室に入るドアの上の鍵1本を除く全ての鍵、エレベーター前のホールと多目的室との間のドアの上下全ての鍵、4階寝室に入るドアの鍵)をa工務店から取り上げ、意図的に原告らに引き渡さなかった。

 (イ) 被告Y2の上記行為は原告らの安全、快適な生活を妨害するものであり、被告Y2の不法行為により、原告らは鍵の取替費用5万円の損害を受けた。

 (ウ) 被告Y2は被告会社の代表取締役であり、被告会社の業務の執行にあたり、上記(ア)の不法行為をしたため、被告会社は旧商法261条、78条、旧民法44条1項の責任を負う。

   イ 被告会社は、原告らとの契約上、鍵を引き渡す義務があるのに、それを履行しなかった。被告会社は、原告らに対し、債務不履行に基づく損害賠償として、鍵の取替費用5万円の損害を賠償する責任がある。

 (被告らの主張)

 ドアの鍵は、堀商店に発注し、堀商店から直接a工務店に引き渡されており、a工務店がドアの鍵も設置している。被告Y2は原告らが主張するような行動は一切とっていない。

 原告らは鍵の取替えを主張して、その費用5万円を損害と主張するが、鍵の紛失については再製作が可能であるから、原告らの主張するような鍵の取替えは不要である。

  (6) 監理報酬請求権の存否(相殺の抗弁)

 (被告らの主張)

 原告X1は、被告会社に対し、本件設計監理契約に基づく報酬105万円を支払っていない。原告らは、報酬請求権について、監理業務との同時履行の抗弁や解除を主張するが、被告会社には監理業務の懈怠はないため、同時履行の抗弁や解除の要件を満たさない。

 (原告らの主張)

 被告会社は監理業務を完了していないため、報酬は発生しない。原告らは、同時履行の抗弁により支払を留保している。また、原告X1は、監理業務の債務不履行(履行不能)により、本件設計監理契約を解除する。

第3 判断

 1 証拠(甲1の1及び2、2、3、4の1から3まで、5の1から10まで、6、7の1及び2、8、9、10の1から4まで、11、12、14、17から20まで、22、23、28、32の1から4まで、34の1から3まで、36、37、39の1から4まで、41、乙4、5、6の1及び2、7、8の1から3まで、9、10、13から16まで、21、25の1から7まで、26の1から4まで、29の1から4まで、30、原告X1本人、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると次の事実が認められる。

  (1) 原告らは、診療所兼住居を建築するために、平成13年2月9日に、自宅近所のa工務店から本件土地を持分2分の1ずつの割合で購入した。原告らは、当初は、動物病院の設計の経験があるk社に建物の設計を依頼し、同社は設計図書を作成して建築確認も取得した。

 しかし、原告らは、本件建物を南欧風の建物にしたいという希望を強くしたため、同年7月ころに、雑誌を見て、そこに掲載されていた建物を設計したという被告会社に連絡をとった。被告Y2らが原告らのイメージするような建物を建てることができると述べたので、原告らは、k社との間の設計監理契約を解除し、同社が行った確認申請を取り下げ、原告X1は、被告会社との間で、平成13年8月21日、本件設計監理契約を締結した。本件設計監理契約では、報酬は総額735万円(消費税込み)、原告X1は、契約締結時に140万円、基本設計完了までに175万円、実施設計完了までに175万円、工事着工後1か月後に70万円、上棟時に70万円、完了時に105万円を支払うこと、被告会社は、各業務を完了したときは、業務完了報告書に成果図書を添えて原告X1に提出し、原告X1は確認の上受領した旨を書面で被告会社に通知するなどと定められていた。

 (甲1の1及び2、2、22、36、乙16)

  (2) 被告会社は、k社の設計をもとに、原告らと打合せをして本件建物の設計図書を完成させて確認申請を提出した。本件建物の設計は、k社の設計では、本件建物の壁にパネルを貼るようにされていたのを塗り壁とし、窓の位置を少し変え、屋根をイタリアン瓦とするよう変更された。また、窓や窓枠を木製とするため、確認申請書に添付された設計図書では、防火戸と記載された。本件建物の窓は、k社の設計の段階から、壁面とほぼ同じ平面上(k社の設計には一部出窓があったが、被告会社の設計では出窓ではなくなった。)にあり、軒や庇が設置されていなかったが、被告会社の設計においても、窓には軒や庇は設置されなかった。なお、本件建物の実際の設計は被告会社のAが担当したが、被告Y3は、被告会社に専属している建築士として、設計図書に名前を記載し、確認申請書にも設計者として氏名を記載した。(甲32の1及び2、乙13から16まで)

  (3) 原告らは、被告会社の事務所でドイツ製の木製窓・窓枠の見本を、被告Y2の自宅で木製窓・窓枠の見本をそれぞれ見て、本件建物に木製窓・窓枠を設置することとした。もっとも、原告X1らは、文献を見ると木製窓・窓枠は水に弱いなどの記載もあり、長年の間に腐ったりしないかなど耐用性について不安を持っていたため、被告Y2にその点の確認をしたところ、被告Y2は、一定の期間で塗装をすれば、木製であっても全然問題がないと答えた。他方、被告Y2は、原告らに対し、本件建物に設置する木製窓・窓枠は防火戸である必要があるため、日本において、ガラスを網入りガラスに変える必要があると説明した。

 原告らと被告会社は、本件木製窓等や、室内に設置するドアなどについて、平成14年6月ころ、代金額を2306万6110円として本件部材供給契約及び本件請負契約を締結した。

 実際には、本件木製窓等は、被告会社の下請業者であるc社が、輸入された木製部材を用いて日本国内で製作したものであり、窓枠とガラスのシールは、c社が、同社の工場で耐熱シーリング材を用いて行っていた。

 原告らは、平成15年2月初旬に、完成した本件木製窓等を見て、本件部材供給契約締結前に被告会社などで見た窓・窓枠と異なると思ったが、完成した木製窓・窓枠を本件建物に設置することになった。

 (甲3、4の1から3まで、5の3から5まで、8、9、10の1から4まで、22、36、乙9、16、21)

  (4) a工務店は、平成15年7月末ころ、本件建物を原告らに引き渡した。被告Y2と原告X1は、同月中旬ころ、現場に置いてあった残材の引取りの件などで口論となり、被告Y2らは現場から材料を引き上げるなどしていたため、被告Y2らは原告らが本件建物に入居する日を知らなかった。そのため、原告らは、完了検査を経る前に本件建物に入居し、その後も本件建物の完了検査は行われないままであった。また、被告会社は、監理業務の最終的な業務完了報告書を原告X1に未だ提出していない。

  (5)ア 本件建物では、平成15年8月9日に台風による大雨が降った際、番号17の窓の障子の下部から室内に大量の雨が流れ込んだ。原告らは、被告らに連絡をとり、修補を依頼した。また、同月15日、番号11の窓から雨水が浸入し、壁や床等を水浸しにしたので、原告らは、被告会社に電話で連絡をし、修補を依頼した。さらに、同月16日、番号13の窓の障子のガラス部分の下部から雨水が浸入し、壁や靴入れ、床等を水浸しにしたため、原告X1は、被告会社に電話をして修補を依頼するとともに、「今度は3F玄関東側の窓。ガラスまわりより雨漏りひどい。これで3カ所目。おたくの商品はあちこちで雨漏りしていったいどうなっているのか、解答求む!」と記載したファックス文書(以下「本件ファックス文書」という。)を被告会社に送信した。

 被告会社は、同月下旬ころに本件木製窓等の修補に行き、番号17の窓には、窓枠の下枠に溜まった水を排出するためにレールに数か所穴を開ける処置をし、その他の窓にはパッキングの交換や調整、コーキング等を行った。

 しかし、その後も大雨の後などに窓からの雨水の浸入が続き、上記のような修補をした窓からの雨水の浸入も続いた。原告らは、被告らに連絡をしても十分な対応をしてもらえないと考えて、遅くとも平成15年10月3日以降は、被告会社に連絡をとらなくなっていた。

 (甲22、23、28、36、乙16)

   イ 平成15年9月終わりころ、被告Y2は、原告X1に対し、電話で、本件設計監理契約の監理料の残金を請求した。その際、被告X1は、被告Y2に対し、雨漏りの件もあるし、どんな監理をしてくれたのかの説明が必要であるなどと述べ、原告X1と被告Y2は、口論になった(これについて、被告Y2は、本人尋問において同月終わりころに電話したことは記憶にないと供述し、同被告が作成した陳述書(乙16)には、同年8月下旬に本件建物の修補に行った際に、設計監理料残金の請求をしたとの記載がある。しかし、被告Y2は、本人尋問において、本件建物の修補に行った際には、雨漏りという負い目があるので残代金を請求できなかったと思う旨を供述しているから、原告X1が本人尋問において供述するとおり、被告Y2が残金を請求したのは同年9月下旬の電話であると認めるのが相当である。他方、原告らは、被告Y2から代金を請求された際、原告X1は被告Y2に対し、雨漏りが直っていない旨を伝えたと主張する。しかし、原告らの主張によると、原告X1は、同年9月下旬の電話の際に雨漏りが直っていない旨を伝えたが、被告会社は修補に応じなかったため、同年10月3日にも再度、電話で修補を要求したものの、被告会社はこれについても対応しなかったことになるが、このような経過は、原告X1が同年8月15日には被告会社に対し、本件ファックス文書で雨漏りの発生を連絡していることに比べると不自然である。そして、被告Y2は、同年8月下旬の修補工事後は、原告らから雨漏りがあったと聞かされていないと供述していることも考慮すると、同年9月下旬の電話の際に、原告X1が被告Y2に対し、雨漏りを理由に被告会社の監理内容について質問したことは認められるとしても、その際、雨漏りが直っていないあるいは他に雨漏りが生じている旨を伝えたと認めることはできない。)。

  (6) 原告らは、平成17年9月に、a工務店に依頼して、番号17の窓にシャッターを取り付け、同社に工事代金19万円を支払った。これにより、大雨が降った際、原告らは室内からシャッターを閉めることによって、番号17の窓から室内への雨水の浸入を防ぐことができるようになった。

 原告らは、このころから他の窓にも黒い変色を認めるようになり、平成18年ころになると、木材に腐食した箇所も生じるようになっていた。そのため、原告X1は、平成19年9月ころ、ホームセンターで材料を購入し、番号1、番号7及び番号9の窓の腐食した部分を取り除き、充填剤で修補をするなどの処置をした。

 (甲5の9、28、36)

  (7) 原告らは、平成19年10月に、木製サッシュの修理業者であるb社に調査費用3万3600円を支払って本件木製窓等を見てもらったところ、同社は、番号14の窓などは腐食が激しいため、取り替える必要があること、その他の窓についても塗装を含めた防水工事の必要があることを原告X1に伝えた。(甲5の10、12、28、36)

  (8) 原告らは、被告会社に対し、平成19年11月20日に到達した書面で本件木製窓等の修補を求め、被告らに対し、平成20年2月に本件訴訟を提起した。(甲7の1及び2)

  (9) 原告らは、平成21年3月に、番号14の窓が、障子の下框の木枠がつぶれ、亀裂が入ったこと、番号16の窓も木部の腐食がひどいことから、b社に依頼して、これらの窓を撤去し、新たにアルミの水切りの付いた木製窓・窓枠を設置した。また、その他の窓については塗装をやり直し、アルミの水切りを設置する修補工事を行った。被告らは、この工事代金として、b社に約290万円を支払った。(甲11、18、28、36)

 2 争点(1)(被告らが本件木製窓等を選択したことについての注意義務違反等)について

  (1) 本件木製窓等の雨漏り、変色、腐食の有無について

   ア 原告らは、別紙瑕疵一覧表の現状欄記載のとおり、全ての本件木製窓等に、平成15年8月から10月には雨漏りが生じたと主張しているが、原告X1の本人尋問の結果によると、番号2、4、6、10、18、22、25及び26の窓(以下、これらを「第1グループの窓」といい、これ以外の窓を「第2グループの窓」ということもある。)についてはこれまで雨漏りは生じていないことが認められる。

 また、原告らは、本件木製窓等全てについて、黒ずみ、変色、かびの発生など(以下、これらの現象を「変色等」という。)が生じているだけでなく、内部が腐食している旨を主張し、それに沿った証拠(甲6、13の1及び2、14から16まで、19、20、27の1及び2、31)を提出し、証人B(以下「証人B」という。)は、本件木製窓等は、構造上の原因により木材内部に水が入り込み、内部から腐食しているため、外部に変色等を来しているものは、内部が腐食していると考えられ、外部の変色等の度合いが少ないものについても、塗装などといった外部からの処置だけで足りるかどうかは分からない旨を証言する。

 しかし、証拠(甲39の1から4まで、41、乙31、原告X1本人)及び弁論の全趣旨によると、本件木製窓等の中には第1グループの窓のように雨漏りが生じていない窓があり、調停委員会は、現地調査の後、これらの窓について、修補方法として窓・窓枠の交換でなく、アルミ水切りの取付けと再塗装を提案していること、平成24年2月ころに、原告らが本件木製窓等の修補を依頼した株式会社アイランドプロファイル(以下「アイランドプロファイル」という。)も、第1グループの窓については、窓・窓枠の交換でなく、塗装のやり直しを提案していることが認められるから、これらの窓については、外部に変色等が生じているとしても、内部に腐食が生じているとまでは認めることはできない。そうすると、本件木製窓等全てについて、構造上の原因により内部に腐食が生じているとまでは認められないから、腐食の有無については、本件木製窓等の個々の写真や、調停委員会が現地調査に基づいて提案した修補案、アイランドプロファイルの提出した修補工事の見積書の工事内容から認定せざるをえない。

   イ 以上を前提に、証拠(甲6、13の1及び2、14から16まで、19から23まで、28、31、35、36、39の1から4まで、41、乙10、31、原告X1本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨により本件木製窓等の個々の雨漏りや変色等、腐食の有無等について判断すると、別紙瑕疵一覧表の裁判所の認定欄記載のとおり認められる。

 なお、証拠(甲39の1から4まで、41、乙31、原告X1本人)によると、番号20、23の窓については、調停委員会は、アルミ水切り取付けと再塗装を修補方法として提案していたが、アイランドプロファイルは窓の交換が必要としていること、これらの窓は本件建物の東面にあるが、本件建物東面にある他の窓には腐食が生じていることが認められるから、これらの窓については、調停委員会の現地調査及びb社の修補工事の後に腐食が進行した可能性もあるが、他方で、番号20及び23の窓の現状は証拠上、必ずしも明らかでないことからすると、番号20及び23の窓が現状で腐食しているとまでは認めることはできない。

  (2) 本件木製窓等に構造上の固有の瑕疵があるといえるかについて

   ア(ア) 本件木製窓等に構造上の固有の瑕疵があるかどうかについて、原告らは、窓は建物の外気に面する開口部であり、外部からの水(雨水)の浸入を防止することが強く求められる箇所であるため、木材であるから隙間から多少の雨漏りが生じても構わないというものではないと主張する。

 確かに、窓である以上、木製品であるから雨漏りが生じても構わないということはいえないが、他方で、上記1(3)のとおり、原告らも、本件建物に設置するのは木製窓・窓枠であることは認識しており、被告Y2に腐食の可能性などについて質問していたというのだから、本件木製窓等に構造上の固有の瑕疵があるかどうかについては、木製窓・窓枠であることを前提に判断すべきである。

 (イ) そこで、木製窓・窓枠の特徴について検討すると、証拠(甲11、12、18、28、36、乙10、21、23、27、証人B、証人C(以下「証人C」という。)、原告X1本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、①木製品は、金属とは異なり、湿度の変化などにより収縮する特性があり、木材が縮んだ場合、木材の接合部に隙間が生じ、そこから雨水が内部に侵入し、腐食に至る場合もあること、②木材が腐食に至るまでには一定の時間が必要となり、その間には、雨水の浸入部分付近にも変色等が見られ、原告らも、平成15年7月に本件建物の引渡しを受け、平成17年9月ころには本件木製窓等の変色等に気付き、平成18年には腐食に気付いていたこと、③木製窓・窓枠について説明をした雑誌には、外側に露出した木部には3年から5年を目安に塗装が必要で、メンテナンス次第では朽ちることもあると記載しているものもあることが認められる。また、前掲の証拠及び弁論の全趣旨によると、木製窓・窓枠には、塗装の剥がれや変色等が生じることがあること、木材の接合部から雨水が浸入し、その結果、木材の内部が腐食するに至る際には、上記の接合部などにも変色等が生じることが認められるところ、b社も、変色等が生じていた本件木製窓等について、修補方法として塗装のやり直しを提案している窓があることが認められるから、変色等が生じた木製窓・窓枠の修補方法として、塗装のやり直しは適切な方法であると認められる。

 これらを総合すると、もともと木製窓・窓枠は、塗装の剥がれや変色等が生じたり、木材の収縮等により接合部に隙間が生じ、そこから雨水が内部に侵入し、腐食に至る場合もあるという性質を有するものであるため、外部に変色等の症状が出た場合には、再塗装をするなどして雨水が内部に侵入するのを防ぐ必要があると認めるのが相当である。

 (ウ) なお、原告らは、被告Y2から、木製窓・窓枠は10年に1度の塗装をすれば全然問題がないと言われた旨を主張し、原告X1本人はそれに沿った供述をする。しかし、証拠(乙23、27、証人C)及び弁論の全趣旨によると、木製窓・窓枠については、一般に、再塗装は3年から5年に1度実施することが推奨されており、これが木製窓・窓枠を扱う者の一般的な常識であるとされていることが認められるため、被告Y2が本人尋問において供述するとおり、被告Y2も、原告らに対しては、3、4年に1回は塗装ないしワックスをすることが必要であると説明したと認めるのが相当である。

   イ 内開き・内倒し窓について

 本件木製窓等のうち、原告らが内開き・内倒し窓(ケース1)だとする窓について、上記アを踏まえて、原告らが主張するような構造上の固有の瑕疵があるかどうかについて検討する。

 (ア) 原告らは、番号14、番号16及び番号17以外の窓がケース1の窓であると主張している(甲16によると、番号19及び番号22の丸窓についても、縦框と下桟の接合部に起因するという点で内開き・内倒し窓の接合部の話は妥当するとの記載ある。)が、上記(1)のとおり、これらの窓の中には、第1グループの窓のように、雨漏りは生じておらず、腐食が生じたとは認められない窓がある。

 (イ) 証拠(甲15、21、35、証人B)及び弁論の全趣旨によると、本件木製窓等のうち、ケース1とされる窓の中には、平成21年3月から4月にかけてBらが3回にわたって本件建物を調査した際に、障子の縦框と下桟の接合部に1ミリメートル程度の隙間があり、その部分の接着剤に隙間があるものがあったことが認められる。上記のBらによる調査をもとに作成されたBらの意見書(甲15、以下「B意見書」という。)には、接着剤の隙間は、製品の当初のものの状態か、その後の劣化によるものかは不明であるが、雨水浸入の兆候が竣工後早い時期から生じていることを考えると、製品の当初の状態であったことが強く推定されると記載されているが、証人Bは、証人尋問において、平成15年8月当初の雨水の浸入の原因は、当初の状態を知らないので分からないとも証言していること、原告らがケース1とする窓の中には第1グループの窓のように、雨漏りも腐食も生じていないものがあることからすると、原告らがケース1と主張している窓全てについて、製品製作当初から接着剤に隙間があったと認めることはできない。

 したがって、本件木製窓等に、製品製作当初から接着剤に隙間があり、障子の縦框と下桟の接合部分に1ミリメートルほどの隙間があったという構造上の固有の瑕疵があったと認めることはできない。

 (ウ) B意見書では、ケース1の窓は、木材の接合部が無塗装であるため、接合部から毛細管現象で浸入した雨水が吸収されやすいことも構造上の問題点である旨が記載されており、証人Bはそれに沿った証言をする。しかし、同証人は、木製品の性質として収縮があり、そのため隙間が生じることもあり、その隙間から水漏れや雨漏りなどが発生することや、内部から腐食することはありうることであるが、本件木製窓等については、接合部に塗装があれば、木製窓・窓枠の腐食の進行を遅らせることができたとも証言しており、接合部に塗装があれば、木製窓・窓枠の腐食が生じなかったとまでは証言していない。そして、被告Y3が作成した意見書(乙10)では、同被告は、原告らがケース1とする窓のうち、証人Bが無塗装であることを問題としている接合部には、木口全体に接着剤を塗ることで耐水膜ができると考えていたことが認められ、証人Bも、ケース2とされる窓については、窓枠どうしの接合部に使用された角材(以下「コネクター」という。)に接着剤あるいはコーキングが使用されていれば、コネクターに水が直接浸入することはないと証言している。そして、ケース1とする窓の接合部には、塗装はされていなかったものの接着剤は用いられていたことも考慮すると、接着剤により耐水性を期待することも可能であると考えられるから、無塗装であることが本件木製窓等の構造上の固有の瑕疵であるということはできない。

 (エ) 原告らは、本件木製窓等の障子の下桟にアルミの水切りがないことも構造上の瑕疵だと主張するが、証拠(甲21、30、乙27、証人B)及び弁論の全趣旨によると、木製窓・窓枠には障子の下桟にアルミの水切りの設置されていないものも製品として市場に出回っていること、Bも、障子にアルミの水切りがないことは、雨水が浸入したことの間接的な原因になっていると考えていることも認められるため、障子の下桟にアルミの水切りが設置されていないことが、本件木製窓等の構造上の固有の瑕疵であると認めることはできない。

 (オ) もっとも、証拠(甲22、23、28、36、39の1から4まで、41、乙10、原告X1本人、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、本件木製窓等のうち第2グループの窓から番号14、番号16及び番号17の窓を除いた窓については、平成15年7月の本件建物の引渡しから1年以内に雨漏りが生じたが、この雨漏りの原因は、障子のガラスと枠の接合が不十分であったり、窓全体を均一に窓枠に圧着するという調整が不十分であったことが原因であると認めるのが相当である。

 これについて、原告らは、本件建物の引渡しから1年以内に雨漏りが生じたのも、障子の縦框と下桟との間の隙間の存在や接合部が無塗装であること、アルミの水切りが設置されていないことが原因であると主張するが、製品製作当初から障子の縦框と下桟に1ミリメートル程度の隙間があったと認めることができないため、原告らの主張は採用できない。

 (カ) 以上から、ケース1とされる窓については、原告らが主張するような構造上の固有の瑕疵は認められない。

   ウ 内開き・内倒し連窓について

 (ア) 原告らは、番号14及び番号16の窓がケース2に該当すると主張しているが、上記1(9)、2(1)のとおり、これらの窓には、障子や窓枠に変色等や腐食が生じ、原告らが平成21年3月にこれらの障子及び窓枠をb社に依頼して、アルミの水切りが設置された木製窓・窓枠に交換していることが認められる。

 (イ) 証拠(甲15、21、35、証人B)及び弁論の全趣旨によると、番号14及び番号16の窓では、障子のみならず窓枠の下桟の腐食も進んでいたこと、証人Bは、これらの窓は、窓枠どうしをとめ接続した上に、窓枠どうしの接合部のコネクターに接着剤も塗装もされていないため、窓枠どうしをとめ接続した部分の隙間から雨水が内部に入り、接合部のコネクターを介して雨水の窓枠木材内部への浸入をより容易にしたものであり、接合部のコネクターに接着剤あるいは塗装をすべきであったし、窓枠どうしの接合部に枠を付けるなどする必要があったと考えていることが認められる。

 しかし、証人Bは、この点についても、窓枠どうしの接合部のコネクターに接着剤等を使用していれば、木材の腐食の進行を遅らせることができたと証言するものであり、接合部のコネクターに接着剤や塗装がされていれば、木材の腐食が生じなかったとまでは述べていない。また、証人Cは、本件木製窓等においては、窓枠どうしの連結部にシーリングがあれば好ましかったものの、木製窓・窓枠においては、窓枠どうしを直接とめ接合して方立とする構造はそれほど珍しいものでもないと証言している。

 確かに、木材は収縮する特性があるため、窓枠どうしを直接とめ接合すると、木の収縮に伴って、接合部に隙間が生じることは考えられる。しかし、証拠(甲6、11、13の1及び2、14、15、19、31、乙4、10、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、番号7、番号15及び番号24の窓はいずれも片開き・両開き窓であり、窓枠どうしを直接とめ接合している部分があること、このうち番号24の窓は、窓枠どうしを直接とめ接合している部分の下部に変色等や腐食が生じていることが認められるが、番号7及び番号15の窓枠にこの特徴が顕著であるとまでは認めることはできないこと、番号14の窓については、平成21年1月30日に一級建築士であるDが外部からホースで水をかけて雨漏りの状態を確認しているが、その際、障子の下框と窓枠の下枠との間からの水漏れが顕著に現れていること、被告Y3は、雨漏りが継続するときはその部分に腐食が生じうる旨や、窓枠の下桟と縦框の接合部から内部への浸入が内部の腐食の原因ではないかと考えている旨を供述していることも認められる。

 そうすると、番号14の窓については、障子と窓枠の調整が不十分で、そのため、障子と窓枠の間からの雨漏りが続き、その結果、窓枠の接合部から内部に雨水が浸入し、腐食が生じた可能性も否定できない。

 また、木材が、もともと上記アのような内部に雨水が浸入し、腐食に至る危険性を有するものであること、原告らは平成17年9月ころには本件木製窓等の変色等に気付き、平成18年には腐食した窓があることにも気付いていたが、番号14及び番号16の窓について専門家に見てもらったのが平成19年になってからであることも考慮すると、番号14及び番号16の窓が腐食にまで至った経緯は、木材の隙間から内部に雨水が浸入し(これは木製品一般に生じうることである。)、接合部等に変色等が生じたにもかかわらず、それを放置していたからであるという可能性もある。

 そうすると、窓枠どうしを直接とめ接合したことや、接合部のコネクターに接着剤や塗装がされていないことが、ただちに木材内部の腐食に至る原因になるとは認めがたく、このような本件木製窓等の特質が、本件木製窓等の構造上の固有の瑕疵であるとまでは認めることができない。

 したがって、番号14及び番号16の窓についても原告らが主張するような構造上の固有の瑕疵は認められない。

   エ 引き違いサッシュ(番号17の窓)について

 原告らがケース3としている番号17の窓については、証拠(甲15、21、証人B、被告Y3本人)によると、①窓枠の下枠の室内部に立ち上がりがないこと、②障子の下面部の止水のためのゴム(ガスケット)と窓枠の金属下枠レールが完全密着せずに隙間があり、室内の方の隙間が大きいことから、雨水が室内に浸入しやすくなっていたことが認められる。

 しかし、上記①については、証拠(甲15、乙10、27、証人C、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、番号17の窓は、ヘーベシーベと呼ばれる引き戸であり、この窓を設置することによって、室内とベランダの段差をなくすことができること、障子の下面部に付いているガスケットが窓の重みで下がり、それにより障子と窓枠の隙間がなくなり、屋外から屋内への雨水の浸入を防ぐという仕組みであること、ヘーベシーベは引き違い窓に比べて機密性はかなり高いとする見解もあることが認められるから、窓枠の下枠の室内部に立ち上がりがないということが、本件木製窓等に構造上の固有の瑕疵であると認めることはできない。

 他方、②については、証拠(甲15、乙31)及び弁論の全趣旨によると、Bらが本件建物を調査した結果、Bらは、出荷時のガスケットの取付方法に問題があると考えていたこと、調停委員会もガスケットの交換等を修補方法として提案していたことが認められるから、②は番号17の窓の不具合であると認めるのが相当である。

  (3) 次に、被告Y2及び被告Y3が本件木製窓等を選択したことについての注意義務違反があるかどうかについて検討する。

   ア 原告らは、被告Y2及び被告Y3が構造上の固有の瑕疵のある本件木製窓等を選択したことを注意義務違反と主張する。しかし、原告らがケース1及びケース2としている窓については、上記のとおり、構造上の固有の瑕疵は認められないし、ケース3とされる窓については、ガスケットの取付けに不備があったことは認められるが、これを構造上の固有の瑕疵であるということはできない。また、証拠(乙27、30、証人C、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、本件木製窓等は木製窓・窓枠として構造上特殊なものではなく、被告会社がそれまで設置した木製窓・窓枠についても、本件建物のような腐食にまで至るようなものはなかったことが認められる(上記2(2)アによると、木製窓・窓枠は、変色等が生じうるものであり、その場合は、塗装のやり直しなどで修補するものであると認められる。)。これらによると、被告Y2及び被告Y3に部材選択の注意義務違反を認めることはできない。

   イ もっとも、上記のとおり、本件木製窓等の中には引渡し後1年以内に雨漏りが生じた窓があったことが認められ、そのうち、番号17の窓を除いては、上記(2)イ(オ)のとおり、本件木製窓等の施工過程において、障子のガラスと枠の調整や、窓全体を窓枠に圧着するという調整が不十分であったことが原因であると認められる。しかし、このような、個々の窓の製作上の不具合の有無についてまで、本件建物の設計を担当した被告Y3や被告Y2に部材選択の注意義務を課すことはできないから、被告Y3や被告Y2に部材選定についての不法行為を認めることはできない。

   ウ また、番号17の窓(ケース3)については、証拠(乙10、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、被告会社では、それまでは1階にヘーベシーベと呼ばれるこの型の窓を設置しており、3階のような風圧が高く、サッシに水平に雨があたると考えられる高所に設置したのは本件建物が初めてであったことが認められる。

 しかし、証拠(甲6、32の2、36、乙10、31、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、番号17の窓は壁面から1.2メートルほど奥に設置されており、窓の屋外側はバルコニーとなっており、上の階の床部分が庇状に1.2メートルほどせり出し、バルコニーの両脇も3階の壁面で囲まれていること、番号17の窓について、平成15年8月にされたのは、下枠のレールに雨水を排出するための穴を開けるという修補であったことも認められる。

 これらによると、番号17の窓の雨漏りは、ガスケットの取付方法の不備によるものであると認めるのが相当であるから、この点についても、被告らに部材選定についての注意義務違反を認めることはできない。

 なお、ガスケットに不具合が生じた場合であっても雨漏りが生じないようにするような配慮義務が被告らにあるかどうかも検討すると、番号17の窓が、上記のとおり、障子の重みで障子と窓枠を圧着させるという仕組みで作られており、引き違い窓よりも機密性はかなり高いとする見解もあることや、番号17の窓が壁面から1.2メートル奥に設置されていることなどからすると、ヘーベシーベの窓のガスケットに不具合があることまでを考慮した雨漏り防止の措置をとる必要があるとは認められない。

   エ 以上のとおり、被告Y2及び被告Y3には部材選定の不法行為を認めることはできない。

  (4) 原告らは、被告Y3及び被告Y2は、本件建物の全ての窓について、窓上の軒を深くとるか、窓にアルミの水切りを設置するなどの止水措置をとるべき義務を負っていたのに、それを怠った旨を主張する。

   ア 原告らは、本件木製窓等が構造上の瑕疵があるものであるため、被告Y3及び被告Y2には原告らが主張するような止水措置をとるべき義務を負っていたと主張するが、本件木製窓等には構造上の瑕疵は認められないため、被告Y3及び被告Y2に、原告らの主張するような注意義務があるとはただちに認めることはできない。また、証拠(乙30、証人C、被告Y2本人、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、本件木製窓等は構造上特殊なものではなく、被告会社がそれまで軒や庇、水切りを付けないで建物に設置した木製窓・窓枠についても、本件建物のような腐食に至るようなものがなかったことが認められるから、被告Y2及び被告Y3に原告らが主張するような止水措置についての注意義務違反を認めることはできない。

   イ また、番号17の窓については、上記(3)ウのとおり、窓の上に上階の床部分が1.2メートルほどせり出す形になっているため、これ以上に、庇や軒をとる必要性があると認めることはできない。そして、雨漏りの原因が、障子のガスケットの取付方法の不備であることからすると、障子の下桟にアルミの水切りを設置する必要性があるとも認められない。したがって、番号17の窓について、被告Y3及び被告Y2には原告らが主張するような注意義務違反は認められない。

 よって、この点に関する原告らの主張には理由がない。

  (5) 被告会社の被告Y3の不法行為についての使用者責任及び代表取締役である被告Y2の不法行為についての旧商法261条、78条、旧民法44条1項の責任の成否について

 上記のとおり、被告Y3と被告Y2の不法行為はそもそも認められないから、それを前提とする被告会社の責任も認めることはできない。

  (6) 以上から、被告Y3及び被告Y2の不法行為を前提とする原告の被告らに対する請求には理由がない。

 3 争点(2)(被告会社に対する予備的請求)について

  (1) 被告会社の債務不履行責任について

   ア 本件木製窓等については、上記2(3)と同様の理由により、被告会社の本件木製窓等の選択についての債務不履行は認められない。なお、原告らも、本件設計監理契約は、原告X1と被告会社間の契約であることを認めているため、本件設計監理契約の当事者であることを前提とする原告X2の債務不履行の主張は、その余の点を判断するまでもなく認められない。

   イ 本件木製窓等に止水措置をとらなかったことについても、上記2(4)と同様の理由により、被告会社に軒や庇を設置したり、アルミの水切りを設置するような義務があったと認めることもできない。

   ウ 以上から、被告会社の債務不履行責任を認めることはできない。

  (2) 被告会社の瑕疵担保責任について

   ア 本件木製窓等の瑕疵について

 上記2(2)のとおり、番号17の窓については、ガスケットの取付方法に不備があったことは認められるが、その他の窓については、原告らが主張するような構造上の固有の瑕疵があると認めることはできない(番号11及び番号13の窓を含め、引渡しから1年以内に雨漏りが生じたという窓については、障子のガラスと枠の調整や、窓全体を窓枠に圧着するという調整の不足により、引渡し直後に雨漏りが生じたと認められるが、原告らは、これを瑕疵としては主張しないとしている。)。

 なお、被告らは、番号18の窓について、建付調整に不具合があることを認めているが、原告X1は、本人尋問において、この窓を雨漏りが生じていない窓であると供述していること、原告らも建付調整の不具合を瑕疵として主張していないことから、この点を瑕疵と認めることはできない。

   イ 被告らは、除斥期間の経過を主張するので、念のため、番号17以外の窓も含めて除斥期間の経過を検討する。

 (ア) まず、原告らが隠れた瑕疵を知った時期について検討すると、番号11、番号13及び番号17の窓については、雨漏りが発生したという平成15年8月9日から15日であると認めるのが相当である。

 他方、第2グループの窓から上記3つの窓を除いた窓についても、平成15年7月の引渡しから1年以内に雨漏りが生じていたことが認められる上、証拠(甲28、36、原告X1本人)によると、原告らは、平成17年9月ころには本件木製窓等について変色等が生じたものがあることに気付いていたというのである。そうすると、原告らは、遅くとも、平成17年9月ころには本件木製窓等には、雨漏りが生じるか、変色等が生じることを知ったと認めるのが相当である。

 (イ) そこで、原告らの瑕疵担保の損害賠償請求権が保存されているかについて検討すると、番号11、番号13及び番号17の窓については、原告らは平成15年8月に被告会社に対して修補を求め、被告会社はそれに応じて同月下旬に修補工事をしていることが認められる。このとき、原告らが被告会社に請求したのは修補であり、売買契約の瑕疵担保責任に基づく損害賠償ではないが、瑕疵に対する対応を求めるものという点では同一のものであることから、損害賠償請求権についても権利は保存されていると認めるのが相当である。

 他方、原告らは、番号11、番号13及び番号17以外の窓についても、平成15年8月に修補を請求しており、除斥期間内に権利行使をしているから損害賠償請求権は保存されていると主張する。しかし、売買の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権を保存するには、少なくとも、売主に対し、具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある(最高裁判所昭和63年(オ)第1543号、平成4年(オ)第1460号同10月20日第三小法廷判決)。原告らは、番号11、番号13及び番号17以外の窓についても本件ファックス文書で権利行使をしたと主張するが、本件ファックス文書の内容は、上記1(5)アのとおり、「今度は3F玄関東側の窓。ガラスまわりより雨漏りひどい。これで3カ所目。おたくの商品はあちこちで雨漏りしていったいどうなっているのか、解答求む」という内容にすぎない。そして、被告らが平成15年8月に番号11、番号13及び番号17の窓の修補に行った際、原告らがその外の窓についての修補あるいは損害賠償請求を求めたと認めるに足りる証拠もないことも考慮すると、本件ファックス文書は、番号11、番号13及び番号17の3箇所の窓について権利行使をしたといえるが、その外の窓についても権利行使したものであると認めることはできない。

 したがって、番号11、番号13及び番号17以外の本件木製窓等の売買瑕疵担保責任は、仮に、成立したとしても、除斥期間の経過により消滅していると認めるのが相当である。

 (ウ) これに対し、原告らは、番号24の窓について、番号17の窓とともに、平成15年8月11日(後に、8月9日と訂正)に、雨漏りがあったことを被告会社に連絡した旨を主張し、その証拠として甲28、甲33の1及び甲38を提出する。

 しかし、原告らがその根拠として提出する証拠(甲33の1、38)には、「3階ダイニング南ドア」あるいは「3階南ドア」としか記載がないことが認められる。また、本件ファクス文書にも、「これで3箇所目」としか書いていない。そうだとすると、原告らが、番号24の窓についても平成15年8月9日に被告会社に瑕疵の存在を伝えたと認めることはできない。

 (エ) また、原告らは、番号7及び番号8の窓について、平成15年10月3日に雨漏りが生じたので被告会社に連絡をしたと主張する。しかし、これについては、原告X1も、被告会社の従業員に電話で伝えただけだと供述していること、原告らが証拠として提出する2004年(平成16年)の手帳(甲33の2)には、同年1月4日に、前年に雨漏りを伝えた旨の記載があるだけであることも認められる。さらに、証拠(甲34の2、3、乙29の2、3)によると、本件建物のある練馬区では、平成15年9月26日から同年10月3日までの天気は、曇りあるいは晴天で、降雨量はゼロとなっていたことも認められる。

 これらによると、原告X1が平成15年10月3日に、番号7及び番号8の窓について、雨漏りを理由として被告会社に瑕疵修補を請求したと認めることはできない。

 (オ) 以上によると、番号17の窓については、ガスケットの取付方法の不備という製造上の瑕疵があったと認められ、これについて損害賠償請求権は保存されているが、それ以外の窓についての損害賠償請求権は認めることはできない。

 原告らは、被告Y2の対応から平成15年10月以降、被告会社に連絡をとることができなかったのであり、被告らに連絡をとらなかったことは原告らの落ち度でない旨を主張するが、瑕疵担保に基づく損害賠償請求権は、除斥期間の経過により法律上当然消滅する性質のものだから、原告らの主張は上記結論を左右するものにはならない。

   ウ(ア) そこで、原告らの損害賠償請求権の価額について検討すると、番号17については、証拠(乙31、被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によると、ガスケットの交換及び建付調整が必要であり、その修補費用としては、3万3566円(工事代金2万8800円に11パーセントの諸経費を加え、消費税を加算した金額)を認めるのが相当である。番号17の窓がバルコニー部分に設置されていることからすると、この工事にあたり、足場の設置が必要であると認めることはできない。

 なお、証人Bは、番号17の窓の幅が広いことから、ガスケットの接着がうまくいかない旨を証言するが、証拠(甲39の1から4まで、乙31)及び弁論の全趣旨によると、調停委員会も番号17の窓についてはガスケットの交換及び建付調整で足りるとしていること、アイランドプロファイルはこの窓の修補方法として再塗装を提案しており、特に窓の構造等に関する修補方法を提案しているわけでもないことからすると、番号17の窓の修補方法としては、ガスケットの交換及び建付調整で足りると認めるのが相当である。

 また、原告らは、平成17年9月にa工務店に依頼して、番号17の窓にシャッターを取り付けたことが認められるが、ガスケットの交換及び建付調節が適切な修補方法であると認められるため、シャッター取付費用を番号17の窓に必要な修補費用であると認めることはできない。

 (イ) 被告らは、原告らが平成15年8月以降、被告らに連絡しなかったことを理由に損害との相当因果関係を争い、あるいは過失相殺を主張する。しかし、番号17については修補方法としてガスケットの交換及び建付調整が相当であると認められるところ、これは、平成15年8月以降に被告らに連絡をしなかったことにより拡大した損害であるとは認められないから、上記損害額を相当因果関係あるいは過失相殺によって減額する必要は認められない。

   エ このように、本件木製窓等について、被告会社の責任が認められるのが、番号17の窓の瑕疵担保責任に限られること、これについては、被告会社も平成15年8月下旬には一度は修補に応じているなどの本件に現れる事情を考慮すると、原告らに慰謝料を認めることはできない。

 また、調査費用44万3600円及び弁護士費用については、既に認定したとおり、平成15年7月の引渡しから1年以内に生じた第2グループの窓の雨漏りの原因は、番号17の窓についてはガスケットの取付けの不備であり、それ以外の窓については、障子のガラスと枠の接合が不十分であったり、窓全体を均一に窓枠に圧着するという調整が不足であったことが原因であると認められるところ、原告らが、同年8月に一度修補された窓を含め、これらの窓の雨漏りについて被告らにその後も連絡をしていれば、その段階で被告会社が考えうる修補がされ、さらに雨漏りが生じたのであれば、被告会社が雨漏りの原因を探ることができたであろうことを考慮すると、調査費用や弁護士費用を番号17の窓の瑕疵と相当因果関係のある損害であると認めることもできない。

 なお、原告らは、被告Y2の対応からすると、原告らが雨漏りについて被告会社に連絡することはできなかったと主張するが、上記1(5)のとおり、原告らはファックス文書を送信することによって被告会社に修補を依頼することも可能だったのだから、原告らの主張は上記結論を左右するものとはならない。

 4 争点(3)(被告Y2に対する旧商法266条の3に基づく損害賠償請求)について

 既に判断したとおり、被告Y3には部材選定上の注意義務違反や、止水措置についての注意義務違反が認められないので、被告Y2の監督義務違反も認められない。したがって、この点についての原告らの主張は採用できない。

 5 争点(4)(被告Y2の説明義務違反の有無)について

 証拠(甲8、22、原告X1本人、被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によると、原告らは、被告会社においてドイツ製の木製窓・窓枠の現物を紹介された際、被告Y2から、輸入の木製窓・窓枠はそのままでは建築許可がおりないので、日本に着いてから富山にある知り合いの業者に送り、透明窓ガラスを取り外して網入りガラスに交換しなければならないと言われたことは認められるが、本件部材供給契約締結前に、被告会社が原告らに提示した見積書(甲3)では、「輸入部材」の項目の下に「窓 木製サッシ」として本件木製窓等のそれぞれの規格及び見積金額が記載され、ガラス(網入り透明)1式93万8600円、同上コーキング21万7100円(木製サッシ取付工事費は別)が計上されていること、番号14及び番号16の窓(WW13)の見積金額は合計20万2800円(単価3万3800円)とされていることも認められる。そして、原告X1が作成した陳述書(甲22)には、原告らは、被告Y2からどこの国の何というメーカーで製造される窓なのか何も知らされなかった旨も記載されていることからすると、本件部材供給契約において、本件木製窓等の対価が、外国で完成した窓を日本に輸入し、それを日本国内で加工することを前提として決められたものであるとまでは認めることはできない。

 原告らは、輸入部材を用いて日本で製作するのであれば、本件部材供給契約における代金額は高額すぎる旨を主張するが、証拠(甲18、25、証人C、被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によると、木製窓・窓枠は、基本的には、注文者の注文に応じて製作されるものであること、原告らがb社に依頼して行った番号14及び番号16の窓の修補工事の際、新しいサッシの代金は2基で88万8760円(運送費込、取付費用別)と見積もられていることが認められ、原告らが提出する本件木製窓等の修補工事代金(甲25)の見積書やアイランドプロファイルの修補費用の見積書(甲39の1から3まで)と比較しても、本件部材供給契約で被告会社が見積もった本件木製窓等の代金が特に高額であるとは認められない。また、原告らは、被告会社の見積書はガラス代金を二重に計上している旨を主張するが、被告Y2は、本人尋問において、被告会社が原告らに提示した見積書(甲3)での「輸入部材」の項目の下の「窓木製サッシ」の項目にはガラス代金は含まれていない旨を供述しており、他に、この部分の項目がガラス代金を含んでいることを認めるに足りる証拠もない。

 したがって、被告Y2の説明義務違反を認めることはできないから、被告Y2の不法行為は成立しないし、被告会社に債務不履行も認められない。

 6 争点(5)(鍵の引渡拒否による損害賠償請求権の有無)について

 原告らは、被告Y2が本件建物の鍵を受け取ったまま原告らに引き渡さないと主張し、本件建物の完成時に本件建物の3箇所の鍵を被告Y2に渡した旨のa工務店の代表者作成の陳述書(甲29)も提出する。

 しかし、上記1(4)のとおり、原告X1と被告Y2は、本件建物の完成前に、現場にあった資材の引取りなどをめぐって口論となり、被告らは、原告らの本件建物への入居日さえ知らなかったことが認められ、また、原告らの主張によると、被告会社は本件建物について十分な監理もしていなかったというのであるから、被告Y2がa工務店の代表者と顔を合わせて本件建物の鍵を受け取ったというのは不自然である。また、証拠(甲23、原告X1)によると、原告X1は、平成15年7月にa工務店から、本件建物の鍵の一部を被告Y2に交付したと聞かされていたのだが、同月8月下旬に被告Y2が本件建物に修繕に来たときに、鍵の話をしていないし、本件ファックス文書でも鍵の返却を求めていないことも認められる。

 これらによると、被告Y2が、平成15年7月にa工務店から本件建物の鍵を受け取ったと認めるに足りる証拠はないといわざるを得ないので、この点についての原告らの請求には理由がない。

 7 争点(6)(監理報酬請求権の存否)について

 上記1(4)のとおり、本件建物については、完了検査が終わっていないこと、被告会社は、原告X1に対して、監理業務の業務完了報告書も提出していないことが認められる。

 この業務完了報告書の提出と残代金105万円の支払義務との関係については、本件設計監理契約の文言上は、105万円の支払時期は工事完了時となっているが、他方で、同契約では、被告会社は本件設計監理契約の各業務が終了したときには原告X1に対して業務完了報告書を提出することとなっていることからすると、被告会社が最終的な業務完了報告書を提出していない以上、残代金105万円については、いまだ履行期にないと認めるのが相当である。そうすると、その余の点を判断するまでもなく、被告らの相殺の主張には理由がない。

 8 原告らは、平成15年8月1日からの遅延損害金の支払を求めるが、瑕疵担保責任の損害賠償請求権は期限の定めのない債務であるところ、前提事実によると、原告らが被告会社に対し、瑕疵を理由とする損害賠償を求めたのは、訴状の送達をもってであると認めるのが相当である。したがって、遅延損害金の起算日は、訴状送達の翌日である平成20年2月27日とするのが相当である。

 9 以上によると、原告らの主張は、被告会社に対し、それぞれ1万6783円の支払及びこれに対する平成20年2月27日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないからいずれも棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法64条ただし書を、仮執行宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり、判決する。