(参考判例)東京高裁昭和46年5月21日判決

【オレンジ法律事務所の私見・注釈】

1 真実は不動産の所有者でない者が,登記簿上その所有者として登記されているために,右不動産に対する固定資産税を課せられ納付した場合には,所有名義人は,真の所有者に対し,不当利得として右納付税額に相当する金員の返還を請求することができるとした事例。

■判例 最高裁第一小法廷平成26年9月25日判決〔家屋について賦課期日時点では登記等がされていないが,賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記されている者の固定資産税の納税義務(積極)〕

審級関係

最高裁第三小法廷昭和47年1月25日判決(上告審)

東京地裁昭和46年2月18日判決(第一審)

主文

本件控訴をいずれも棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

 

 

事実

控訴人ら代理人は本件口頭弁論期日に出頭しなかつたが提出した控訴状によると「原判決中控訴人ら勝訴の部分を除きその余の部分を取り消す。訴訟費用は第一,二審とも被控訴人の負担とする。」との趣旨の判決を求め,被控訴人代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述,証拠の提出,援用及び認否は,次のとおり訂正ないし付加するほか,原判決事実摘示と同一であるので,これをここに引用する。

原判決五丁表の末尾から四行目に「(一)(二)(五)」とあるのを「(一)(二)(四)」と訂正し,原判決五丁裏の末尾から四行目に「対等額」とあるのを「対当額」と訂正し,同三行目の「昭和四三年七月一七日」の次に「午前一〇時の原審第五回口頭弁論期日に」と付加挿入し,原判決六丁表の一行目から二行目にかけて「昭和三三年(オ)第四四号」とあるのを「昭和三二年(オ)第四四四号」と訂正する。

 

 

理由

被控訴人の主張事実が原審認定の限度で正当であり,これに対する控訴人らの抗弁も原審認定の限度では理由があるが,その余の部分の採用し得ないことについては,当裁判所も原審とその見解をひとしくするので,原判決記載の理由全部をここに引用する。(但し,原判決一二丁裏の二行目の「原告」の次にある「会社」の二字を削除し,同丁裏の末行の「法定利息」とある前に「原判決主文記載のとおりの」を挿入する。)

よつて,右認定の限度で被控訴人の本訴請求を正当として認容し,その余を失当として棄却した原判決は相当であつて,控訴人らの本件控訴は理由がないから,民事訴訟法第三八四条第一項により,本件控訴をいずれも棄却すべく,控訴費用の負担につき同法第九五条第八九条第九三条第一項本文に従い,主文のとおり判決する。