第二回目 やさしい手形・小切手のお話

                     営業 秘書 田村 司
前回は「小切手が使われる理由と注意することについて」説明致しました。
第二回目となる今回は「手形が使われる理由と注意(手形の流れ)について」説明致します。

イメージ図(画面をクリックすると拡大されます。)

Ⅰ 約束手形は下記事例の中で,選択肢⑷の支払い手段として振出されます。

仕入先(製造業)の場合(例)
原料を仕入れてから,加工して付加価値等の利益を上乗せして販売するまで6か月間を要するとする。
原料を仕入れたときに,現金で払ったら手許資金が無くなります。
そうすると,次の仕入れが出来なくなります。
しかも,その6か月間にも支払うべき経費は沢山発生します。
仕入の支払方法の選択肢としては
⑴ 即,現金で払います。(資金が潤沢にある場合や現金でないと売ってくれない場合)
⑵ 買掛金でしばらく支払猶予してもらいます。(仕入れ先が応諾してくれる場合)
⑶ 金融機関からの借入金により資金調達して支払います。
(現金払いの強い要望があり,金利負担もやむを得ない場合)
⑷ 約束手形を振出,交付します。(上記図の①に該当します。)
⑸ 販売先からの受取手形を裏書して支払のためにその手形を渡します。(回し手形)
どのような支払方法をとるかは,取引先との当事者間の商談の結果となります。
一般に使われているのは約束手形です(為替手形も使われます)。

ここが商談の重要なポイントです。
買う立場からいうと現金払は経理面で資金繰り悪化の原因になります。
買う立場からいうと金融機関からの借入は金利負担で費用増加の原因となります。
売る立場からいうと支払猶予は資金繰り悪化の要因になります。
このようなことを総合的に判断したうえで,合意のうえ取引されるのです。

手形で支払うことになったとしても,約束手形を振出して交付するか,
又は販売先からの受取手形に裏書をして(回し手形),渡すことになります。

上記図のようなシンプルな取引だけではありません。
色々な取引の決済方法(現金,小切手,債務引受,為替手形の引受)の複合で,しかも反復して行われます。

2 販売先の場合の手形の扱い
販売先から集金した手形は,経理担当者に引き渡されます。
手形の裏書連続確認は必ず行う必要があります。(重要ポイントです。)

「販売先から受取った手形」の取扱の選択肢は

⑴ 手形期日まで金庫に保管します。
⑵ 金融機関に取立手形として預けます。(保管,期日管理,期日呈示,手形要件・裏書連続等の確認を行います。)(上記図の⑤に該当します。)
⑶ 金融機関の借入のため割引手形に使います。(上記図の⑤に該当します。)
⑷ 仕入先に裏書譲渡して支払充当します(回し手形)。
受取手形がまたどのような取引に使われるかは,上記の通り選択肢が沢山あり,
会社によって違いがあります。

Ⅱ 手形の用紙は誰から交付をうけるのか。

交付の前に,金融機関に当座預金の口座開設をしなければなりません。
しかも,すぐ口座開設ができるとは限りません。
口座開設ができたら,小切手帳は交付してもらえます。しかし,手形帳は,金融機関が取引振りを判断して,交付の可否をします。

Ⅲ 手形帳の使用にあたっての注意
1,使用(振出)方法
⑴ 手形用紙・銀行届出印を厳重に管理しなければなりません。別々に厳重保管してください。権限のない者に勝手に作成されないように管理してください。
勝手に振出されることが,絶対起こらないように,現金以上に管理を厳しくして下さい。

⑵ 当座勘定規定,手形用法,手形交換所規則などの決りを守らなければいけません。
手形の場合は手形用法に従って記入して下さい。
手形要件を満たすように記入欄が設けられていますので,記入すべきところは,洩れることなく記入してください。記入していない手形のことを白地手形といわれます。
不利益を被ることになりますのでご注意ください。

2,決済資金について
⑴ 手形期日の前日までには,決済資金を準備して下さい。(上記図の⑥に該当します。)
手形期日+2営業日が手形の呈示期間となります。
⑵ 手形呈示日に決済資金がなければ,不渡手形となります。
手形交換所の参加銀行は手形交換所規則に従うことになります。
6ヶ月間に2回目の不渡手形を出すと取引停止処分を2年間うけることになります。
それは,当座勘定取引,貸出取引の禁止です。
それ以外の取引,たとえば普通預金,振込,などの為替取引の規制はありません。

前回も記載いたしましたが,オレンジ法律事務所は,埼玉県内では,知的財産(特許,著作権など)に強みを持っています。企業法務以外にも,個人の相続も手掛けて,遺産分割協議書,公正証書遺言の作成なども手掛けています。当事務所の有馬弁護士が相続財産管理人に選任され,その手続をしているようです。脇弁護士は公正証書遺言の作成および遺産分割の協議に携わっているようです。法人・個人ともご相談をお待ちしております。

分かり易く約束手形について,書いたつもりです。皆様の会社での実務の理解に役立てれば,それが私の喜びです。 今回もお読み頂き誠に有難うございます。
鬼の手形のイメージ図

「手形」由来の地名
「岩手」の地名が「手形」に由来します。岩手県盛岡市には三石神社があり住民の悪鬼追討の祈りに対し,三ツ石の神が懲罰し,二度とこの地を荒らさないという鬼の確約のため岩の上に手形で残させたという故事によります。「手形」は確約した証拠として押したものであります。