(相続放棄)そして相続人は誰もいなくなった

 

営業 秘書 田村 司

いつもご愛読有難うございます。

毎回,相続関連の記事ですみません。皆様からの興味のあるご疑問から抽出し掲載させていただいております。今回,「相続放棄をしたら最後にどうなるの?」との疑問の説明をいたします。

題名が似ていますが「そして誰もいなくなった」(アガサ・クリスティー著)とは内容は関係ありません。また,相続のお話しになります。

 

「配偶者」が放棄した。「子」も放棄した。そうすると「配偶者」と「子」は最初から相続人ではなくなります。「子」の「子(孫)」がいても代襲相続人にはなりません。

(蛇足ですが,「子」が廃除されているときは「孫」が代襲相続人となります。)

そして,第一順位には,相続人が誰もいないことになります。

 

そうすると,第二順位の父・母が相続人になります。そこで父・母が放棄するとその上の祖父・祖母が相続人になります。祖父・祖母も放棄して,曾祖父母や高祖父母は死亡していると,第二順位に相続人が誰もいないということになります。

 

そうすると,第三順位の兄弟姉妹が相続人になります。

 

兄弟姉妹全員が放棄した。この場合,4名に「子」がいても,代襲はしません。

 

そして相続人は誰もいなくなった。

 

相続人には第四順位はないのでこのようなことが起きます。(蛇足ですが,韓国と台湾は第四順位まであるらしい。)

 

このようなケースにおいて,「遺産はどうなるの?」「相続人がいないから不動産等は国,のものになるの?」「 借入金等の負債はどうなるの?」との質問をいただくことがあります。

それでは,被相続人(亡くなった方)にお金を貸している債権者は相続人が不存在だからお金を全く回収できないでしょうか?

 

そんなことはありません。このような状況において,お金を貸していた債権者(金融機関など)は,家庭裁判所に対し,「相続財産管理人」の選任を請求することができます。

「相続財産管理人」は被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどをして清算を行い,清算後残った財産を国庫に帰属させる手続きを行います。

 

そのときの「相続財産管理人」は弁護士が選任されます。

家庭裁判所に選任された「相続財産管理人」として当事務所の有馬弁護士が,今,頑張って手続きしております。

 

なお,「相続放棄」と似たような言葉で「相続分の放棄」がありますのでお間違いないように選択にご注意ください。どちらを選択するかは,プラス財産のみならず,マイナス財産を調査の上,ご検討ください。

 

借入金額の債務だけではなく,事業の収益性・将来性・担保物件の想定売却額など総合的に検討して,相続の単純承認にするか,限定承認にするか,相続放棄するかを慎重にご判断ください。

 

いま,事業も順調であるが,後継者不在で廃業を予定している事業主も多いと聞いています。ご存命のときから,知的財産や事業譲渡やM&Aなども視野に入れてご準備をお勧めいたします。なにもしないで,「そして相続人は誰もいなくなった。」そして残った財産は国庫に帰属することにならないように願っています。

(さいたま商工会議所に埼玉県事業引継支援センターの相談窓口があります)

お困りの事業主がこのブログを読まれてないことが多いと思われますので,お困りの方には,紹介するなどの手を差し伸べてあげて下さい。

 

いつもの常套句でありますが,皆さんに役立ち喜んで頂くことが,私の喜びです。

今回もお読み頂き有難うございます。