弁護士 中野 仁
しばらくブログから離れて,自分を見つめ直していた。このままでいいのだろうか,と。
業務とほぼ関係ない,くだらない内容のブログを書き続けていいのだろうか,と。
そうこうしている間に,ブログは事務所のメンバーが書き進めてくれていたようだ。
そんな事務所のメンバーに対し,今さら,どんなツラさげてカムバックすればよいのだろうかと思い悩んでおり,また,自分の中では「わたくしと全部味噌」を超える作品を生み出せる気がせず,どんどん時間がたってしまっていた。
そんなヘタレな自分に風穴をあけるべく,この度,ブログにカムバックすることにした。
そこで,声を大にして言いたい,いや,書きたいのが,表題の「わたくしと漫画」である。
わたくしは漫画が好きだ。
正直,マニアと呼ばれる域には全く達していないが,それでも,かなり読んでいる方だと自負している。
漫画というのは素晴らしいエンターテインメントであり,自分の人生は漫画なしには考えられないのだが,ここで,ひとつ問題がある。
わたくしの心のどこかに,大人になって漫画が大好きというのが恥ずかしいという気持ちがあることである(おそらく,育ってきた環境や親の影響なのだろう。わたくしの親は大変に厳しく,漫画なんて子どもが読むものだという認識をもっている感があった)。
いまや,日本の漫画は世界でも人気を博し,一つの日本文化として捉えられている,このご時世にである。
わたくしのそのような気持ちをあらわす,端的なエピソードとして以下のものが挙げられる。
① 大宮で,次の電車まで時間があると必ず,LIBROで漫画の新刊をチェック。そのときに後輩の弁護士に遭遇し,気まずさと恥ずかしさをかき消すために,自ら「俺,漫画好きなんだよね~」などと,普段以上に饒舌になり,「逆に,普段どんな漫画を読んでいるの?」と,どう考えてもその本屋の狭いスペースですべきでない話しを延々とする。
② 大宮のブックオフに入り浸る。大宮以外でも,秋葉原など仕事で降り立った駅のブックオフをチラ見する。ここでも,誰か知り合いに会わないかドキドキし,周りを見渡しながら,漫画を探しているので,心が安まる暇が無い。知り合いを見かけたときは,とりあえず本のコーナーに行き,「いや~,まさかこの本がこんなに安いとは。。。掘り出しものだね」などと,本を探していたテイをとる。
③ 電車移動中に漫画を読み,誰か知り合いが乗ってきそうな駅(浦和駅など)になると,読んでいた漫画を鞄の中や下に隠し,知り合いが乗ってきていないことを確認してから,再度読み始める。
などなどである。
これだけ注意していてもやはり悲劇は起こる。
漫画を物色しているところを依頼者の方に見られたことも後輩の弁護士に見られたこともあるし,電車の中で「ろくでなしブルース」を読んでいたところを裁判官に見られたこともあった(なお,その裁判官は,その後の期日であたる裁判官であった)。
そんな器の小さいわたくしの固定観念を打ち破る事態が発生した。
少し前のことである。
弁護士の方であれば分かると思うが,弁護士は刑事事件を担当していると,警察まで被疑者・被告人の方に会いにいく(接見といいます)が,この接見,接見室が少ない関係で,待合のベンチで待たされることがしばしばある。接見室が1つしかない警察署であればなおさらだ。
わたくしは,接見要請を受けて夜出動し,その警察署に到着したが,その時点で既に,待合のベンチにはお一人,ベテランのX先生が接見待ちをしていた。その先生の後について接見待ちをしていると,後からお一人,ベテランのY先生が接見にいらした。
軽く挨拶して,しばらく経った後,ふと,Y先生の方を見ると,その先生は,おもむろに鞄から週刊少年ジャンプを取り出し,熟読しはじめたのである。
Y先生は60に手が届こうという御年だ。
そのお方が,周りの目をはばかることなく,堂々と週刊「少年」ジャンプを熟読しているのである。
もしかしたら,ワンピースのファンなのかもしれない。
その瞬間,わたくしの中で,革命が起きた。
本屋の漫画コーナーで知り合いにあったとき,テヘヘ笑いをし恥ずかしさをごまかしていた自分。
電車の中で知り合いが乗ってくる駅になると鞄に読んでいた漫画を隠していた自分。
なんて器の小さい人間なのだろうか。
いいのだ。60歳になって週刊「少年」ジャンプを読んでもいいのだ。
恥ずかしがることはないのだ。
これで,いいのだ。
同僚の40歳の辻本弁護士だって,毎週,週刊「少年」ジャンプを愛読しているのだから。
結論:自意識過剰もほどほどにすべし。周りは,自分が思っているほど,自分のことをみていない。
合掌。
なお,次回予告をしておかないと,またブログから離れてしまいそうなので,予告をしておくと,
「わたくしとメガネ」の続編である,「帰ってきたわたくしとメガネ」といたします。
弁護士 中野 仁
さて,
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