契約書に訴訟についての管轄合意しかない場合に調停についての管轄合意があったと解釈されないとされた事例(大阪地裁平成29年9月29日決定)

オレンジ法律事務所の私見・注釈 弁護士 辻本恵太 1 基本事件は,X(相手方・基本事件申立人)が,Y(抗告人・基本事件相手方)との間でレンタル基本契約を締結した上,Yに対し建設機械等を貸し渡すなどしたにもかかわらず,Yが賃貸料等を支払わないとして,その支払を求めるというものである。  レンタル基本契約の契約書には,「合意管轄等」として,「この契約について訴訟の必要が生じたときは,大阪地方裁判所又は茨木簡易裁判所を管轄裁判所とすることに合意します。」との条項があるところ,Xは,本件条項における「訴訟」には「調停」も含まれるとして,茨木簡易裁判所に対し,調停を申し立てた。  これに対し,Yは,本件条項は,飽くまで,訴訟に関する管轄合意であって,調停に関する管轄合意ではないとして,基本事件の大津簡

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誘惑に負けがち

弁護士 辻本恵太  数回連続で裁判例の解説を書いたが,法律的な文章は書きやすい。 ただ,そればかりだと,ちょっと味気ないので,私のオレンジ法律事務所での仕事や,自宅での過ごし方について紹介したい。大宮のとある法律事務所の仕事風景だと思って,気楽に読まれたい。 1 リモートワーク   ここしばらく,オフィスに行くことが週1,2回で,後はリモートワーク生活が続いている。秘書も半分近くがリモートワークなので,オフィスにいるのは,ほんの数人である。 なお,リモートワークの際,外部からVPN接続で事務所内ネットワークに接続したり,やむを得ないときは事務所の端末にリモートログインをする。 私は,仕事も生活圏も大宮なので,リモートワークをする必要がないように思えるし,事務所が居心地が良いので事務所に行きた

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ある表示が商品の不正競争防止法の品質誤認表示といえるためには,その前提として,需要者の間において,当該表示が商品の品質や内容を示す表示であると一般に認識されることが必要であるとし,品質誤認表示該当性を否定した事例(大阪地裁平成29年3月16日判決)

主文事案及び理由第1 請求第2 事案の概要第3 争点に関する当事者の主張第4 当裁判所の判断 オレンジ法律事務所の私見・注釈 弁護士 辻本恵太 主文  1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求  1 被告は,別紙物件目録記載の商品に別紙表示目録記載1及び2の表示を表示し,同商品の説明書に同目録記載3の表示を表示し,同商品の広告に同目録記載3及び4の表示を表示し,又は同目録記載1及び2の表示を表示した同商品を販売し若しくは販売のために展示してはならない。 2 被告は,別紙物件目録記載の商品,同商品の説明書及び同商品の広告における別紙表示目録記載1ないし4の表示を,それぞれ抹消せよ。 3 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を同

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特許法102条2項の推定覆滅について,製品に対する特許発明の実施部分の割合に基づく覆滅率を25%,その他の観点からの覆滅率を25%として損害賠償を認めた事例(東京地裁平成30年3月1日判決)

主文事実及び理由第1 請求第2 事案の概要第3 当裁判所の判断 オレンジ法律事務所の私見・注釈 弁護士 辻本恵太 1 本件は,発明の名称をいずれも「ブルニアンリンク作成デバイスおよびキット」とする2件の特許権を有するXが,①Y1おいて,Y製品を輸入し,販売し,販売のために展示し,又は販売の申出をした行為,②Y2において,Yの各製品を輸入し又は販売した行為が,いずれもXの上記各特許権を侵害していた旨主張して,不法行為に基づく損害賠償等を請求をした事案である。  なお,Yの各製品が特許権2に係る特許発明の技術的範囲に属すること,特許権2に係る特許が有効であることは当事者間に争いがなく,主たる争点は,Xの損害額である。 2 裁判所は,対象期間におけるY1,Y2の限界利益額を認定したうえで,Y製品全

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書面による通知が宛先に尋ね当たらないとして返送された場合であっても通知の到達を肯定した事例(前橋地裁高崎支部平成31年1月10日判決)

主文事実及び理由第1 請求の趣旨第2 当事者の主張第3 裁判所の判断 主文  1 被告は,原告に対し,1億0370万3520円及びこれに対する平成10年1月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 主文と同旨 第2 当事者の主張  1 請求原因 (1) 当事者等 原告は,訴外A及び訴外Bの間に生まれた子であり,訴外C(A,B及びCを併せて「Aら」という。)は原告の祖母である。 (2) 被告の不法行為 被告は,平成10年1月14日,群馬県群馬郡a町大字b(現・群馬県高崎市b町)所在の当時の原告宅(以下,単に「原告宅」という。)において,Aらを殺害した(以下,この事件を「本

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債務名義の執行力の向上(民事執行法改正)

弁護士 辻本 恵太 1 はじめに  「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第2号)が令和元年5月17日に公布され,令和2年4月1日に施行となった。 この改正は,私たちオレンジ法律事務所の弁護士を含む,多くの交渉,訴訟に携わる弁護士にとって,心躍る改正であり,施行される令和2年4月1日を心待ちにしていた。判決などの債務名義の執行力の向上は,民事司法制度への信頼を飛躍的向上させることと期待している。 民事執行法改正は多岐にわたるが,一部を紹介したい。 2 裁判で勝つことと金銭を支払ってもらえることは同じではない  まず,①貸した500万円を返してもらえないので裁判を起こした(貸金返還請求訴訟)。②1年近く裁判をして勝訴判決

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